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LFE用サブウーファーは小型or大型?
選び方&使いこなし
Welcome to Hell⁉ これぞAV道の極み
覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべくリポートします。

前回、英国ブランドKEFのエントリーラインのサブウーファー2モデル「Kube 8 MIE」「Kube 15 MIE」を自宅にお預かりし、試聴&レビューしました。内蔵アンプは同じ300Wで、ウーファー口径が8インチ(約20センチ)と15インチ(約38センチ)を、拙宅の環境で試すという貴重な機会は、私自身にもたいへん参考になりました。(すでに「Kube 15 MIE」が欲しくなっています・・・)



今回は、前回の試聴に加え、過去に色々な環境で色々なモデルを経験してきたことも踏まえて、ホームシアターにおけるLFEサブウーファーのポイントを私見ですがお伝えできたらと思います。上手くいけば快感、そうでなければ作品全体がくぐもった印象になりますので、理想の低域再現に向けてがんばっていきまっしょい!
■サブウーファーを考える前に。メインスピーカー気に入ってますか?

最近のAVアンプの性能やATMOS収録のUHD BDソフトを踏まえ実感しているのは、まず第一に、5.1ch時代に金科玉条のように唱えられた「ITU-R配置」と呼ばれるスピーカー配置にこだわる必要がもはやなくなったのではないか?ということです。(日本オーディオ協会のHPにも、より自由度を増したガイドラインが提案されています https://www.jas-audio.or.jp/network-hometheater/itu-r-speaker

一般的な生活環境に、ITU-Rのいう「同一のスピーカーを同心円状に定められた角度で配置する」ことは、事実上不可能です。とくに、センタースピーカーやサブウーファー、さらにはATMOS時代になってトップスピーカーもドルビーの勧告どおりに置くのが、実際の視聴環境との関係で自然かというと、家具があったり梁があったりして、なかなか上手くいかないのではないでしょうか?


できる限り左右の条件を揃えたり、アコースティックなルームチューニングを図ることが前提で理想ではありますが、フロント2chやトップスピーカーを使って、大画面の周りを充実させることが、視覚との関係で最重要であり、その上でAVアンプのスピーカー設定や音場補正機能などを最小限使って整えることで、高い成果が得られると考えています。

そういう「フロント重視」の考え方を前提にすると、コラム「トールボーイスピーカーのほうがブックシェルフスピーカーよりコスパがいい!?」で書いたように、まずお気に入りのフロント2chスピーカーをちゃんと吟味して選び切ることが大切だという考えに至ります。



逆に言うと、サブウーファーを検討する動機が「いまのメインスピーカーで物足りない低音を補強したい」というのであれば、フロントスピーカーの選択自体が合っていないか、いまの設置方法を見直す必要があるかも・・・。

というわけで、のっけからサブウーファー否定論に聞こえるかも知れませんが、サブウーファーを買う前の心構えを申し上げました。

[選ぶポイント]
・まず好みに合ったフロント2chスピーカーを選ぶこと
・映画はもちろん、音楽ライブやスポーツなどの臨場感やエア感を付加してくれるのが本来のサブウーファーの役割と心得ること
・そうすると、サブウーファーは基本的に無味無臭で、フロントスピーカーを邪魔しないものであることが理想。そのためには、フロント2chスピーカーのウーファーと相性がいいものを選ぶこと
■サブウーファーのサイズはどう選ぶ?

そうすると、サブウーファーのサイズも、フロント2chスピーカーとの関係を図るのが上手くマッチするカギだと思います。
「Kube MIE」を例に取ると、ウーファー口径は8インチから15インチまでの4種類。


「音は震える空気の波」なので、低音域を再生するウーファーなら、口径が大きい方が自然で無理なく大きな波を起こせます。ただ、大きいウーファーですと、一般には制動に時間が掛かります。この点、理屈の上では、口径が小さくても、ユニットの数を増やしたり、振幅を大きくすれば、同様のエネルギーが得られます。

拙宅のKEF Reference5は、5インチ(16.5cm)ウーファーが4発ですから、これに伍するエネルギーを得たいところ。ストローク(ウーファーの前後の振幅)が同じとすれば、理論上は拙宅のパイオニアS-W1EX(30cm、500W)でも良さそうですが、実際聴いてみると、「Kube 15 MIE」は300Wながら38cmならではの余裕を感じますし、デジタルアンプの駆動力を活かし、余計な響きがなく自然でした。S-W1EXは2つのユニット背面対向配置のように見えて、実はアクティブなユニットは正面1つで、背面はパッシブラジエータ。それに比べて密閉型の「Kube 15 MIE」は、トランジェント(過渡特性。電流が流れ終わってコーンが制動する早さ)がいいんでしょう。


お使いになる部屋のレイアウトなども考えて、「大口径1ユニット」、「背面対向2ユニット」、「サブウーファー2個使い」など、色々な検討の余地がありますよ。どの仕様、モデルにするのか悩むのが楽しいのです!

