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[自宅レビュー!]
アクティブスピーカーシステム 「LSX II LT」
HDMI付きの全部入り!KEFアクティブSP最エントリー
LSX IIより熟れてる!?下馬評覆す天晴れサウンド


覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。


創業60年の英国スピーカー専門メーカーKEF。73年「インパルス・レスポンス測定法」というコンピューター解析によるスピーカー“システム”設計をはじめて導入、素材革命も積極的に進め「紙の振動板」&「木製エンクロージャー」から、樹脂やアルミニウムといった新素材に挑戦し低価格化に挑戦してきました。最近は、ヨーロッパを中心とする「HiFiオーディオのアクティブ化」にも積極的に取り組み、50周年記念モデルLS50をアクティブ化したLS50Wiressにはじまる流れを最エントリーにまで及ぼしたのが、このLSX II LTです。

同じサイズの先行モデルLSX IIが直販価格で231,000円であるのに対し、LSX II LTが137,500円。果たしてどこがコストダウン? サウンドの違いも気になりますのでお預かりして自宅で試聴しました。


[特徴]

●製品のポイント
・インテリア好きも唸る、マイケル・ヤングのLSXデザインを踏襲
・コンパクトなKEF流同軸2ウェイ[11世代Uni-Q]
・384kHz、DSD対応&HDMI ARC、USB-C対応の全部入り
・LSX IIとの主な違いは、電源の取り方と対応サンプリングレート、アナログ入力ナシ


●使ってみたら凄かった

・LSX II廉価版なのに、むしろ音的には熟れてるところも!?
・電源ケーブル1本はやっぱり便利
・セッティング次第で、往年のKEFらしい極上のふっくらサウンド

●こんな人には別モデルの方がいいかも

・輪郭の強い図太い音が好き

・床置きで使いたい
 →トールボーイタイプのアクティブスピーカー

・もう少しモニター調な定位感と高級感がほしい
 →LS50Wireless II



■ネットワーク&アプリで快適&ホンモノサウンド
今回のLSX II LT、LS50Wireless初号機から知っている筆者としては、カジュアルにしたLSX IIのさらにコストダウン版とみられることから、正直期待していませんでした。下馬評も必ずしも芳しいものばかりでなく、大丈夫?と。

もっとも気になるのは、10万円もの価格差がサウンドクォリティにどう響いているかです。LSX IIの23万円から10万円引きの13万円とは、ずいぶんなディスカウント。しかしカタログ表記で見る限り、19mmアルミニウムドームを囲む中低域を担う115mmマグネシウムアルミニウム振動板のUni-Q2ウェイという構成、高域用30W&中低域用70WのクラスDアンプ内蔵、エンクロージャーのサイズもまったく同じ。セット全体の重量も、LSX IIの7.2kgに対しLSX II LTは6.8kgと、さほど違いはありません。




横から見ても上から見ても、定在波を防ぐためでしょう、フロントに向かって若干開いています。
LSX IIとの大きな違いは、電源INがプリアンプを内蔵する「Primary」側のみになったこと。LSX IIが、他の上位アクティブスピーカーと同様LRスピーカーのそれぞれにコンセントが必要だったのに比べれば、「Primary」から「Secondary」に電源+信号をUSB-Cケーブルで受け渡す仕様になったのは朗報です。もっとも、逆に言うと、これまで出来ていた「LR間をワイヤレスでリンクさせる可能性」はなくなったということではあるのですが。



「Primary」側に端子と電源が集まる。「Secondary」にUSB-Cケーブルで電源と信号を送る


ソース機器は基本的に不要で、LSX IIと同様、ネットワーク(384kHz/24ビット対応)のほか、光デジタルとUSB-C(96kHz/24ビット対応)、さらにHDMI ARCも装備。フォーマットもWAV、FLAC、AAC、ALAC、PCM、DSDに対応しています。MQAとRoon非対応はいいとしてHDMIは48kHz/16ビットです。


LSX IIの「Primary」スピーカーの裏側。こちらにはAUX(ステレオミニ端子)のアナログ入力がある

LSX IIもそうですが、最大の難点は「再生中のソース」「音量」といったディスプレイ表示が本体にないこと。“生存確認”を知らせる、丸いインジケーターの色と点滅だけが頼りで、詳細はスマートフォンやタブレットのアプリ「KEF Connect」に委ねられます。


