実はブックシェルフよりトールボーイの方がコスパがいい?

はじめてスピーカーを購入する場合、「できるだけ小型で安く」とブックシェルフを選ぶのが普通です。でも実は、それを縦に伸ばしたフロア型=「トールボーイ」の方がコスパがいい」という見方が専門家の間ではいわれています。この2つの違いと、その“通説”が意味するところを考えてみましょう。
将来マルチチャンネルにする人も
そもそも、オーディオの音をもっとも支配するコンポーネントは、音の出口であるスピーカーです(実はそれ以上に部屋ですが)。最初にどんなスピーカーを選ぶかは、アナタのその後のオーディオライフを決定づけます。ここで「アンプやプレーヤーも買わなくちゃいけないから」と予算をケチると、結局買い直して何度も振り出しに戻ることになります。コンポーネントの組み合わせはオーディオの楽しみの核ですが、そういうのはめんどくさいというなら、すでにご紹介したJBL 4305pやKEF LSX IIなど、スピーカーの特性を最大限生かしたアンプ内蔵のアクティブスピーカーを選ぶのも手です。
また、2chオーディオではなく、将来的にスピーカーを増やしてマルチchにしてホームシアターを楽しもうという人も居るでしょう。それなら、最初にブックシェルフを買って、音色が気に入ったら同種のトールボーイを買い足してフロントメインスピーカーにし、先に買ったブックシェルフはサラウンドスピーカーにまわすのは合理的でオススメです。
でも、将来的にサラウンドをやる予定がない場合でも、ブックシェルフよりトールボーイがいいとされる理由はどこにあるのでしょうか?
オーディオスピーカーの基本的な役割
最近のスピーカーのほとんどは、高域から中低域までをひとつのユニット(実際に振動する振動板とそれを支え、駆動する機構部分)でカバーすることは希で、複数のユニットを組み合わせてエンクロージャー(キャビネット)にマウントしています。これは別に、価格をつり上げようとしてたくさんのユニットを取り付けているわけではありません。楽器なら、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスといったように、各楽器の得意な再生音域に応じて使い分けるように、2個や3個の大きさの異なるユニットを帯域毎に割り当ててスピーカーシステムを作り上げているのです。
一方、たとえばヴァイオリンとクラリネットでは、同じ音符を鳴らしてもちゃんと違う楽器の音だと人間は認識できます。それは、基音のほかに倍音(響き)があって、その違いが人の記憶に訴えかけて楽器の音色を思い浮かべさせ、「あの演奏者(や指揮者)は、あの楽器を使ってこんな風に演奏することで、曲をエモーショナルにしているんだ」と解釈させることで、感動を呼び起こすのです。打ち込み系の現代音楽であれば、そうした解釈の深みは、プロデューサーや録音後のエンジニアの手腕にかかってくるのかも知れません。
それはともかく、その作品のもつアーティスティックな要素を偏りなく再生し、聴く人に深い解釈の余地を残すのが、優れたオーディオ機器なのだと思います。もとより、「この曲はこう聴きたい」と決まっている人は、ちょっとクセのある個性的な機器を選んでもいい。趣味としてのオーディオの醍醐味のひとつでもあるという意見もあるでしょうが、優れたスピーカーはどんなジャンルでもいい音で鳴らせるはずなのです。
将来マルチチャンネルにする人も
そもそも、オーディオの音をもっとも支配するコンポーネントは、音の出口であるスピーカーです(実はそれ以上に部屋ですが)。最初にどんなスピーカーを選ぶかは、アナタのその後のオーディオライフを決定づけます。ここで「アンプやプレーヤーも買わなくちゃいけないから」と予算をケチると、結局買い直して何度も振り出しに戻ることになります。コンポーネントの組み合わせはオーディオの楽しみの核ですが、そういうのはめんどくさいというなら、すでにご紹介したJBL 4305pやKEF LSX IIなど、スピーカーの特性を最大限生かしたアンプ内蔵のアクティブスピーカーを選ぶのも手です。
また、2chオーディオではなく、将来的にスピーカーを増やしてマルチchにしてホームシアターを楽しもうという人も居るでしょう。それなら、最初にブックシェルフを買って、音色が気に入ったら同種のトールボーイを買い足してフロントメインスピーカーにし、先に買ったブックシェルフはサラウンドスピーカーにまわすのは合理的でオススメです。
でも、将来的にサラウンドをやる予定がない場合でも、ブックシェルフよりトールボーイがいいとされる理由はどこにあるのでしょうか?
