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[自宅レビュー!]
シンプルなHDMI付き2chネットワークアンプ
デノン「HOME AMP」
どんなスピーカーでもどんと来い
覆面レビュワー「ラビットBW」です。消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。
今回は、マランツ「MODEL M1」の後塵を拝した感があるデノン「HOME AMP」を取り上げます。両者のどこが違うのか、さらに使いこなしとしてメガネケーブルによるグレードアップも試してみます。

[関連記事]「MODEL M1」
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[特徴]
●「HOME AMP」のポイント
・マランツ「MODEL M1」のデノン版
・CDとアナログチューナーを取り去り、eARCとネットワーク中心にリデザイン
・およそ20センチ四方のコンパクトボディ


●実際使ってみたら凄かった!
・「MODEL M1」と結構違う、おっとりサウンド
・スピーカーを選ばない対応力
・電源ケーブルの交換にリニアに反応
■デザイン 「MODEL M1」とほぼ同サイズ
リモコンがなく、本体ディスプレイがないことは「MODEL M1」と同様です。外観や操作性で異なるのは、フロントパネルに「クイックセレクトボタン」が3つあることといっていいでしょう。


フロントパネル。右が「HOME AMP」

そのほかは、スマートフォンアプリ(HEOS)と、HDMI接続したテレビを通して操作します。


「MODEL M1」が幅約22cm×奥行き24cm、質量2.2kgに対し、「HOME AMP」は約21.7cm×24.2cm、2.1kg。ほんの少し大きく、ほんの少し軽い


「MODEL M1」と並べてみると、端子類がほぼ同じ位置にあるのが分かります


「MODEL M1」(左)は本体底面に三脚穴も
■設定のコツ HDMIと宅内ネットワークは必須
「HOME AMP」も、「MODEL M1」と同様、宅内ネットワークとHDMIがある環境がアタリマエとして想定されていること。HDMIコントロール(CEC)機能を有効にすれば、繋いだTV等のリモコンでそのまま音量調節も行えます。


「MODEL M1」のようにデジタルフィルターを選択する機能はありません


クオリティは「高品質」に設定しましょう


Quick Selectが設定できます


■ネットワークで音楽再生 ちょっとおっとりしてクラシック向きか


まずはiPhoneの「HEOS」アプリを操作し、宅内NASの音源を聴いていきます。繋いだスピーカーは、KEF「Reference5」。


まずはクラシック。多くの映画や演劇曲を手掛けるピアニスト&作曲家アルベルト・ギノバルトの協奏曲第一番は、甘い響きのピアノソロと、ダイナミックな交響楽団のスケール感のコントラストが聴き所です。


まず印象的なのは、「MODEL M1」同様のSN感。もっとも「MODEL M1」ではファントムの定位感と、中低域の瞬発力が目立ったのですが、「HOME AMP」は、それよりも、オーケストラのスケール感と、独特のホール感が映えます。
オーケストラが音場豊かで、奥へ奥へと展開します。音域的にはややハイ寄りで、金管やシンバルなどが煌びやかに引き立つ印象があります。「Reference5」はウーファー4発とはいえもともと比較的鳴らし易いのですが、だとしても「HOME AMP」にパワー不足はあまり感じません。
クラシックが良さそうだなと思いながら、つぎに、「MODEL M1」で鳴りっぷりがよかった最新POPSを聴いてみましょう。

BUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」を再生します。藤原のヴォーカルがバックよりも立つのですが、「MODEL M1」ほど厳格なファントム定位ではなく、ちょっとエコーがかった艶やかなヴォイシングです。SNがいいのと相まって、わかりやすく“映える”サウンドで、とても心地よく聞けます。マニアが音を超高音域から超低音域まで正確に聴こうというよりも、日常使いで気持ちよく楽しく音楽を聴くのに相応しいといえます。