リモコンも付属しますが、トグルでの入力切り替えと音量調整、トラック送り程度。日本の製品だったら「HDMI」「USB」・・・といった入力のダイレクトキーが絶対付いていそうなところです。

しかしよく考えると、ほとんどの使用シーンは限られているわけで、むしろいろいろ付いていないほうが分かりやすいという噂も。下のように(1)テレビONで「HDMI」に自動で切り替わるよう設定しておき、(2)音楽を聴きたくなったら携帯端末でアプリを立ち上げればいい。やたらたくさん小さなボタンが付いているよりは合理的といえるかもしれません。


「TV(HDMI)」で立ち上がるように設定しておけば、TVオンで音も出てスムーズ


もっとも、このアプリを使うには、LSX II LTと同じネットワークに接続する必要がありますので、宅内LANとWi-Fi環境は必須ということです。それさえあれば、何の苦もなくセットアップも完了。反応もスムーズで、わたしがLS50Wiress初号機時代に使った5年前とはずいぶん進化した印象ですから安心してください。



同一ネットワーク内のスピーカーを探してくれる


「Primary Speaker」は、初期設定ではRchですが、お宅の接続の便宜に合わせてアプリで反転可能。拙宅でもさっそく「L/Rスピーカー反転モード」ONにして、機器配線類があるLchを「Primary」に



■人の声と膨よかな中低音は、KEF Qシリーズ譲り
さっそくシアター視聴をしてみましょう。スクリーン前の木製シアターラックの上(ただし、低音の反射が出にくい面いち、かつ、強度が高い角付近)に置き、テレビ代わりのプロジェクターLG HU85LSからHDMI ARC端子に繋ぎます。送り出し側のUH85LSの音声出力はPCMにしておきます。


まず放送でKEFも重視する“人の声”を確認しますと、アナウンサーの声が明瞭に定位し、BGMも縁取られることなく同軸2ウェイUni-Qユニットらしい自然な放射状の音場を再現します。拙宅のKEF Reference5と同じ特徴の鳴り方です。

このシアターラックは箱型で、天板はしっかりしているものの収納部分があるため、真ん中あたりに置くと若干ボンつきます。そのため、ちょっと中心を外して面一かつ強度が取れる角近くに置きます。

こうすると、ラックのちょうどいいボンつき加減もあって、逆に、サイズを超えた膨よかな中低音で鳴ってくれました。これはイイ!以前レビューした上位モデルLSX IIよりも、ポン置きしただけで熟れたサウンドで、使いやすいと感じます。


設置位置や好みに応じて「KEF Connect」アプリの「EQ設定」でいろいろいじってみますが、ラックにポン置きでも、補正なしの「ノーマル」「スタンド上」で全然問題ない印象です。




置き場所によるEQ変更も可能。壁の反射や机上の反射の影響を補正する「デスクモード」「ウォールモード」も
なお、LSX II LTには純正でアルミニウム製のS1フロアスタンドの外、B1ウォールブラケット、P1デスクパッドも揃っています。

次に、4K Blu-ray『VIOLET EVERGARDEN the Movie』を観賞。プロジェクターのHDMI ARCを経由しソニーのUHD BDプレーヤーUBP-X800M2で再生します。


戦場の回想シーンでは、2chながら遠くに響く着弾音が山びこのように回り込むように響きます。続くヴァイオレットがギルベルト少佐に会いに行くシーンでは、ハサミの鋭い金属音や冷たいしとしととした雨粒の音と、パチパチと割れながら燃える暖炉の炎の暖かさの対比が、二人の心の絶望的な距離感を逆説的にあぶりだします。嵐の描写は自然の怖さを感じさせる迫力がLSX II LTだけで十分描けており、闇雲にサブウーファーを追加するのはむしろ全体のバランスを崩すと思われます。

