[自宅レビュー!]
突如現れたオーディオ界の牛若丸!?
2chネットワークアンプ マランツ「MODEL M1」
Model40nクラスのガッツある中低域&ビシッと決まる定位
覆面レビュワー「ラビットBW」です。消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。
今回は、マランツの今年最大の目玉ともいえる6月14日発売の新作「MODEL M1」を取り上げます。
コレ簡単に言うと、以前レビューして「パラレルBTL」の実力実証済の“THE CDレシーバー”「M-CR612」の実質的な派生モデル。CDとアナログチューナーを外し、代わりにHDMIを追加した“現代版レシーバー”です。定価は「M-CR612」の99,000円から一気に上がって154,000円。もはやミニコンポとは言い辛い価格ですが、その価格差に秘められた実力とは⁉
[特徴]
●「MODEL M1」のポイント
・ベストセラーCDレシーバー「M-CR612」の実質的後継モデル
・4ch“分”アンプを使ったM-CR612「パラレルBTL」が、本機ではデフォルトに
・CDとアナログチューナーを取り去り、eARCとネットワーク中心にリデザイン
・およそ20センチ四方のコンパクトボディ
●実際使ってみたら凄かった!
・Model40n並みのスピーカー駆動力
・どっしり落ち着いた中低域&キラリと光る精確かつ繊細なアレンジ表現力
・ディスプレイなし、リモコンなし、同軸なしの潔さ
■デザイン Apple TVが4個分さいず。リモコン、ディスプレイなしの潔さ
「新コンセプト」と各種メディアで謳われている「MODEL M1」。思うに、近年のマランツアンプ路線を見ている限り、“必然”と言えるモデルです。
理由は3つ。冒頭に書いたように、(1)ワンパッケージで何でも聴けるミニコンポの核として、住宅のみならず、喫茶店などでも活躍してきた大ベストセラーCDレシーバー「M-CR612」の後継という重責を担わされたに違いないこと。それに、(2)いちはやくHDMIを搭載したネットワークプリメインアンプ「MODEL 40n」が予想を上回る人気を獲得したこと。これらを踏まえて、(3)フィボナッチ関数を思い起こさせるメッシュ柄の新マランツデザインを採用したミニレシーバーになること。
もっとも、これは随分思い切ったなと驚いたのは、(1)リモコンがないこと、(2)本体ディスプレイがないこと。
しかし、実際に繋いでみれば分かるとおり、設定はスマートフォンアプリ(HEOS)とHDMI接続したテレビ画面を使えば良く、本体ディスプレイと十字キーでカチカチやる必要はあまりないのです。
「リモコンなし」「ディスプレイなし」の発想は、オーディオマニア的には「ありえない」かも知れませんが、サウンドバーを最初に検討するような“NOTマニア”にはむしろ“フツー”といえるでしょう。
意匠も、天板の「Waved Top Mesh」トップカバーと、マットで角が取れネジが見当たらないフォルムは極めてシンプルかつ上品。リビングに棚置きでもいいし、デスクトップのディスプレイ下に置いても邪魔になりません。