もっとも、上原ひろみの「MOVE」のような高音質ハイレゾファイルも、アンソニーのベースやサイモンのドラムスが膨らむことなく、上原のピアノに寄り添いウェルバランスで鳴っています。また、ヘヴィーメタルBABYNETALを掛けてみても、不思議と音場に奥行きがあり、音域上下の抑制も効いています。「MODEL M1」のように中域のもっこり感はほどほど、スピード感もスリリングというわけではなくややおっとりなところは、やっぱりどことなくデノンっぽいんです。

「HOME AMP」には「MODEL M1」のような「デジタルフィルター1/2」の切り替えがないのは前述の通り。「DENON HOME」のサウンドは「MODEL M1」の「デジタルフィルター2」に近い印象ですが、それよりさらにおっとりしているかも知れません。

試しに派手めの80年代洋楽Archadia「Election Day」、クラシックDutoit指揮Montreal交響楽団「BOLERO」などを結構な音量に上げて再生してみるも、下品になることなく、やはりどこかおっとりしています。雰囲気的には、Charlie Haden & Pat Metheny「New Cinema paradise」なんかドンピシャ。 デノンのCDプレーヤーを好むユーザーにマッチングしそうなサウンドです。


■映画鑑賞 アクション系は「MODEL M1」、「HOME AMP」はドラマ向け
では、映像作品はどうでしょうか?マグネターUHD BDプレーヤー「UDP800」で、4K Blu-ray映像作品を再生してみましょう。TV代わりのプロジェクターLG「HU85LS」とHDMIで繋いだeARC音声です。
このような2ch音声のHDMI端子と繋ぐときは、通常、ソース側出力の設定を「PCM」にしなければならないところ、ビットストリームのままでも受けられるのは初心者にはうれしい。

「SIVIL WAR」のクライマックスシーン。戦場カメラマンたちが軍隊と共にホワイトハウスに突撃していきます。爆撃の重低音はAVアンプには敵わないものの、一般家庭のリビングなら十分でしょう。
「MODEL M1」と比較するなら、切れ味は「MODEL M1」、包囲感は「HOME AMP」か。セリフとヘリの金属的な旋回音、銃の装填音は「HOME AMP」が耳に付きますが、低域はやや緩めでどこか優しい。
この手の映画を観るなら「MODEL M1」の「フィルター1」が切れ味良く聴き映えする中低域が張り出して聞こえていいかも知れません。
■「HOME AMP」と「MODEL M1」の最大の違い
「MODEL M1」はブックシェルフスピーカー向けの中低域もっこりサウンドと、以前のレビューで書きました。では「HOME AMP」はどうでしょう?試しにスピーカーを、普段はリアに使っているKEFのブックシェルフスピーカー「R3」に繋いでみます。
驚いたことに、フロントの「Reference5」と全体のバランス、印象は変わりません。「HOME AMP」は、スピーカーを選ばないチューニングになっていると感じます。

今回改めて聴いてみても、「MODEL M1」はやはりウーファー4発の「Reference5」では中低域が強調されすぎで、「R3」クラスのブックシェルフサイズのスピーカーを念頭に、中低域を持ち上げたチューニングになっているように思います。


■使いこなし 電源ケーブルを代えてみると、アタリマエだけど全然違う!
ところで、「HOME AMP」は、電源ケーブルがメガネ型インレット。グレードアップの第一歩としてこれを取り替えるのが手っ取り早く、拙宅でも「お作法」として、すべての機器で価格帯に見合った電源ケーブルを組み合わせています。
とはいえ、メガネ型インレットは選択肢は少なく、かつてはオーディオクエストやオヤイデなどを使っていましたが、最近では諦めていました。ところが最近、Apple TVなどメガネ型インレットの製品が増えたこともあり、各社から多くのメガネ型インレットつき電源ケーブルが発売されています。


「MODEL M1」の電源ケーブルと比べても細い「HOME AMP」の電源ケーブル(左)

