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[自宅レビュー!]
出来すぎ君なエントリーAVアンプ新旧対決!
デノン「AVR-X1800H」vs「AVR-X1700H」

覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。

使い勝手のいいHDMIセレクター付き2chプリメインアンプDRA-900HやStereo 70sの登場で「AVアンプ不要論」が噴出しそうな昨今。しかしこれらは、「リニアPCM2ch」の信号処理しかできません。もし将来、アナタが1ミリでもマルチチャンネルに発展する可能性があるなら、断然AVアンプがいいよと繰り返し申し上げて来ました。10万円あればこんなに良いAVアンプが買えるのか!そう思えるエントリークラスモデルをレビューします。

※コラム「AVアンプはなぜ必要なの?」

10万円ほどで買えるAVアンプといえば、マランツ「Cinema70」もよかったけれど、10月に発売されたばかりのエントリーモデル、デノン「AVR-X1800H」はどうなのか気になるよね・・・とコラム担当に相談すると、なんと!アバック中古センターに先代「AVR-X1700H」があるというので、まさかの先輩vs後輩対決が実現!果たしてどこが違うのか?1世代の進化はどこにあるのか!?

[特徴]

●「AVR-X1800H」のポイント

・デノン歴代ベストセラーAVアンプのエントリーモデル

・単体で5.1.2構成のアトモスまで楽しめる

・4K/8K、イマーシブオーディオなど新世代フォーマット対応


●実際使ってみたら凄かった!

・高級AVRに更に近づいた、必要にして十分な超ハイコスパ

・艶のある高域と繋がりのいい立体音場

・ストリーミング&ファイル再生を縦横無尽!新「HEOS」アプリを使ったネットワーク再生が快適

●こんな人には別モデルの方がいいかも

・AVはやりたいがマルチchはやらない
→HDMI入力付き2chプリメインアンプを

・7.2chプリアウトがほしい
→マランツCinema70s


■デザイン

先輩「AVR-X1700H」は、2年ちょっと前の2021年11月に発売されました。縦に積んで並べてみましたが、外観上、型番以外は瓜二つ。


背面を見てみましょう。
リアパネルからコンポジット映像出力が削除されていること、代わりに電源取り用のUSBーA端子が加わっています。コンポジットで繋げるディスプレイもいまやほとんどないこと、Fire TV StickやChromecastなどを使う場合HDMI端子近くにUSBがあるのは便利なことから、よい変更だと思います。

上がAVR-X1700H、下がAVR-X1800H
電源ケーブルは直出しですが、その線材が違う様子。AVR-X1800Hのほうが少し太いです。そのほかは、天面のスリットから覗く限り、大きなレイアウト変更もなさそうです。


リモコンは左がAVR-X1800Hのもの、右が先代AVR-X1700Hのもの。どちらも点灯機能はなし。
■Blu-rayやアトモス対応サブスクでAVアンプの愉しさを知ってほしい

 AVアンプのエントリーモデルといえば、水平方向の“サラウンド”ができる最小限の構成、つまりフロント3ch+リア2chにサブウーファーの5.1chが単体で鳴らせるものが中心でした。デノンでいえばAVR−X580BT、ヤマハで言えばRX-V4Aあたりがそれに該当します。

しかし、せっかくAVアンプを買うなら、Dolby Atmosをはじめとする上下方向を加えた立体音響(イマーシヴサウンド)も体験してほしい。それが、天井2chを追加した7ch構成がマストと考える理由です。


■音出しまで面倒見るセットアップGUIはエントリーから買替ユーザーまで超快適

というわけで、エントリーでも7chアンプ内蔵の「AVR-X1800H」をさっそくセットアップ。まずは自動音場測定&補正Audessyを使わず、マニュアルでスピーカーの距離と音量を設定して聞いてみます。拙宅のスピーカーは、KEF Reference5(フロント)、KEF R3(リア)、LINN CUSTOM2K 104C-R(TOP)、PIONEER S-W1EX(LFE)のセンターレス4.1.2です。