幅約22cm×奥行き24cm、質量2.2kg。ちなみに「M-CR612」は約28cm×30cm、3.4kg

最近のマランツ製品に特徴的な“フィボナッチ柄”は天面メッシュとして反映。フロントパネルにポーズボタンと音量ボタンは備わる。本体下に白いインジケータ

Apple TVとの比較。専有面積でおよそ4個分といったところ

リアパネル。スピーカー端子は1対になり、アナログ出力は省略。ちなみに電源は「M-CR612」同様、メガネインレット
今回は、マランツの今年最大の目玉ともいえる6月14日発売の新作「MODEL M1」を取り上げます。
コレ簡単に言うと、以前レビューして「パラレルBTL」の実力実証済の“THE CDレシーバー”「M-CR612」の実質的な派生モデル。CDとアナログチューナーを外し、代わりにHDMIを追加した“現代版レシーバー”です。定価は「M-CR612」の99,000円から一気に上がって154,000円。もはやミニコンポとは言い辛い価格ですが、その価格差に秘められた実力とは⁉
[特徴]
●「MODEL M1」のポイント
・ベストセラーCDレシーバー「M-CR612」の実質的後継モデル
・4ch“分”アンプを使ったM-CR612「パラレルBTL」が、本機ではデフォルトに
・CDとアナログチューナーを取り去り、eARCとネットワーク中心にリデザイン
・およそ20センチ四方のコンパクトボディ
●実際使ってみたら凄かった!
・Model40n並みのスピーカー駆動力
・どっしり落ち着いた中低域&キラリと光る精確かつ繊細なアレンジ表現力
・ディスプレイなし、リモコンなし、同軸なしの潔さ
■デザイン Apple TVが4個分さいず。リモコン、ディスプレイなしの潔さ
「新コンセプト」と各種メディアで謳われている「MODEL M1」。思うに、近年のマランツアンプ路線を見ている限り、“必然”と言えるモデルです。
理由は3つ。冒頭に書いたように、(1)ワンパッケージで何でも聴けるミニコンポの核として、住宅のみならず、喫茶店などでも活躍してきた大ベストセラーCDレシーバー「M-CR612」の後継という重責を担わされたに違いないこと。それに、(2)いちはやくHDMIを搭載したネットワークプリメインアンプ「MODEL 40n」が予想を上回る人気を獲得したこと。これらを踏まえて、(3)フィボナッチ関数を思い起こさせるメッシュ柄の新マランツデザインを採用したミニレシーバーになること。
もっとも、これは随分思い切ったなと驚いたのは、(1)リモコンがないこと、(2)本体ディスプレイがないこと。
しかし、実際に繋いでみれば分かるとおり、設定はスマートフォンアプリ(HEOS)とHDMI接続したテレビ画面を使えば良く、本体ディスプレイと十字キーでカチカチやる必要はあまりないのです。
「リモコンなし」「ディスプレイなし」の発想は、オーディオマニア的には「ありえない」かも知れませんが、サウンドバーを最初に検討するような“NOTマニア”にはむしろ“フツー”といえるでしょう。
意匠も、天板の「Waved Top Mesh」トップカバーと、マットで角が取れネジが見当たらないフォルムは極めてシンプルかつ上品。リビングに棚置きでもいいし、デスクトップのディスプレイ下に置いても邪魔になりません。
幅約22cm×奥行き24cm、質量2.2kg。ちなみに「M-CR612」は約28cm×30cm、3.4kg
最近のマランツ製品に特徴的な“フィボナッチ柄”は天面メッシュとして反映。フロントパネルにポーズボタンと音量ボタンは備わる。本体下に白いインジケータ
Apple TVとの比較。専有面積でおよそ4個分といったところ
リアパネル。スピーカー端子は1対になり、アナログ出力は省略。ちなみに電源は「M-CR612」同様、メガネインレット
■設定のコツ HDMIと宅内ネットワークは必須
「M-CR612」ともっとも違うのは、宅内ネットワークとHDMIのある環境がデフォルトとして想定されていること。HDMIコントロール(CEC)機能を有効にすれば、繋いだTV等のリモコンでそのまま音量調節も行えます。
(写真21〜27)「HEOS」アプリの「セットアップアシスタント」に従って設定していけば誰でも簡単にTV等のリモコン等のリモコンで操作できるように。拙宅でもTV等のリモコン等のリモコン代わりのプロジェクターLG「HU85LS」のリモコンでボリュウム操作ができました
「MODEL M1」をネットワークに繋ぎ、同一ネットワーク上のiPhoneで「HEOS」アプリを起動すると、デバイスとして「Marantz MODEL M1」が認識されます。対応していないテレビのリモコンも、「HEOS」の学習機能を使えば赤外線でコントロールできる、マランツがかつて熱心に取り組んだリモコン学習機能を備えています。

