ページトップ

国内最大級のホームシアター&オーディオ専門店アバックが運営する公式オンラインショップ。


シグネチャーの名に恥じぬ特別仕様
旧型上位機を超越する基本性能と高い表現力
ミドルユーザーに優しい鳴らしやすさも魅力
覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。

今回は、B&Wの注目の新製品、ブックシェルフスピーカー「705 S3 Signature」がお題として与えられました。あ、ちなみに「ラビットBW」のBWは「白黒付ける」の意味で、B&Wとは何ら関係がないので念のため(え、それならWBでしょというのはさておき)。
B&W(正確にはBowers & Wilkins)は、オーディオ業界では、アンプならアキュフェーズ、スピーカーならコレ!といわれる英国のスピーカーブランド。ほとんどのオーディオ販売店に試聴機が並んでおり、色々な環境(試聴室、アンプとの組み合わせetc.)でみなさんよく耳にされており、すでにイメージを持たれていることでしょう。

そして「Signature」の名を冠されたモデルは元来、オリジナルにほぼコスト度外視で徹底的に吟味を加えた特別モデルという位置づけ。10年以上前でしょうか、ペントハウスに住む友人宅で「これだけは手放せない」というSignature805のグレー・タイガー・アイ仕上げを聴いたことがありました。シャンパンのように弾ける高音域と、サイズを超えた淀みない低音域が、高層階から眺める西新宿の夜景さながらに上質な音を奏でていたのが記憶に残っています。
そこからさらに20年後、700 Series Signature(2020)が登場。23年には800 Series Signatureが発売。それを受けての700 S3 Signatureに属するブックシェルフが、この705 S3 Signatureです。

[特徴]

●「705 S3 Signature」のポイント
・800 Series Signatureで開発されたグリルメッシュ等ノウハウを採用
・特別な意匠
・新型コンデンサー、コンデンサー基板上のレイアウト変更、新型ウーファーバンパー、真鍮製ターミナルポストなど音質アップグレード

●実際使ってみたら凄かった!
・もはや中級機超え!800シリーズに近い上質な仕上げとサウンド
・B&Wらしい解像感を残しつつ、円やかさも備える
・アンプを選ばない鳴らしやすさ


■パッと聴きでも「え!? いまのB&Wってこんなに鳴らしやすいの??」
いつものヤマト運輸のお兄ちゃんが、ちょっと重そうに運んできた段ボール。慎重に“ちょんまげ”(ソリッド・ボディ・トゥイーター・オン・トップ)に触れないよう箱出しすると、綺麗な木目にゴールドのトリムが美しい「705 S3 Signature」が現れました。同じ英国ブランドのモニターオーディオのちょっと前のフラグシップPlutinumシリーズを思い出しました。





とりあえずAVラックの強度が高そうな位置に置き、エージングがてら、拙宅の独Accustic ArtsプリメインアンプPOWER1ーMK3とシングルワイヤリング(LF側接続)で音出し。届いた「705 S3 Signature」まだピカピカに綺麗なのですが、すでにエージング十分といった熟れた印象のサウンドがします。


ぱっと聴いた第一印象では、拙宅のKEF Reference5と比べても鳴らしやすそうで、能率もよさげ。スケール感も十分で、やはりB&Wの特徴であるせり出してくるような高音域の明瞭度と、奥行きのある中低音域、クラシックで威力を発揮するSNのよさはさすが。通常の住宅であれば20畳越えの居室であっても十分“通る”、いい音で鳴らせそうです。とてもコンパクトで上質な佇まいですし、これでペア70万円は安いのではないでしょうか?
■音楽鑑賞 リラックスして聴ける高級機、高音域のアクセントにB&Wらしさ
いきなり結論を言ってしまいましたが、もう少し具体的に聴いていきましょう。「705 S3 Signature」をスタンドに移し、LINNのネットワークプレーヤーSELEKT DSM-Kにつないで、宅内NASの音楽ファイルを聴いていきます。

ところで、同じ英国ブランドでも、B&WとKEFは一般的に真逆の印象を持たれているといえるでしょう。B&Wはクールで解像度が高く、しっかりと鳴らすにはいいアンプが必要。一方のKEFはウォームで柔らかく、どんなアンプでも鳴らしやすい云々、と。
もっとも、この「705 S3 Signature」を聴くかぎり、すでに冷徹なモニター調とは言えず、リビングでゆったりクラシックを聴くのに相応しいウォームな側面も感じます。滑らかで、どこまでも静かに、音楽の余韻を聴かせてくれるのです。