「スピーカーセットアップ」。ガイドに沿って間違いなくスピーカーを結線できるうえ、ちゃんと音が出ているか確認まで可能。


 サラウンドバックchのスピーカー端子にトップスピーカーを接続して4.1.2構成に
■ファーストインプレッション…奇をてらわない正統派のバージョンアップモデル

いつも朝8時過ぎにやってくる元気な宅急便のお兄ちゃんのおかげで、朝イチから通電。しかも今回届いたのはほぼ新品でした。こりゃあエージングに時間がかかりそう・・・と思って、慣らし運転がてら再生してみますが、もうすでにイインデス!

 HDオーディオ開始以来のデノンAVRの流れを汲む、ウォームなトーンを残しながらもほどよい解像感とスピード感があるフラット志向の安定したサウンド。とても10万円そこそこのエントリーとは思えません。これで何の不足があるのか、逆に尋ねたい。同じ予算でプリメインアンプを買っても、ネットワークやプレーヤーを繋いでいきなりこの音が出ますか?と。

拙宅のフロントスピーカーReference5は8Ωで鳴らしやすいこともありますが、いちおう片側ウーファー4発とアンプとしての基礎体力が必要なタイプ。そんな中、フロント2chだけでもなかなか安定感あるサウンドを響かせます。

たとえば、ピアニストで作曲家のアルベルト・グイノヴァルト「ピアノコンツェルトNo1」では、ヴィオラのブルンと弦が波打つさまがわかる低域に、雨だれのように繊細かつしぶきが弾むようなピアノ。しかもSNもよく、ピアニシモがとっても静かです。このあたりに、デノンがAVRで面々と紡いできた“匠の技”を感じます。
 「AVR-X1700H」からモデルチェンジしても筐体が同様ということは、むしろメリットの方が大きいと考えます。それまでのノウハウを生かしたうえで、改良すべきポイントや、弱点のみをとことん詰められるということ。地道な積み重ねが大切なことを痛感させられます。

エントリーモデルですと、物量で勝負できない分、どこかに無理が露見したり、濃いめの味付けにしてわかりやすい音にするきらいもあるなか、この「AVR-X1800H」は、愚直と言えるほど基本しっかりの正統派です。ちょっと前ならチャンネル数を少なくした上位機3800番台と名乗れるレベルのサウンドではないでしょうか?
上位モデルとの違いは、グーンと下まで伸びる低音と押し出し感と瞬発力といったあたりでしょう。それでも、ウーファー4発のトールボーイ大型スピーカーReference5を、かなりボリュウムを上げても破綻せず鳴らすのは立派。ピアノソロにオーケストラが加わり最高潮に至るクレッシェンドも、十分に情動を煽る表現力を持っています。

結局、エンクロージャー大きめのブックシェルフスピーカー(6.5インチあたり)4本とサブウーファー、イネーブルドスピーカーという構成がよさそうだな・・・などと思いつつ、初日の試聴を終えました。


■エージング後「Direct」で激変!「エコモード=オフ」で本領発揮

「ねえ、なんかずっと音楽が鳴っててこわいんだけど」と家族に愚痴を言われながら、一晩NAS音源のループ再生でエージング。翌朝から、さらなる使いこなしを試みます。まずはソニーのUHD BDプレイヤーUBP-X800M2とHDMIでつなぎ、本格的に宅内NASの音声を再生して聴いてみます。
昨日より音がこなれて、だいぶ耳あたりも良くなってきました。ここで、リモコンのSOUND MODEにある「PURE」ボタンを押してビックリ!「Auto」から「Direct」にしただけで、俄然、中低域の力が漲ります。モリモリでウーファーユニットをグリップします(若干高域も賑やかになりますが)。