マランツ得意のデジタルフィルターも「フィルター1」「フィルター2」を装備。鋭い1とゆったり目の2をソースに合わせて使い分けたいところです。

クオリティは「高品質」に設定しましょう

「省電力」はオフに
「M-CR612」ともっとも違うのは、宅内ネットワークとHDMIのある環境がデフォルトとして想定されていること。HDMIコントロール(CEC)機能を有効にすれば、繋いだTV等のリモコンでそのまま音量調節も行えます。
(写真21〜27)「HEOS」アプリの「セットアップアシスタント」に従って設定していけば誰でも簡単にTV等のリモコン等のリモコンで操作できるように。拙宅でもTV等のリモコン等のリモコン代わりのプロジェクターLG「HU85LS」のリモコンでボリュウム操作ができました
「MODEL M1」をネットワークに繋ぎ、同一ネットワーク上のiPhoneで「HEOS」アプリを起動すると、デバイスとして「Marantz MODEL M1」が認識されます。対応していないテレビのリモコンも、「HEOS」の学習機能を使えば赤外線でコントロールできる、マランツがかつて熱心に取り組んだリモコン学習機能を備えています。
マランツ得意のデジタルフィルターも「フィルター1」「フィルター2」を装備。鋭い1とゆったり目の2をソースに合わせて使い分けたいところです。
クオリティは「高品質」に設定しましょう
「省電力」はオフに
■ネットワークで音楽再生 Model40n並みの押し出し感&キレ
まずはiPhoneの「HEOS」アプリから、宅内NASの音源を聴いていきます。
多くの映画や演劇曲を手掛けるピアニストで作曲家のアルベルト・ギノバルトの自作自演協奏曲第一番は、甘い響きのピアノソロと、サンクト・ペテルブルク国立アカデミー交響楽団も加わったダイナミックなシーケンスとの抑揚が聴き所。

まず印象的なのは「静かだ」ということ。そして、オーケストラが加わったところのダイナミックな出音。SNのよさと、サイズからは想像できない瞬発力あるスピーカー駆動に一瞬にして魅了されることでしょう。
しばらく聴いていくと、抜群の定位感に気づきます。ちょっと神経質すぎないかと思うほど、キッチリとあるべき位置にファントム定位(2つのスピーカーの位相差で音の配置を明らかに示すこと)をします。
この感じ、以前、Marantz「Model40n」を聴いたときの印象に凄く似ています。そのときのレビューを引用すると・・・
「一聴して分かるのは、ビシッと決まるファントム定位(左右のスピーカーの中央に音像が定位すること)。人の声は、正面に小さく絞られた口の位置に正確に再現されるイメージです。
ちょっと神経質かと思うほど正確ですが、音質自体は、硬質な鉛筆で描いたように線が細く耳に刺さるようなものではありません。低域も、ひとたび入るとズーンと延びがいい。量感重視の往年の大口径ウーファースピーカーよりも、スピード感ある現代型スピーカーに合うのは間違いないと思います」
そうそう、まさにコレ。けっこうキッチリ&カッチリですが、かといって耳に痛いほど硬質でもない。まさに最新の配信曲などがピッタリだろうなと想像します。

そこでAmazon Musicにして、Creepy Nuts「Bling Blin」、Mrs.GREEN APPLE「ライラック」、Omoinotake「幾億光年」、米津玄師「さよーならまたいつか!」、Da-iCE「I wonder」、Vaundy「タイムパラドックス」、milet「hanataba」あたりを聴くと、ちょっとギラギラした野望を感じる活きのよさが、とても堪能できました。
こうして、今繋いでいるウーファー4発の拙宅のスピーカーKEF「Reference5」を十分ドライブしてくれることは分かりました。

もっとも、「MODEL M1」は、ヴォーカル帯と中低域を少し盛っている印象もあるので、中小ブックシェルフスピーカーであっても大切な帯域を鳴らし切ってくれそうに思い、普段はリアchに使用しているKEFのブックシェルフスピーカー「R3」にしてみると、やはり相性が良く感じます。

もっとも最近の曲には、MY FIRST STORY & HYDE「夢幻」やILLIT「Magnetic」、TOMORROW×TOGETHER「ひとつの誓い」など元ファイルから低音が過剰気味のものも多々あります(XG「WOKE UP」は狙ってると思いますが)。そんなときはお好みでイコライザーでちょっと低音を補正してあげればOKです!