今回は、「Kube 8 MIE」と「Kube 15 MIE」を一台ずつ、たった10日ほどですが、あれこれやってみた感想を改めて下記にまとめます。拙宅のフロント2chスピーカーはKEF Reference5で、8畳間に横長配置です。
「Kube 15 MIE」は、振動板の素材感、エンクロージャー含めた響かせ方がKEFないしLINNのようなヨーロッパっぽさがあり、拙宅には合うんだなと思いました。ティンパニーの低いところがふわっと出ていい余韻と抜けのいい空気感が生まれました。映画ではたくさんのホコリが部屋を舞いました笑。

一方、リアに使っているKEFのブックシェルフスピーカーR3には「Kube 8 MIE」2個使いが面白そう。このサイズだと正直、ホールの響きやティンパニーのエア感というのは、フロントReference5が創り出す音場感には敵いませんでしたが、こと作品鑑賞という前提には、R3との組み合わせで十分叶っていたと思います。


まとめると、基本的には同じブランドの同じ振動板、たとえば、アメリカンなフロント2chスピーカーならアメリカンなサブウーファー、ヨーロピアンなフロント2chスピーカーならヨーロッパ系のブランドのサブウーファーが合いやすいと思います。
ちなみに、今回お預かりしていませんが、イクリプス(ECLIPSE)TDシリーズはほんとうに無味無臭なので、どんなメインスピーカーが来てもイケそうです。
■サブウーファーの置き方と設定

そうして迎え入れたサブウーファー。実際やってみると分かるのですが、サブウーファーを追加するのは、本当に難しいんです。
置き場所や置き方はもちろん、メインスピーカーとの相性、部屋の寸法比(天井高含む)が大きく影響し、実際に家で色々試してみるしかありません。


それこそ、壁から離してフロントスピーカー近傍内側にやや内振りに置いて良好ならそれがいいのですが(今回拙宅では、「Kube 15 MIE」の設定を「In-room」「PHASE=0°」でこのように置いて、概ね良好でした)、環境によっては、正面やコーナーの壁側に向けて(ただし壁から5〜20cmほど離して)「逆相(PHASE=180°)」にしたほうが自然でヌケがよく鳴る“かも”知れません。


「Kube MIE」シリーズには、置き場所に合わせて低音の反射を考慮する「EQ」(in-room、Wall/Cabinet、Corner)や「PHASE」をディップスイッチで調整可能。

AVアンプ側での調整と合わせ、実験を繰り返して使いこなしていただければ。もっとも、このEQ設定は、必ずしも実際の配置に囚われる必要はなく、より自然にヌケがよく聞こえる設定を探して色々試すのがよさそう

ちなみに、拙宅のAVプリ「YAMAHA CX-A5200」では、サブウーファー2台を接続する場合に、スピーカー設定で「モノラル2台」「左右配置」「前後配置」を選べます。

左右に同じサブウーファーを置けるのならば「左右配置」がオススメ。DVD時代の音楽ライブものに散見された、本来入っていないはずの低域以外の成分まで「LFE」信号に入ってしまっているものもありますし、そうでなくても、床を伝わる振動や反射音、なにより「あそこに置いた」先入観により、サブウーファー1台ではどこに置いてあるのか気になってしまいがちだからです。


1本ならLRの中心や真後ろに置くのもひとつ。ただ、厳密に置くよりも、厳密なセンターからちょっとずらしたり、角度を付けた方が、いわゆる定在波の影響を受けにくいため自然な音という点では良好なことも多いです。(インテリアデザインという観点からは家具と面一に置きたいところですが)

■LPFとLFEって?

最後に、サブウーファーを使うことでかえって音を濁らせてしまう問題のキーワードとして、サブウーファー側の「LPF(ローパスフィルタ、低音だけをスルーするフィルター)」と「LFE(Low Frequency Effect、低音専用信号)」について伝えておかなければなりません。

周波数特性一辺倒でなく、時間軸や位相特性などを重視する日本のスピーカーブランドに、イクリプス(ECLIPSE)があります。同社のHPを見ていただきたいのですが、サブウーファーのページには、「サブウーファー内部での」時間的な遅れがないように、「ローパスフィルタ」をバイパスする重要性が語られています(L.P.FをスイッチでON/OFFできる)。
今回試聴した「Kube 8 MIE」「Kube 15 MIE」にも、「CROSSOVER」ダイヤルの終点に「LFE」ポジションがあります。


「LFEの遅れ」という同様の問題意識を強く持っていた国内ブランドはほかにも。パイオニアの「フェイズコントロール」技術がそれです。
彼らはさらに、「AVアンプ」や「サブウーファー」といった再生装置側だけの問題では解決されず、DVD等のソフトの「0.1ch」のサブウーファー用信号(LFE)自体が、メインチャンネルの信号よりも遅れて「収録」されているケースが結構あることに着目。AVアンプ側でそれを感知し、積極的に「LFE」を早める(実際には、メインチャンネルを遅くする)自動補正機能「フェイズコントロールプラス」を搭載しました。10年以上前のことですが、あれは本当に感動的でした。

[まとめ]
・「LFE」遅延に配慮した製品を選ぶこと
・買ったら満足ではなく、色々なところに置いてみて自然な場所を探してみる
・その際、「EQ」や「PHASE」も先入観なしに色々切り替えてみる
・低音域の質は作品全体に影響するのでたゆまぬ努力を!

ある"オーディオ"ファンがこう言っていました。「ステレオにおいてサブウーファーは無い方が正しいに決まってる。でもあると麻薬のような魅力に取りつかれ手放せなくなる。」
極めてくるとサブウーファーはアタック感を出すのでは無く、空気の揺らぎや動きをエッセンスとして足していくと。シアターでLFEと格闘した私としても大きく頷く話でした。
特に最近の各社のウーファーはDクラスアンプの搭載でユニットの制動を繊細にドライブできるモデルが増えています。
オーディオ&ビジュアルファンであれば是非この境地にチャレンジしてみてください!

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