もういちど押すと「Pure Direct」となり、さらにSNやディスクリート感(各チャンネルのセパレーションと定位)が向上。口元が締まり見通しも良くなりますが、「Auto」から「Direct」にしたときと比べると、落差は少なめ。AVアンプではディスプレイ表記が出ない「Pure Direct」にしてしまうとちょっと不便なことが多いので、「Direct」でも十分マルでしょう。

もういちど押すと「Pure Direct」となり、さらにSNやディスクリート感(各チャンネルのセパレーションと定位)が向上。口元が締まり見通しも良くなりますが、「Auto」から「Direct」にしたときと比べると、落差は少なめ。AVアンプではディスプレイ表記が出ない「Pure Direct」にしてしまうとちょっと不便なことが多いので、「Direct」でも十分マルでしょう。

 いや〜、それにしてもここまで来ると「エントリー」と呼ぶにはもったいない表現力。いま私が使っているプリメインアンプの15分の1の価格。それでもコンチェルトのニュアンスが十分伝わりますし、楠瀬誠志郎のクリスマスソング『一時間遅れの僕の天使』のようなヴォーカルもののバラードなんかじゅうぶん涙が流せますし、大貫妙子『裸のキリク』の大地を踏みしめるようなバックの打楽器の重低音もズンズン響き、心の琴線にもビンビンに触れます。
いい時代になったモノです。まだAVアンプ使ったことない人に、こうした簡単な使いこなしも含めて、ちゃんと素晴らしさを伝えたいなぁ、と心から思いました。
■メジャーアップデートされた「HUOS」アプリが便利

23年12月中旬の借用期間中に、AVR-X1800H本体と「HUOS」アプリのメジャーアップデート(3.1.231)があり、曲検索機能が大きく向上。加入しているサービスやNASなど、アナタが聴けるもの全ての中から結果が表示されます。Quobuz(コバズ)のローンチでストリーミングサービスがいよいよ本格化することを見据えての措置と思われます。

さっそく聴いてみると、一時期よりだいぶ良くなったものの、未だJ-POPのほとんどは音作りが耳障りにドンシャリかペッタンコ。基本がハイファイなので、ダメなマスタリングをバラす懐があります。それを除けば、洋楽、K-POPなど最近のヒット曲のストリーミングも比較的耳あたりよくこなします。もっとヴォーカルが前に張り出したりキレキレな分かりやすいサウンドがお好みなら、マランツのほうがいいかも。

 なお、WAVやFALC、ALAC、5.6MHzまでのDSDなどほとんどのフォーマットに対応。NAS内の富樫雅彦・鈴木勲の「陽光」(FLAC192/24)、大貫妙子「Tema Purissima」(DSD2.8)もいい音で再生できました。




■Apple TVで高画質&高音質イマーシブシアター

最後にApple TV 4K(第3世代)を試します。まもなく音楽配信サービスQobuzの日本ローンチも控え、今後はサブスク&ストリーミングが中心になるでしょう。とくにAppleの配信は、映像コンテンツもMusicも、Dolby Atmosが増えています。映画作品は4K UHD BDがありますが、タイムリーなドキュメンタリーや音楽作品は配信が有利。こうしたマルチchのイマーシブ作品が楽しめない環境なのはもったいないと思います。

たとえば、セレーナ・ゴメス『my mind & me』(4K Dolby Vison、Dolby Atmos)は、子役から長年ファンを元気づけることを宿命づけられ、スターになるにつれセレーナ自身が蝕まれていく様子がなんとも痛々しく、彼女もひとりの女の子なのだという現実を突きつけるドキュメンタリー映画。(あえて)とっ散らかった語りと、華やかなステージサウンドがそのまま収められています。本人や関係者のディクテーションには、偽らざる感情が乗っており、プライベートなシーンでは、その場の空気感が生々しい。「AVR-X1800H」でもそのコントラストが淡々と再現され、それがかえって静かな感動を呼びます。

空間オーディオはApple TVならではの世界。BUMP OF CHICKEN『Sleep Walking Orchestra』(Dolby Atmos)は、J-POPながら音質的にも好トラックです。もっとも大事なちょっと艶のあるヴォーカルがピタリとセンター安定して明瞭。低音も量が決して過剰になることなく、みっちり詰まったマッシブなサウンドが心地いいんです。綺麗に両サイドに回るコーラス、時折垂れてくるしっとりした雨だれのようなアレンジ、ラストのシャンパンの泡のようなきらびやかな余韻もイヤミなく綺麗に再現してみせました。


■先代「AVR-X1700H」との違いは?


