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“永遠のスタンダード”の地位を確立!?

リビングに置ける薄型AVアンプ 

マランツ「CINEMA70s」
覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします。

ここのところ流行はHDMI(ARC)付き2chプリメインアンプ。ついには6系統のHDMIセレクター付きデノンDRA-900Hまで登場しています。でも、これらはいずれもリニアPCM2chでの信号処理しかできません。「ホームシアター」を推進してきたアバックとしては、リアや天井にスピーカーを設置できる環境があるならぜひ「マルチch」を実践して欲しいのです。

▼その根拠はコチラ!
(コラム)「AVアンプはなぜ必要なの?」

そこで、昨年末に発売され実売価格が10万円そこそこになっているAVアンプ、マランツ「CINEMA70s」に着目!改めてレビューしたいと思います。


[特徴]

●製品のポイント
・現存する随一の薄型AVアンプ
・4K/8K、イマーシブオーディオなど新世代フォーマット対応
・7chアンプ&7.2chプリアウト

●実際使ってみたら凄かった!
・必要にして十分な超ハイコストパフォーマンス
・艶のある高域と繋がりのいい立体音場
・「HEOS」アプリを使ったネットワーク音源が快適

●こんな人には別モデルの方がいいかも
・AVはやりたいがマルチchはやらない
 →HDMI入力付きプリメインアンプを
高いデザイン性 “ラックに収まる”薄型から、“魅せる”薄型へ

常にAVアンプのベストバイを走り続けてきたマランツの薄型AVアンプ。「マランツNRシリーズをオススメモデルとともに振り返る」(https://www.avac.co.jp/buy/10767/usedvol.6)にあるとおり、時代とともに着実に進化を遂げてはことごとくヒットしてきたわけですが、このたび遂にフロントフェイスが一新。マランツのアイコンである丸い窓にシンメトリーのノブ、背後にフィボナッチ関数を彷彿させる有機的な湾曲パネルをあしらう最新のデザインに一変しました。これまでは「ラックに収まる高さ」ということで薄型が重宝されてきたわけですが、こんなデザインなら棚置きでもリビングに置けそうです。


リモコンはシンプルですがわかりやすく、右サイドにあるバックライトボタンを押すと5秒点灯するのがニクい!

AVアンプの「基準」が10万円で得られる!

結論から書くと、このCINEMA70sは、「最初に買って長く使えるAVアンプとして最適なモデル」のひとつなのです。

というのも、次の2つの要望を備えているから。
(1)音質的にも定価10万円以下のものとは一線を画す基本性能を持っていること
(2)長く楽しむことを考えると“水平方向”のいわゆる「5.1chサラウンド」に、“上下方向”が加わるDolby Atmosら立体音響(イマーシヴサウンド)を楽しむための2chを加えた7.1chは欲しい

以下のアバックWebコラムも合わせてお読みいただけると嬉しいです。

▼イマーシヴオーディオやるなら最低7.1chはほしい
(コラム)vol.2「AVやるなら最低限何チャンネル必要?」

しかもこのモデル、7chのパワーアンプを内蔵するほか、なんとプリアウトも持っています!サウンドのカギになるフロント2chを外部アンプに委ねてグレードアップもできるんです。パワーアンプ、ないしアンプ入力を持つ良質のプリメインアンプを中古ででも入手して繋いでみたりできます。競合するソニーSTR-AN1000などにはない魅力。これは力説したい!

内蔵する7chアンプ活用法としてフロント2chをバイアンプにして5.1chに…という意見もありそうですが、それじゃあイマーシヴ時代のAVアンプの愉しさは、正直、半減だとおもいます。

イネーブルドスピーカーを使ってでも断然5.1.2構成にしましょう!

初心者に親切。セットアップGUIが進化

NR1711までのNRシリーズとのデザインの違いは、フロントパネルのほか、セットアップのGUIも大きい。取扱説明書を見なくてもガイドのグラフィックに沿って間違えることなく繋ぐことができるでしょう。これも、文字ベースだけのソニーSTR-AN1000と比べてフレンドリーです。

さっそくセットアップ。まずは自動音場測定&補正Audessyを使わず、マニュアルでスピーカー設定をして聞いてみます。拙宅のスピーカーは、KEF Reference5(フロント)、KEF R3(リア)、LINN CUSTOM2K 104C-R(TOP)、PIONEER S-W1EX(LFE)のセンターレス4.1.2です。


ガイドに沿って間違いなくスピーカーを結線できます


サラウンドバックchのスピーカー端子に「トップフロント」スピーカーを接続して4.1.2構成に


ファーストインプレッション…NRシリーズの流れを汲む?