「HEOS」アプリ下で簡単に補正できるので積極的に活用しよう
ちなみに、BABYMETALは補正なしでも低音が引き締まり、押し出し良好でした。
スピーカー次第ですが、なかなかの押し出し感なので、ゆったりアンビエントに聞き流す感じではないかも知れません。最新曲の配信をアプリで次々に再生していくハイファイな使い方にピッタリです。
まずはiPhoneの「HEOS」アプリから、宅内NASの音源を聴いていきます。
多くの映画や演劇曲を手掛けるピアニストで作曲家のアルベルト・ギノバルトの自作自演協奏曲第一番は、甘い響きのピアノソロと、サンクト・ペテルブルク国立アカデミー交響楽団も加わったダイナミックなシーケンスとの抑揚が聴き所。
まず印象的なのは「静かだ」ということ。そして、オーケストラが加わったところのダイナミックな出音。SNのよさと、サイズからは想像できない瞬発力あるスピーカー駆動に一瞬にして魅了されることでしょう。
しばらく聴いていくと、抜群の定位感に気づきます。ちょっと神経質すぎないかと思うほど、キッチリとあるべき位置にファントム定位(2つのスピーカーの位相差で音の配置を明らかに示すこと)をします。
この感じ、以前、Marantz「Model40n」を聴いたときの印象に凄く似ています。そのときのレビューを引用すると・・・
「一聴して分かるのは、ビシッと決まるファントム定位(左右のスピーカーの中央に音像が定位すること)。人の声は、正面に小さく絞られた口の位置に正確に再現されるイメージです。
ちょっと神経質かと思うほど正確ですが、音質自体は、硬質な鉛筆で描いたように線が細く耳に刺さるようなものではありません。低域も、ひとたび入るとズーンと延びがいい。量感重視の往年の大口径ウーファースピーカーよりも、スピード感ある現代型スピーカーに合うのは間違いないと思います」
そうそう、まさにコレ。けっこうキッチリ&カッチリですが、かといって耳に痛いほど硬質でもない。まさに最新の配信曲などがピッタリだろうなと想像します。
そこでAmazon Musicにして、Creepy Nuts「Bling Blin」、Mrs.GREEN APPLE「ライラック」、Omoinotake「幾億光年」、米津玄師「さよーならまたいつか!」、Da-iCE「I wonder」、Vaundy「タイムパラドックス」、milet「hanataba」あたりを聴くと、ちょっとギラギラした野望を感じる活きのよさが、とても堪能できました。
こうして、今繋いでいるウーファー4発の拙宅のスピーカーKEF「Reference5」を十分ドライブしてくれることは分かりました。
もっとも、「MODEL M1」は、ヴォーカル帯と中低域を少し盛っている印象もあるので、中小ブックシェルフスピーカーであっても大切な帯域を鳴らし切ってくれそうに思い、普段はリアchに使用しているKEFのブックシェルフスピーカー「R3」にしてみると、やはり相性が良く感じます。
もっとも最近の曲には、MY FIRST STORY & HYDE「夢幻」やILLIT「Magnetic」、TOMORROW×TOGETHER「ひとつの誓い」など元ファイルから低音が過剰気味のものも多々あります(XG「WOKE UP」は狙ってると思いますが)。そんなときはお好みでイコライザーでちょっと低音を補正してあげればOKです!
「HEOS」アプリ下で簡単に補正できるので積極的に活用しよう
ちなみに、BABYMETALは補正なしでも低音が引き締まり、押し出し良好でした。
スピーカー次第ですが、なかなかの押し出し感なので、ゆったりアンビエントに聞き流す感じではないかも知れません。最新曲の配信をアプリで次々に再生していくハイファイな使い方にピッタリです。
■ブックシェルフスピーカーで「フィルター2」が好適
では、映像作品はどうでしょうか?ソニーUHD BDプレーヤー「UBP-X800M2」で、4K Blu-ray映像作品を再生してみましょう。TV代わりのプロジェクターLG「HU85LS」とHDMIで繋いだeARC音声です。
「君たちはどう生きるか」を再生すると、「MODEL M1」のデジタルフィルター「フィルター1」では、キレはあるのですが、ちょっと主人公・眞人のセリフがハイ上がりな印象。
そこですこしゆったり目になる「フィルター2」にすると、中低域を中心に厚みも出てふっくら音像もやや膨らみ、2ch再生なのに、ATMOSマルチチャンネル再生の印象に近づきます。
とくに眞人が“地獄”に行ってからの、それぞれのステージでの非現実的な空間を、きちんと異なるように描き分けます。サブウーファーがなくても立派なサウンドステージです。テーマ曲の米津玄師「地球儀」も低音たっぷりで、オーディオ試聴時と同じイメージです。