 続いて、「AVR-X1800H」とおなじく電源を入れたままにしておいた先代「AVR-X1700H」につなぎ替えて試聴します。電源を投入して「HEIOS」アプリを起動すると、「AVR-X1800H」と同様のファームアップデートが「AVR-X1700H」にも適用された模様。設定は同じく「エコモード」オフ、SOUND MODEは「Direct」とします。

 まず2chネットワーク再生を試します。WAVやFALC、ALAC、5.6MHzまでのDSDなどほとんどのフォーマットに対応しており、NAS内の富樫雅彦・鈴木勲の「陽光」(FLAC192/24)、大貫妙子「Tema Purissima」(DSD2.8)もきちんと再生できました。

 肝心のサウンドですが、高域の艶やかな印象は「AVR-X1800H」と同様ですが、「AVR-X1700H」の方がちょっと賑やか。誤解をおそれずに言えば、雑味がある。低域の膨よかさや力感も少し希薄な印象。それでもこの価格帯では十分優秀なのですが、「AVR-X1800H」と比べると、「AVR-X1700H」は全体的に腰高ながら、むしろ中域の張り出し感では荒く若い音という印象。

 HDMIで繋いで5.1.2としたサラウンド再生も同様の印象です。『ター』では、「AVR-X1700H」の方が高域の環境音やセリフが立って、分かりやすい表現。確かに演出の主眼はそこなのでしょうが、ちょっと決めつけすぎでは?と、穿った見方をしてしまいます。「AVR-X1800H」では感じた特定のシーンでの印象が、「AVR-X1700H」では感じられなかった場面がありました。もうちょっとフラットに聴かせてくれたほうが、鑑賞する側に解釈の広がりが生まれます。「AVR-X1800H」は、その意味で先入観なくその場の空気感を全帯域過不足なく描いてくれます。そこが上級モデルっぽさであり、AV機器で映画を楽しむ醍醐味であるのだから。

■総括 1世代でも明確な進化。それは"音"と"快適性"

総括すると、個人的には「AVR-X1800H」の方が雑味が少なく、高域のキンキンしたところが抑えられ、スピーカードライブ力が向上しベースの沈み込みもグンと低く、ワンランク上の洗練されたサウンドが飽きの来ない好ましさを感じます。操作画面GUIも分かりやすく最適化され、最新モデルのコストパフォーマンスの高さと着実な進化を感じました。

 10年ほど前までは毎年多くのメーカーから新型が出ていたAVアンプですが、近年は2~3年の周期となり、油断すればコンテンツや試聴環境の変化に適さない製品となってしまいます。
「AVR-X1800H」はその変化への対応をはもちろん、更に音を洗練し、進化させた事を是非実機でご体験頂きたいと思います。

 最後に今回ご協力頂いたアバック中古事業部の部長さんからの一言。

「デジタル機器は価値が下がらないうちに買替が吉!”今”が一番高値なんです!」

スマートフォンなどもそうですが、市場で人気があるうちに買替をする事が、”資産”としてのオーディオ機器のお得な買い方。そして今のAV機器はしっかり機能的進化も楽しめ、定期的に買替すべきだなと感じた世代比較レビューでした。



アバックの隠れ覆面レビュワー「ラビットBW」です。もしもネットでポチったらどうなるか?を一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします!
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通常価格:¥110,000 税込
¥66,990 税込
商品コード: AVRX1800H
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