オーディオスピーカーの基本的な役割
最近のスピーカーのほとんどは、高域から中低域までをひとつのユニット(実際に振動する振動板とそれを支え、駆動する機構部分)でカバーすることは希で、複数のユニットを組み合わせてエンクロージャー(キャビネット)にマウントしています。これは別に、価格をつり上げようとしてたくさんのユニットを取り付けているわけではありません。楽器なら、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスといったように、各楽器の得意な再生音域に応じて使い分けるように、2個や3個の大きさの異なるユニットを帯域毎に割り当ててスピーカーシステムを作り上げているのです。
一方、たとえばヴァイオリンとクラリネットでは、同じ音符を鳴らしてもちゃんと違う楽器の音だと人間は認識できます。それは、基音のほかに倍音(響き)があって、その違いが人の記憶に訴えかけて楽器の音色を思い浮かべさせ、「あの演奏者(や指揮者)は、あの楽器を使ってこんな風に演奏することで、曲をエモーショナルにしているんだ」と解釈させることで、感動を呼び起こすのです。打ち込み系の現代音楽であれば、そうした解釈の深みは、プロデューサーや録音後のエンジニアの手腕にかかってくるのかも知れません。
それはともかく、その作品のもつアーティスティックな要素を偏りなく再生し、聴く人に深い解釈の余地を残すのが、優れたオーディオ機器なのだと思います。もとより、「この曲はこう聴きたい」と決まっている人は、ちょっとクセのある個性的な機器を選んでもいい。趣味としてのオーディオの醍醐味のひとつでもあるという意見もあるでしょうが、優れたスピーカーはどんなジャンルでもいい音で鳴らせるはずなのです。
ブックシェルフは様々な要素に左右される
“いい音”を上のように「広い帯域を満遍なく再生することで、本来その作品が持っている要素をきちんと再現し、聴く人に解釈の余地を残す」もの。そして音は、空気を伝わる波動です。その意味で、きちんと再生できるスピーカーシステムを買っても、設計者が想定した置き方をしなければ、本来ソースに含まれていなかった不要な振動が“音”として空気に漂ってしまいます。
トールボーイは、もともと「フロア型」の一種ですから、床置きを想定して設計されています。不要な共振が生じないしっかりした床に置きさえすれば、設置完了です。置けば自動的に、直進性が高い高音を司るトゥイーターが、ちょうど耳の高さ付近に来るはずです。
一方のブックシェルフスピーカーは、床にベタ置きするようには設計されていません。それでも耳の高さ付近にトゥイーターを位置づけることを前提に開発されており、たいていは同じメーカーから純正のスタンドが発売されています(金属製のことが多いのですが、木製が好きな人はそちらを選んでください)。

実際問題として、ブックシェルフスピーカーをリビングなどの生活空間に置く場合、本棚やTVボードに置くのだと思います。もっとも、後ろにバスレフポートと呼ばれる低音を吹き出す大きな穴が空いている場合はこれを塞がないこと、叩いてカンカンないしボンボン響くような柔な場所に置かないことが重要です。
このように、トールボーイスピーカーなら床に置けば設置完了なのに対し、ブックシェルフスピーカーで実力をキチンと出すためには、どんなスタンドを選ぶか、スタンドを使わない場合共振しない台に載せてトゥイーターが耳の高さ付近に来るか、バスレフポートを塞ぐことがないかといった注意点が次々と出てきます。床の専有面積はトールボーイと同じなのに、です。「なんか低音がだぶついてすっきりしないなぁ」「高音のキレが期待ほどではないなぁ」というときは、低音の床からの反射がキツかったり、トゥイーターが耳の高さ付近になっていない=床に近すぎる等の原因が考えられます。
結局、ブックシェルフスピーカーは、スタンドや置き場所など、それなりの投資とそれなりのノウハウが必要になるのです。
低音再生の余裕
「スタンド買い足すだけなら、それでもトールボーイの金額には及ばない」という反論もあるでしょう。
でも、同じユニット構成に見えて、やはりトールボーイはエンクロージャー(スピーカーのキャビネット)に余裕がある分、低音の再生に無理がない設計になっているというのが第2のメリットです。実際、たとえばKEFでも、ウーファーユニットが同じ165mm径なのに、R300とR700では使われているユニットが違うと聞きました。
