[自宅レビュー!]
上級機やAVアンプと同じトーンのハイファイサウンド
HDMI入力6系統付きネットワークプレーヤー&プリメインアンプ
デノン「DRA-900H」
覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします。
前回のマランツ「STEREO 70s」に続き、同じくHDMI入力6系統を備えたプリメインアンプを試聴します。デノン「DRA-900H」の試聴記をお伝えした後、マランツ「STEREO 70s」と比べて、どっちがどうなの?を白黒付けます。
STEREO 70Sレビューはこちら

●製品のポイント
・最新HDMI規格対応、ネットワークプレーヤー内蔵プリメインアンプ
・HDMI入力6系統装備でレコーダーやゲーム機などいろんなAV機器を繋げる
・ディスクリート構成の回路、100W×2(8Ω)パワーアンプ搭載
・わかりやすく使いやすい大型ディスプレイ&ノブ
・「STEREO 70s」より2万円安い
●使ってみたら凄かった
・デノン高級機やAVRの流れを汲む、フラット志向の音調
・欲張らない適度な解像度と余韻が長所
・クラシックなどアコースティック系が得意。倍音とホール感が華やか
・一覧性ある大型ディスプレイ
●こんな人には別モデルの方がいいかも
・映画を中心に楽しみたい
→将来マルチchに発展の可能性が1ミリでもあるならAVアンプを
・ブラックモデルがいい、スリムデザインがいい
→「STEREO 70s」。ただし高さ以外、専有面積はさほど違わない
■デザイン ユーザーフレンドリーな大型ディスプレイ&ノブ
マランツ「STEREO 70s」が2色展開なのに対し、デノン「DRA-900H」はプレミアムシルバーのみ。価格は定価で2万円ほど安くなっています。プリメインアンプらしいセレクター&ボリュウムノブと、Bass/Treble/Balanceダイヤル、ディスプレイ下にも黒いボタンが並んでおり、だれでも一目で操作が可能な配置とデザイン。大型ディスプレイには曲名やボリュウムのほか、入力信号などもアイコンで表示されます。

「STEREO 70s」同様、曲名など日本語表示には対応していません。

大型ディスプレイは曲名のほか入力信号なども一覧表示
セレクター&ボリュウムノブは粘りのある感触なのに対し、Bass/Treble/Balanceダイヤルは軽めです。
また、「セットアップアシスタント」がかつてないわかりやすさ。テストトーンによる接続チェックだけでなく、使用する各ソースの音出しまで実際に出力するところまで面倒みてくれるのも「STEREO 70s」と同じです。

■デノンのHDMI付きプレーヤー「DNP-2000NE」とは別方向
さっそくKEFのトールボーイスピーカーReference5とつなぎます。Uni-Q同軸と4ウーファーを組み合わせた3ウェイで、大型ながら8Ωで比較的鳴らしやすく、繋ぐ機器の個性をきちんと表現できるモデルです。
宅内有線LANに接続し、有線ネットワーク再生をしてみます。
「STEREO 70s」同様、「HEOS」アプリを使うことで、宅内NASからストリーミング、ネットワークラジオまで全く問題なく快適に操作できると思います。また、AirPlay2対応によりAppleMusicもすぐ楽しめます。
このモデルでも十分なウォームアップが大切とばかりに、一晩鳴かせてから翌日試聴に入ります。
以前試聴したデノンのHDMI入力付きネットワークプレーヤー「DNP-2000NE」が、中低域を前に押し出してくる個性的なサウンドでした。この「DRA-900H」にもその方向性があると予想していましたが、全く違いました。「DRA-900H」も、「STEREO 70s」と同様、超高域や超低音に亘るワイドレンジを欲張るよりも、中高域の美味しいところを重点的に手当てしている印象。しかし、「STEREO 70s」よりも、基本的にはフラット志向なのを強く意識させます。10万円台とは思えぬほどSNもとてもよく、静かです。
※関連記事リンク DNP-2000NE
https://www.avac.co.jp/buy/38455/vol.13
また「DRA-900H」は、「STEREO 70s」ほどヴォーカルやベースラインが前に押し出す感じではありません。そつなくこなす優等生的な印象は同じながら、「DRA-900H」のほうが、少しおっとりした印象です。解像度も欲張りすぎずほどよい塩梅で、あくまで気品と雰囲気を重視。ディスクリート回路を重視した成果だと思うのですが、余韻をできる限り正確に出そう=位相に対する意識が、豊かな倍音の響きに表れています。
■あくまでフラット&ハイファイ志向。アコースティックサウンドに魅力
ですので、得意なのは圧倒的にクラシック。旋律が繰り返されるバレエ曲『BOLERO』(シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団)では、楽器の余韻が神経質になることなく豊かに響き、しかし繊細な描写力があるので各楽器の位置関係がよく見渡せます。超低域までズーンと伸びていくイメージではありませんが、安定した中低域が全体を支えます。