前の晩に配線を済ませ、電源投入から翌朝から午前中いっぱい、ソニーのUHD BDプレーヤーUBP-X800M2のデジタル同軸接続でCDをざっと聴きます。

その印象は、最近試聴したマランツ「MODEL 40n」のパキパキのスピード感あるマランツサウンドというよりも、従来のNRシリーズの延長線上をイメージさせるウォームでマイルドな印象。これまでにレビューした中では、マランツのCDレシーバー「M-CR612」に近い音作りのイメージでした。

▼レビュー ネットワークプレーヤー&プリメインアンプ「MODEL 40n」
https://www.avac.co.jp/buy/11345/vol.10

▼レビュー CDレシーバー「M-CR612」
https://www.avac.co.jp/buy/8573/vol.08

たしかに定価15万円、実売10万円だもの。それにしては上出来ですね…と思って聴き始めたのですが、実はこのあと、夕方までに次第に状況が一変していきます。


シネマサウンドのまとまり良好。気づいたら映画1本終わってた

ウォーミングアップも済んだことだし、さっそくUHD BDプレーヤーUBP-X800M2とHDMI端子(入力端子:Blu-ray)で接続し、映画鑑賞に入ります。4K UHD BD『LEON』(1994)を視聴します(Dolby Atmos、Dolby Vision)。

第一印象は、とても静かだということ。SNがいいのです。

そして映画が始まると、まだ自動音場補正Audesseyを使っていないのに各チャンネルの繋がりが非常に滑らかなことに驚きます。Dolby Atmosの真骨頂が存分に生かされています。

そして、時折アクセントのように入る効果音が、キラリと光ります。決して大げさではありませんが、作品にとって意味のあるところはキチンと立たせ、あとは静かにゆったりと紡ぐといった印象です。『LEON』冒頭、街を抜ける空撮とともにエリック・セラの軽やかな音楽が流れ、レオン(ジャン・レノ)の静かな日常がスタート。そこから一気にドラマの世界に引き込まれます。

7ch同一構成のパワーアンプは、公称値50W/ch(8Ω)。フロント2chスピーカーReference5が8Ωと能率が高いこともありますが、思ったよりも無理なくドライブしています。

先にレビューしたマランツ「MODEL 40n」が得意とするようなキレのあるアクション系より、物語をしっかり見せようとするドラマ系に合いそう。サブウーファーが比較的効いているソースなので低音不足を感じることはありませんが、フロント2chをフルレンジ再生としている割には、もうすこし重厚な雰囲気が欲しい。より低音を盤石にするには外部パワーアンプを投入したいな…と「この時点では」思いました。

そんなわけで、殺し屋レオンが活躍する戦闘シーンは「痛い」ほどではなく、かわりに、この作品の“ドラマ性”と、少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)の大人っぽく魅せようと背伸びする圧倒的な演技に引き込まれてしまいました。これまでに何度も見ている映画ですが、ポイントとなるシーンだけ視聴するつもりが、あっという間にスティングのエンディングソング「Shape of My Heart」にたどり着いていたのです。

なお、本機を通したHDMIの映像信号は、恐怖に怯える表情の肌の肌理まで非常に高品位で精細感も高かったことを申し添えておきます。
ネットワーク再生 華やかな高域と、たっぷり厚い中低域

こうしてじっくりと1本映画を観てしまい、「これじゃあ仕事にならない」と、ネットワーク音楽の再生に切り替えます。

MacBook Air+Audirvanaやスマホアプリ「HEOS」を使い、宅内有線LANを介したNASのファイル音源を再生、さらにApple MusicのAirPlay2再生をしていくと、あれれ…当初の印象が一変しています!低音にグンとパワーが漲っており、ボリュウムを上げてもウーファーの食いつきが良くなっていることに目を見張ります。

ここでフロントパネルにある「Pure Direct」ボタンを押します。丸窓のディスプレイが消えるとともに、さらにSNがぐっと向上、俄然見晴らしが良くなり、LRの分離もクリアーになります。


切り替え時に一瞬だけ「Pure Direct」が丸窓に表示 

最近の洋楽やJ-POPでは、ギターを爪弾く指の動きや弦がうねる響きが明瞭で、ヴォーカルもLRの中心にピタリ定位し、同価格帯のプリメインアンプに負けません。

DTMサウンドでは低音が弾け、床をズーンと這うように響きます。全体のトーンは当初の印象通りウォームでマイルドなのですが、午前中のあっさりした印象とは全く違うサウンド、畏れ入りました。やはりアンプはしっかりと暖めないと実力は発揮されませんね。

WAVやFALC、ALAC、5.6MHzまでのDSDなどほとんどのフォーマットに対応。NAS内の富樫雅彦・鈴木勲の「陽光」(FLAC192/24)、大貫妙子「Tema Purissima」(DSD2.8)も再生できました。


SACDマルチの再生にもAVアンプは必須

本モデルでSACDディスクを再生します。UHD BDプレーヤーUBP-X800M2のDSD音声出力を自動にしHDMI経由で再生しても、CINEMA70sの「STATUS」表記はPCM176.4kHzでしたので、UBP-X800M2側でPCM変換されたものを再生しているようです。