映画音楽も手掛けるアルベルト・ギノバルトによる自作自演ピアノ協奏曲第1番『海と空』は、ロマンティックな現代音楽。華やかな金管からはじまり、重厚なアルベルトのピアノが響く中で弦楽器が参加、本格的なオーケストラアンサンブルに至ります。まさに映画のように、ハイライトのシーンと静かなシーンの抑揚が聴き所です。
星のように煌めく鉄琴から、ポロポロ流れ落ちる流麗なピアノのアクセントまで、まるで映像を観ているかのように明確に表現します。

特に高音域において、KEFよりも鮮明・明晰なことは確か。ただし定位感や解像度が高すぎて聴いていて疲れるようなヒリヒリする痛さまではなく、イメージしていたB&Wサウンドよりマイルドかつ音場志向なところもあり聴きやすい。「長年スタジオでリファンレンスとして使われており〜」との蘊蓄とは少し違ってきていると感じます。B&Wの印象がかなり変わりました。


とはいえ、アリソン・バルサムが教会でオルガンやオーケストラをバックにトランペットを吹くクリスマスアルバム「Jubilo」では、KEFとの違いを思い切り見せつけます。
『主よ、人の望みの喜びよ』では、メインであるアリソンのトランペットの突き抜けるような高音域が前のめりで、少年合唱のハイトーンボイスと鋭く共鳴します。KEFが教会のホール感の中でゆったりと音場重視に柔らかく描くのと、やはり対照的です。
違いが明確なのは、やはりPOPS。マスタリングの違いまでキッチリ描き分けるリアリティあふれる表現はさすがです。


大貫妙子のDSDファイル『Tema Purissima』は、トライアングルのチリリリ・・・含め、若き日の大貫のコケティッシュな声が切実すぎて、グッときます。


Bump Of Chicken『花の名』のヴォーカルとギター、そこにベースとドラムスが入ってくるフレーズの切なさと、丁寧な定位感は、B&Wの真骨頂。
BABYMETALは、「705 S3 Signature」のヌケがいいためか、意外と五月蠅くなくて聴きやすい。人が演奏しているとは思えない速射バスドラの切れ味が抜群で、これは明らかにKEFは勝てません。聴いていて楽しい。
もっとも、最近のJ-POPでは、音源の素がそのまま出てしまいます。藤井風は低音ダルダルですし、YOASOBI『アイドル』はキレッキレすぎて思わず耳を塞ぎ・・・いや、音量を下げました笑。
J-POPでは良くも悪くもB&Wの思想であるモニタースピーカーとしてのフィロソフィーを実感させられます。
■スタンドやフットでもだいぶ変わるヨ!

つづいて、LINN SELEKT DSM-KをUSB-DACとしてを使い、足回りの違いを試してみます。曲はEight Islands Recordsのジャズ・トリビュートアルバム「Spirit of Chick Corea」で、ウーファーが前後にピストン運動しているのが視聴位置から目視できるほどの中音量です。




まずは木製のAVラックの上に、付属の小さな樹脂インシュレーターを挟んで、直置きします。
ウッドベースはやや膨れ、伸びはさほどないながら、スティーブ・ガットのドラムスもふっくらしていますが、楽しそうに演奏している様が垣間見えてむしろ自然。伸びのある中高域を優しく包む印象で、ややピラミッド型の音像です。AVラックに共振して濁ることもなく、定位も良好で、リラックスして聴くにはむしろ好適かもしれません。


続いて、AVラックの上に、厚さ30mmの無垢のボードを咬ませ、その上に樹脂インシュレーターを付けたまま、直置きします。
すると、もっと低音がしっかり締まるかと思いきや、むしろ低音が濁ってしまいました。AVラックとボードが共振していると思われます。


そこでこんどは、鉄製のガッチリしたスタンドに、同じく樹脂インシュレーターを付けた状態で、直置きします。
これはさすがに低音がキッチリ締まり、見通しも良くなって、伸びのある高音域とのスピード感もマッチ。B&Wらしいクリアーでハイファイなサウンドです。マリンバとクラリネットの響きが多い曲ではちょっと気になったわずかな濁りが消えました。純正スタンドは鉄製なので、このイメージに近いのではないかと推測します。


次に、樹脂インシュレーターを外して、拙宅にあった真鍮製のスパイクを履かせてみました。
もっと低音がすっきりして気持ちいいかと思いきや、ボリュウムを上げたかのように高音域の通りが良すぎてしまい、低音とのバランスが微妙に。


そこで、AVラック上に厚さ30mmのボードを重ねつつ、ただし両者の間に薄い防振シートを咬ませ、その上に、スパイクを履かせた「705 S3 Signature」を置きました。
すると、しっかり低音も出て適度に円やか、高音域とのバランスも非常に良くなりました。濁りやすいクラリネットも高音域から低音域までクリーンかつスムーズに出て、これはいい!