オーケストラの劇伴とクリアーな台詞回しは、KEFの真骨頂。登場人物がセリフを交わす部屋ごとの響きの違いも繊細に描き分け、映画向きなのは間違いありません。

■ネットワーク再生 アコースティックの生々しさ 
続いて、「KEF Connect」アプリで、宅内NASのストリーミング再生を楽しみます。

元東京JAZZのプロデューサー八島敦子が立ち上げたレーベルEight Islands Recordsの最新アルバム「MOON BRIDGE」(CDリッピング)では、ソロでは透明感のあるピアノとサックスが、デュオになった瞬間、引いては寄せる波のように重厚感を増す様子がまるで目に見えるようなライブ感で再現されます。とくに、郷愁を誘う豊かなサックスに合わせてリズミカルに刻むピアノや、ガーンという低音域のアタックのダイナミズムは、ECMのレインボー・スタジオ収録らしい円やかで暖かい響きを湛えて、艶やかかつスリリングに再現されます。こういったアコースティック系の生々しい表現力はKEFの特技のひとつで、LSX II LTも例外ではありません。

それと対極をなすようなBABAYMETAL『BABYMETAL DEATH』は、中低音が若干膨らみ気味&柔らかめ。でもそれがかえって刺々しさを抑え、聴きやすくしている面も。リズムはきっちり刻んでおり、「DEATH」のセリフはちょっとキラリ。中低域のバンドにマスキングされることなく、浮き彫りに描写します。

次にApple Music Classicalに切り替えてAirPlay2で再生。

プレイリスト「Classical Session:Cocomi」を聴きますと、牛牛の滑らかなピアノの響きが自然で、しなやかに奏でるCocomiのフルートが目に見えるようです。

マーゼル指揮クリーヴランド管弦楽団のストラヴィンスキー『春の祭典』は、ぐんと奥行きが出て立体的に。各楽器の定位の明確性や低音域の重厚感は、KEF上位モデルほどでないにせよ、混濁することなくハーモニーを奏で、Uni-Qらしいに自然な音場感を創り出しました。
■USB DAC ニアフィールドで発揮されるUni-Qの魅力
最後に、LSX II LTをシアターラックからデスクトップに移し、USB CでMacBook Airとつないだニアフィールドリスニングを試します。音楽再生アプリAudirvana Studioでハイレゾファイルを再生します。


KEFのユニットは同軸2ウェイのUni-Q。トゥイーターとウーファーの音の出所が一緒なので、縦一列に並んでいる(インライン配置)より位相特性のなどの面で有利とされます。とくに試聴距離1mもないデスクトップ環境では、点音源(ポイントソース)のメリットは大きいと言えるでしょう。



上原ひろみのジャズアルバム「MOVE」(96kHz/24bit)では、やはり机にポン置きでは低音の反射で上原のピアノの低音域やベースラインがマスキングされがち。トゥイーターが耳に向かうようにすこし仰角を付けたいところでもありますが、そうするとこんどはドームトゥイーターのクセが耳に付く。下手にインシュレーターなど咬ますと音質が変わってこのスピーカーのレビュー記事にならないので、ここでアプリの「EQ設定」を使ってみましょう。


「エキスパートモード」で「デスクモード」をON、-3〜-4.5dBぐらい下げ、位相補正機能もONにするとだいぶ聞きやすくなりました。

LSX IIとは記憶ベースでの比較になりますが、ちょっと大雑把で雑味がある印象。ちょうど同社のパッシブスピーカー「Rシリーズ」と「Qシリーズ」のような違いと言っていいでしょう。
■まとめ ゆったりリビングでTVで映画中心に、音楽はストリーミングでBGM

小型ブックシェルフということで、低音不足が心配されましたが、いやいやどうして、同社Qシリーズのように、従来のKEFらしいやや膨よかな中低域で、暖かいサウンドを聴かせてくれました。


シビアにデスクトップオーディオというよりも、しっかりした木製のシアターラックの上に置いて、LDKの広い空間でおおらかに鳴らすのが楽しいと思います。
これで10万円!TVを起動すると自動的にHDMI ARCに繋がりTVの音を出し、音楽を聴くときはアプリで好きな曲を掛ける・・・個人的にもリビングのテレビ(超短焦点プロジェクター)のサウンド強化に使いたいと思いました。


アバックの隠れ覆面レビュワー「ラビットBW」です。もしもネットでポチったらどうなるか?を一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします!
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通常価格:¥137,500 税込
¥119,625 税込
商品コード: LSX2LTSG
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