ここでひとつ重要なポイントがあります。SACDマルチを正しく再生する上で、AVアンプは必須なのです。

プレーヤー側にマルチchのアナログ出力があればよいと思われるでしょうが、それでは各スピーカーとの距離や音量、各チャンネルへの振り分けといった設定が上手くできません。高級モデルではプレーヤー側の設定にスピーカー設定項目があるものもありますが、たとえばソースが5.1chで、再生システムが4.0chといった場合、ソースにあるセンターchの信号をフロントLRに分けなければなりませんが、大方そこまでフォローしていません。単純にソースの各チャンネルの音をアナログ変換して出力しているだけのものが多いのです。プレーヤーにはAVアンプのようなDSPを搭載されていないのだから、当然といえば当然です。

結果としてセンターchは再生されず、「ヴォーカルが聞こえない」なんてことになりかねません。アナログマルチch出力を持ったSACDプレーヤーが廃れたのにはこういった事情もあるのです。

この点AVアンプなら、プレーヤーとHDMIで繋いでしまえば、AVアンプのスピーカー設定に合わせて各チャンネルに正しく振り分けられ、視聴環境のディレイ(各スピーカーからの距離の違い)やゲイン差(各スピーカーの音量差)も補正された状態で、きちんとマルチchの作品として再生されます。

冨田勲の「惑星(Ultimate Edition)」SACD(4.0ch)は、音が自由に部屋中を飛び回るまさに映画的サウンドで、ちょっとした宇宙旅行に私たちを誘ってくれます。また、DVDオーディオ「クリムゾンキングの宮殿」(MLP LOSSLESS 5.1ch)も、やや腰高ながら、自分がバンドに取り囲まれているかのような感覚に包まれマルチchの愉しさを味わえます。とくに『MOONCHILD』の特異な世界観は2chではなかなか味わえません。

なお、再生時「サウンドモード」が選べるのですが、音楽ソースでは「MUSIC」を選ぶと各楽器が克明に描かれるイメージなので、購入したらぜひ試してみてください。

ネットワークプレーヤーとしても十分な性能

本モデルはネットワークレシーバーとしての機能を一通りフォローしていますが、スタンダードモデルということもあり、必要な機能以外はカットしたシンプルな造りとなっています。

再生に際しては、CINEMA70sと接続するディスプレイ画面と本体正面の丸窓、およびリモコンでも操作できますが、「Pure Direct」にしてしまうとこれら画面が消えてしまいます。また、丸窓の表示が日本語に対応しておらず文字化けしてしまうのも、「MODEL 40n」では小さいながらもキチンと表示できていただけに残念。結局、ネットワークオーディオを便利に再生するには「HEOS」アプリは必須といえるでしょう。



基本性能をきっちり押さえた“ザ・スタンダード”。ベストセラーの血を受け継ぐ、隙のないつくり

本モデルは最新AVアンプとしての基本性能をきっちり押さえ、8K/60p、eARC、HDCP2.3をフォローする6入力/1出力のHDMI端子を搭載し、ほとんどのフォーマットを受け入れます(DSDはUSBメモリとネットワークのみ)。

惜しむらくは、丸窓ディスプレイに日本語が表示できない、USB DACとしての機能がない、HDMIからDSDを取り込めないことぐらいでしょうか。でもこの価格のAVアンプにそれはないものねだりでしょう。

そして「Pure Direct」は、SNと定位がグンと良くなるので、ぜひ活用して欲しいです。


フロントパネルの「STATUS」ボタンを押せば丸窓にソース情報が表示されるのはいい!



マイクを駆使した自動音場補正Audessyを試しましたが各チャンネルの滑らかな繋がりを実感。補正による音の劣化もなく、部屋が変型の場合やアンプの設定に慣れていない人にオススメ


まとめ AVアンプの基本を教えてくれる、初心者のベストチョイス

薄型AVアンプとしてベストセラーを続けてきたマランツのNRシリーズ。その後を託されたCINEMA70sは、あえて奇をてらうのではなく必要なものだけを厳選し薄型の筐体にきっちりと盛り込むことで、実売10万円程度でAVアンプとしての基準を新デザインでも守り抜いていると思いました。わたしもかつてリビングでNR1609を使用していたことがありますが、どんなソースにもたおやかに対応し、普段使いにピッタリの安定感だった記憶があります。

特筆すべきは、小音量でもきっちり楽曲の骨(ヴォーカル、低音楽器)が聞き取れること。実生活では、かぶりつきで映画を観るシーンよりも、リビングでBGM的にネットワークで音楽を聴くシーンが多いと思うので、とても大切なことです。

AVアンプというものの良さを知り、マルチchの愉しさをこれから深めてステップアップを狙おうというユーザーにとって、必要かつ十分な一台と言えるでしょう。


アバックの隠れ覆面レビュワー「ラビットBW」です。もしもネットでポチったらどうなるか?を一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします!
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商品コード: CINEMA70SB
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