よい低音というのは、オーケストラなどの演奏でいえば信号としてのドンドン、ブンブンではなく、体で感じる風圧のようにズーンと伸び、小音量でもその音階がわかるようなものというべきでしょう。映画でも「来るぞ来るぞ!」というときのなんとも言えない暗騒音、不安を煽るようなうなりが正確に表現されることによって、観る人固有の解釈の余地が生まれるのです。
低音の質は、音楽再生の基本。ブックシェルフスピーカーを買ったけど低音が足りないからサブウーファーを追加する…という流れを辿ることもあり得ますが、クロスオーバー周波数や設置位置などは位相の問題とも絡んでたいへん難しくなってしまいます。
[参考]同じシリーズのトールボーイとブックシェルフ。床の専有面積はほぼ同じですが、ウーファーが2つにエンクロージャーが縦に長くなるので低音に余裕が出ます。

●ブックシェルフスピーカー B&W 603S3
サイズ:W190×D340mm
ユニット構成:25mmトゥイーター×1、150mmウーファー×1、165mmウーファー×2
周波数特性:46Hz - 28kHz(±3dB)
●ブックシェルフスピーカー B&W 606S3
サイズ:W189×D300mm
ユニット構成:25mmトゥイーター×1、165mmウーファー×1
周波数特性:52Hz - 28kHz(±3dB)
「部屋が小さいなら小型スピーカー」は違う
「ウチは部屋が良くないから、いいスピーカーを買っても意味がない」という人が居ますが、それは絶対にありません。全国のたくさんのオーディオファンのお宅を訪問した経験がありますし、評論家先生と一緒にスピーカーセッティングをやり直すだけでガラリといい音になった例を目の当たりにしてきた立場から申し上げると、スピーカーはシンプルに置き方次第、スピーカーをケチるのは良くない。これは断言できます。
また、「小さい部屋だから小さいスピーカーでいい」というのも絶対に違います。「この部屋なら小型のブックシェルフでいいとおもうよ」とおっしゃる人も居ますが、大型のいい車をゆったり運転するのと、用途ギリギリの小型車を限界で回して乗り潰すのとどちらが心地いいか、言うまでもありません。
結局、床置き=フロア型のエンクロージャー(キャビネット)のほうが自然で豊かな低音が得られます。以前は38cmや30cmウーファー1発が主流でしたが、いまは165mm(6.5インチ、ロクハンなどといわれる)程度のウーファーを複数使うことで同じ効果を発揮するトールボーイタイプが主流となりました。「音は空気の振動」なので、大きな空気を大きく動かす必要がある低音を無理なく再生するのは、ブックシェルフよりトールボーイが有利なのです。
“いい音”を上のように「広い帯域を満遍なく再生することで、本来その作品が持っている要素をきちんと再現し、聴く人に解釈の余地を残す」もの。そして音は、空気を伝わる波動です。その意味で、きちんと再生できるスピーカーシステムを買っても、設計者が想定した置き方をしなければ、本来ソースに含まれていなかった不要な振動が“音”として空気に漂ってしまいます。
トールボーイは、もともと「フロア型」の一種ですから、床置きを想定して設計されています。不要な共振が生じないしっかりした床に置きさえすれば、設置完了です。置けば自動的に、直進性が高い高音を司るトゥイーターが、ちょうど耳の高さ付近に来るはずです。
一方のブックシェルフスピーカーは、床にベタ置きするようには設計されていません。それでも耳の高さ付近にトゥイーターを位置づけることを前提に開発されており、たいていは同じメーカーから純正のスタンドが発売されています(金属製のことが多いのですが、木製が好きな人はそちらを選んでください)。
実際問題として、ブックシェルフスピーカーをリビングなどの生活空間に置く場合、本棚やTVボードに置くのだと思います。もっとも、後ろにバスレフポートと呼ばれる低音を吹き出す大きな穴が空いている場合はこれを塞がないこと、叩いてカンカンないしボンボン響くような柔な場所に置かないことが重要です。