こんどは「トップガン マーヴェリック」。「フィルター1」がキレ味鋭くて合うかと予想して再生してみると、たとえば冒頭のシークエンス、テロップからはじまるタッチ&ゴーの轟音、Kawasakiのバイクのエンジン音などは、むしろ「フィルター2」の厚みを伴うサウンドの方が、胸躍る再生音でした。
一方、「パープルレイン」で、ヒロインのアポロニアを泣かせる「The Beautiful Ones」では、「フィルター2」にすると低音が膨らみすぎかも。「フィルター1」にして耽美的な絶叫を堪能したいところです。
ちなみに、ふとどうかと思い、Apple Musicでマライア・キャリーの同曲カバーを再生してみると、やっぱり低音が分厚く、聴くと「フィルター2」ではサビが暑苦しすぎました・・・。
そこで、映画再生でも、普段はリアに使っているKEF「R3」をステレオ再生として繋いでみました。
するとこれがドンピシャのバランス。「フィルター1」で小気味いいのはもちろん、「フィルター2」でも低音が重すぎません。やはり「MODEL M1」は、本来はブックシェルフサイズのスピーカーを念頭にチューニングしているように思います。
■まとめ 価格とサイズを超えた“BTLらしい”ウーファー駆動力
驚くほどシンプルに徹してアッセンブルされたアンプ「MODEL M1」。デジタル時代のレシーバーとして、音はネットワーク&スマホ操作、映像はHDMI&TVリモコンに整理され、狙いを理解すれば非常に使いやすくなっています。
上記の通り、最初から“BTL構成”のクラスDアンプを搭載し、実力は「Model40n」並み。トールボーイスピーカーを鳴らしこなす実力があるモデルですが、映画を中心にブックシェルフスピーカーをブリブリ鳴らしたいという人にもうってつけ。早くもロング&ベストセラーの予感です。
では、映像作品はどうでしょうか?ソニーUHD BDプレーヤー「UBP-X800M2」で、4K Blu-ray映像作品を再生してみましょう。TV代わりのプロジェクターLG「HU85LS」とHDMIで繋いだeARC音声です。
「君たちはどう生きるか」を再生すると、「MODEL M1」のデジタルフィルター「フィルター1」では、キレはあるのですが、ちょっと主人公・眞人のセリフがハイ上がりな印象。
そこですこしゆったり目になる「フィルター2」にすると、中低域を中心に厚みも出てふっくら音像もやや膨らみ、2ch再生なのに、ATMOSマルチチャンネル再生の印象に近づきます。
とくに眞人が“地獄”に行ってからの、それぞれのステージでの非現実的な空間を、きちんと異なるように描き分けます。サブウーファーがなくても立派なサウンドステージです。テーマ曲の米津玄師「地球儀」も低音たっぷりで、オーディオ試聴時と同じイメージです。
こんどは「トップガン マーヴェリック」。「フィルター1」がキレ味鋭くて合うかと予想して再生してみると、たとえば冒頭のシークエンス、テロップからはじまるタッチ&ゴーの轟音、Kawasakiのバイクのエンジン音などは、むしろ「フィルター2」の厚みを伴うサウンドの方が、胸躍る再生音でした。
一方、「パープルレイン」で、ヒロインのアポロニアを泣かせる「The Beautiful Ones」では、「フィルター2」にすると低音が膨らみすぎかも。「フィルター1」にして耽美的な絶叫を堪能したいところです。
ちなみに、ふとどうかと思い、Apple Musicでマライア・キャリーの同曲カバーを再生してみると、やっぱり低音が分厚く、聴くと「フィルター2」ではサビが暑苦しすぎました・・・。
そこで、映画再生でも、普段はリアに使っているKEF「R3」をステレオ再生として繋いでみました。
するとこれがドンピシャのバランス。「フィルター1」で小気味いいのはもちろん、「フィルター2」でも低音が重すぎません。やはり「MODEL M1」は、本来はブックシェルフサイズのスピーカーを念頭にチューニングしているように思います。
■まとめ 価格とサイズを超えた“BTLらしい”ウーファー駆動力
驚くほどシンプルに徹してアッセンブルされたアンプ「MODEL M1」。デジタル時代のレシーバーとして、音はネットワーク&スマホ操作、映像はHDMI&TVリモコンに整理され、狙いを理解すれば非常に使いやすくなっています。
上記の通り、最初から“BTL構成”のクラスDアンプを搭載し、実力は「Model40n」並み。トールボーイスピーカーを鳴らしこなす実力があるモデルですが、映画を中心にブックシェルフスピーカーをブリブリ鳴らしたいという人にもうってつけ。早くもロング&ベストセラーの予感です。
MODEL M1 marantz [マランツ] ワイヤレス・ストリーミング・アンプ 下取り査定額20%アップ実施中!
¥128,700
税込
商品コード: MODELM1