ちなみに、3層ハイブリッドの吸震系、ザンデンオーディオのインシュレーターZVA-1も試してみました。ふだんはソニーのUHD BDプレーヤーの貧弱な脚の下に敷いており、振動吸収性が抜群で気に入っています。
こういった響かせる系には向かないかと思いきや、たしかに音の“量”は下がるイメージですが、直置きでもしっかりベースの低音が伸びるうえ、クセがなくSNもよく、音も明晰。それこそ“モニター調”です。もっとも、ブックシェルフはもともと低音域が不足しがちなので、やはり(3)のように堅牢な金属製スタンドに置くか、(5)のように無駄な共振を防ぎスパイクを履かせて全体の響きや抜けを良くした方が、気持ちよく聴けると思いました。
今回は専用スタンドが地方巡業中とのことで残念ながら聞けませんでしたが、おそらく今回使った汎用スタンドより、ずっとシャッキリすることでしょう。

以上のようにセッティングによっても表情が変わりやすい事から、ユニット、キャビネット共に緻密に設計されている事が分かります。
ビルドクオリティが向上するほどセッティングの変化が楽しめるのも現代製品の楽しさです。
この変化を体感すると現代の製品の精度の向上、製品としての進化を実感しますし、古いスピーカーがいかにおおらかに作られていたかを痛感します。
■映画 ブックシェルフながら、高音域の解像度により、支配力が強い!
次に映画を視聴していきましょう。今回は敢えてメインスピーカーだけKEF Reference5から「705 S3 Signature」に替え、サラウンドやトップ、サブウーファーは拙宅の既存システムのままにします。そのほうがメインチャンネルの支配力が分かりやすいと踏みました。AVプリはヤマハCX-A5200、アンプはAccustic ArtsプリメインアンプPOWER1-MK3のSORROUNDモード(パススルー)にしてフロント2chパワーアンプとして使います。


4K UHD『インファナル・アフェアⅡ』(DTS-HDMA)冒頭数分で、静寂の中エディソン・チャンがマフィアのボスを銃撃。間を空けて乾いた音の2発!分かっていてもビックリ。続いて、オーディオファンならご存じのシーン、「高音・中音・低音、正確な音が出るんですって。こんな高価なもの、誰が買えるのよ」と、B&WのMatrixを姐がなでなでするシーンが登場します・・・。

それはともかく、銃撃の乾いた音は切れ味抜群で、思わず飛び上がりますし、映像とマッチした高音域が明晰なセリフが、敵味方入り乱れる人々の集まる不穏な背景音の中でも際立ってよく聞こえます。
4K UHD『ター』(Atmos)でも、ブックシェルフにもかかわらず支配力が強い。ケイト・ブランシェットの女声はもちろん、男声のリップノイズも強めに出ます。もっとも、意外と滑らかなので、聴き疲れることはありません。

冒頭テロップで流れる、エンディングに繋がる虫の音や子どもたちの声や、民族的な曲は、解像度が高いためきめ細やかに聴こえ、観る者により一層強く印象づけられます。本作は、主人公目線で、息づかいや擦れる音、環境音などあらゆる細かい音が表現されますが、それらの高音域がKEFよりクッキリします。映画が音で表現しようとする演出意図がはっきり提示されるので、間違いなく映画向きです。ぜひ「700 S3 Signature」をシリーズで揃えたいところです。



■まとめ 性能に似合わぬ鳴らしやすさ!聴き手の使いこなしにも十分応える
B&Wでブックシェルフということで、ひたすら解像度志向でキリキリ痛いサウンドだったらどうしようと思っていましたが、意外に鳴らし易く"素直な優等生"でした。音楽でも映画でも、B&Wらしいクリアーな高音域が生かせれば、作品の意図を素直にくみ取れるでしょう。

広いリビングでAVラックに置いてゆったり鳴らすもよし、金属製スタンドなどガッチリしたところにおいてシビアに聴くもよし。特に低域はセッティングによってシャープにもなり、膨らませる事も出来ます。
ペア70万円は、一本70万円の「702 S3 Signature」と比べてかなり割安と感じるコストパフォーマンス、完成度の高さに感心しました。

705 S3 Signature [ミッドナイトブルー・メタリック] B&W [ビーアンドダブリュ] ブックシェルフスピーカー [ペア] 下取り査定額20%アップ実施中!

通常価格:¥719,400 税込
¥485,595 税込
商品コード: 705S3SIGMB
数量
カートに追加しました。
カートへ進む