今回はせっかくの機会なので、3種類ラインナップするSAECの全モデルを聞き比べてみます。

PL3800MM(定価20,900円/1.5m/23年7月発売)は、同社エントリー2P電源ケーブルPL-3800のインレット側をフルテックのメガネ型インレットFI8.1Nに換装したモデル。そのためPL-3800(定価18,150円/1.5m/17年10月発売)より高価になっています。


聴いてみると、SNが向上し、ストレスなく中低域が押し出されるようになるのは予想通りですが、「HOME AMP」の長所であるウォームな方向がより高まり、厚みが向上しました。
たとえば、BUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」では、バックの各楽器が分離が向上。高域の耳に付く感じが消えてグンと落ち着き、アンプのグレードが向上したかのようです。クラシックのアルベルト・ギノバルトでは、とにかくSNが向上。驚くほど静かになります。上原ひろみ「MOVE」は、ピアノのアタック感やドラミングが別物のように向上。かといってハットが五月蠅くなることはなく、なるほどこれが「HOME AMP」の実力かと。セールストーク抜きで、バスドラとベースの響きも付属品で聴くサウンドとはまったく別物です。アタリマエなんですが…。

次に聴いたのは、PL-4400MM(定価42,900円/1.5m/23年7月発売)は、PC Triple C導体を使った切り売りのAC-3000にフルテックのメガネ型インレットFI8.1Nと3P差し込みプラグFI-11M-N1を装着したモデル。


これはものすごくクリアーな方向に鮮度がアップ。中低域も持ち上がってしまい「HOME AMP」の体力以上のものを求めてしまうハメに。まるで「HOME AMP」のアラ探しをするようでちょっとやり過ぎかなと感じました。

さいごに、PL-5900M(定価57,200円/1.5m/20年10月発売)。フルテックのメガネ型インレットFI-8N(G)と3P差し込みプラグFI-11M-N1(G)を装着したモデル。価格はノーマルのインレットFI-11-N1(G)を使ったPL5900と同じです。網タイツも履いています。


まず、インレットが前2モデルのFI8.1Nよりも大ぶりのFI-8N(G)で刺さるか心配されましたが、無事刺さりました。


肝心のサウンドですが、PL-4400MMよりさらにハイパワーになって手に余るのかと思っていましたが、杞憂でした。3本の中でいちばんバランスが良好。高音域と中低域に偏りがなく、SNがよくひたすら静か。PL-4400MMほどカッチリ明晰すぎることもなく、PL-3800MMのような膨よかさもほどほどに蓄え、ちょっとウォーム方向の心地よさもあります。

結論としては、「HOME AMP」の本体価格とのバランスからいってもPL-3800MMがちょうどよく、少なくとも付属品をこれと代えないと「HOME AMP」が勿体ないことは明らかに。なお、今回お預かりしたPL-4400MMとの組み合わせではサウンドがちょっと硬かったのですが、ひょっとするとエージング不足かも知れませんので、あくまでご参考程度に。
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■まとめ 同じようで意外と違う両者のチューニング
「HOME AMP」は、持てる素材をそのまま生かし、実直にフラットに仕上げているようです。スピーカーも大型、小型で印象は変わりません。
また、音質的にも若干ハイ側にアクセントがあるにせよ、少し緩めのチューニングにしてあるので、リラックスして聴きやすく、音場は奥行き方向に振っています。デノンCDプレーヤーを愛用してこられたユーザーには馴染みやすいサウンドでしょう。
一方の「MODEL M1」は、かなり元気が良く、中低域がもっこり。「デジタルフィルター1」にするとキレが良くアクション映画向きです。

いかがでしたか?「MODEL M1」と「HOME AMP」は、おそらく主要部分は共通でしょうが、仕上がりは意外と違うというなかなか興味深い結果となりました。ここ数年、音にブランドのカラーが見えにくく、モデル毎にキャラクターが違うので聞いてみないと分からないと感じていましたが、今回は比較的、従来の「デノンvsマランツ」の音作りの印象そのままでした。

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¥99,000 税込
商品コード: DENONHOMEAMPK
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