このように、トールボーイスピーカーなら床に置けば設置完了なのに対し、ブックシェルフスピーカーで実力をキチンと出すためには、どんなスタンドを選ぶか、スタンドを使わない場合共振しない台に載せてトゥイーターが耳の高さ付近に来るか、バスレフポートを塞ぐことがないかといった注意点が次々と出てきます。床の専有面積はトールボーイと同じなのに、です。「なんか低音がだぶついてすっきりしないなぁ」「高音のキレが期待ほどではないなぁ」というときは、低音の床からの反射がキツかったり、トゥイーターが耳の高さ付近になっていない=床に近すぎる等の原因が考えられます。
結局、ブックシェルフスピーカーは、スタンドや置き場所など、それなりの投資とそれなりのノウハウが必要になるのです。
低音再生の余裕
「スタンド買い足すだけなら、それでもトールボーイの金額には及ばない」という反論もあるでしょう。
でも、同じユニット構成に見えて、やはりトールボーイはエンクロージャー(スピーカーのキャビネット)に余裕がある分、低音の再生に無理がない設計になっているというのが第2のメリットです。実際、たとえばKEFでも、ウーファーユニットが同じ165mm径なのに、R300とR700では使われているユニットが違うと聞きました。
よい低音というのは、オーケストラなどの演奏でいえば信号としてのドンドン、ブンブンではなく、体で感じる風圧のようにズーンと伸び、小音量でもその音階がわかるようなものというべきでしょう。映画でも「来るぞ来るぞ!」というときのなんとも言えない暗騒音、不安を煽るようなうなりが正確に表現されることによって、観る人固有の解釈の余地が生まれるのです。
低音の質は、音楽再生の基本。ブックシェルフスピーカーを買ったけど低音が足りないからサブウーファーを追加する…という流れを辿ることもあり得ますが、クロスオーバー周波数や設置位置などは位相の問題とも絡んでたいへん難しくなってしまいます。
[参考]同じシリーズのトールボーイとブックシェルフ。床の専有面積はほぼ同じですが、ウーファーが2つにエンクロージャーが縦に長くなるので低音に余裕が出ます。
●ブックシェルフスピーカー B&W 603S3
サイズ:W190×D340mm
ユニット構成:25mmトゥイーター×1、150mmウーファー×1、165mmウーファー×2
周波数特性:46Hz - 28kHz(±3dB)
●ブックシェルフスピーカー B&W 606S3
サイズ:W189×D300mm
ユニット構成:25mmトゥイーター×1、165mmウーファー×1
周波数特性:52Hz - 28kHz(±3dB)
「部屋が小さいなら小型スピーカー」は違う
「ウチは部屋が良くないから、いいスピーカーを買っても意味がない」という人が居ますが、それは絶対にありません。全国のたくさんのオーディオファンのお宅を訪問した経験がありますし、評論家先生と一緒にスピーカーセッティングをやり直すだけでガラリといい音になった例を目の当たりにしてきた立場から申し上げると、スピーカーはシンプルに置き方次第、スピーカーをケチるのは良くない。これは断言できます。
また、「小さい部屋だから小さいスピーカーでいい」というのも絶対に違います。「この部屋なら小型のブックシェルフでいいとおもうよ」とおっしゃる人も居ますが、大型のいい車をゆったり運転するのと、用途ギリギリの小型車を限界で回して乗り潰すのとどちらが心地いいか、言うまでもありません。
結局、床置き=フロア型のエンクロージャー(キャビネット)のほうが自然で豊かな低音が得られます。以前は38cmや30cmウーファー1発が主流でしたが、いまは165mm(6.5インチ、ロクハンなどといわれる)程度のウーファーを複数使うことで同じ効果を発揮するトールボーイタイプが主流となりました。「音は空気の振動」なので、大きな空気を大きく動かす必要がある低音を無理なく再生するのは、ブックシェルフよりトールボーイが有利なのです。
アバックWEBショップ
アバックWEBショップではトールボーイスピーカーとブックシェルフスピーカーをそれぞれ一覧でご覧頂けます。
トールボーイスピーカー一覧
ブックシェルフスピーカー一覧
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¥128,700
税込
商品コード: 603S3MB