「HEOS」アプリによるNAS再生と、Apple Musicによるストリーミングを中心に楽しみました
POPSやロックも、ベースラインやバスドラを無難にこなす駆動力を感じさせます。もっとも、「STEREO 70s」ほどの張り出し感は控え、フラットに鳴ります。
Duffy『My Boy』のようなジャズヴォーカルも、「STEREO 70s」ほどマッシブで前のめりな鳴り方ではなく、あくまでフラット。中低域も引き締まる方向です。ディスクリート(LRの分離)感を「STEREO 70s」よりも感じます。シンバルなど高域は、BABYMETALのようなアタック強めの曲では時折耳に付くことも。
一方、Duke Elington&John Coltraneでは、コルトレーンのサックスが立つ一方で、エリントンのピアノも対等な関係というイメージになります。DSD2.8大貫妙子「Tema Purissima」もひたすらに上品で、ゆったりおおらかに包み込もうとする母性をも感じさせます。

総じて、ソースの得手不得手がなく、持てる資源で最大限ハイファイ&忠実再生に捧げた、といった印象です。
また、本モデルにも「STEREO 70s」同様、本体表示をオフにする「PureDirect」モードがあります。全体的に重心が下がり、中低域にもモリモリ力が出ます。後に記すように、ブックシェルフスピーカーとの組み合わせでこそ、これが生きます。「エコモード」「オフ」で若干力強さが増すのも「STEREO 70s」同様、効果があるのでぜひお試しを。
前回のマランツ「STEREO 70s」に続き、同じくHDMI入力6系統を備えたプリメインアンプを試聴します。デノン「DRA-900H」の試聴記をお伝えした後、マランツ「STEREO 70s」と比べて、どっちがどうなの?を白黒付けます。
STEREO 70Sレビューはこちら
●製品のポイント
・最新HDMI規格対応、ネットワークプレーヤー内蔵プリメインアンプ
・HDMI入力6系統装備でレコーダーやゲーム機などいろんなAV機器を繋げる
・ディスクリート構成の回路、100W×2(8Ω)パワーアンプ搭載
・わかりやすく使いやすい大型ディスプレイ&ノブ
・「STEREO 70s」より2万円安い
●使ってみたら凄かった
・デノン高級機やAVRの流れを汲む、フラット志向の音調
・欲張らない適度な解像度と余韻が長所
・クラシックなどアコースティック系が得意。倍音とホール感が華やか
・一覧性ある大型ディスプレイ
●こんな人には別モデルの方がいいかも
・映画を中心に楽しみたい
→将来マルチchに発展の可能性が1ミリでもあるならAVアンプを
・ブラックモデルがいい、スリムデザインがいい
→「STEREO 70s」。ただし高さ以外、専有面積はさほど違わない
■デザイン ユーザーフレンドリーな大型ディスプレイ&ノブ
マランツ「STEREO 70s」が2色展開なのに対し、デノン「DRA-900H」はプレミアムシルバーのみ。価格は定価で2万円ほど安くなっています。プリメインアンプらしいセレクター&ボリュウムノブと、Bass/Treble/Balanceダイヤル、ディスプレイ下にも黒いボタンが並んでおり、だれでも一目で操作が可能な配置とデザイン。大型ディスプレイには曲名やボリュウムのほか、入力信号などもアイコンで表示されます。
「STEREO 70s」同様、曲名など日本語表示には対応していません。
大型ディスプレイは曲名のほか入力信号なども一覧表示
セレクター&ボリュウムノブは粘りのある感触なのに対し、Bass/Treble/Balanceダイヤルは軽めです。
また、「セットアップアシスタント」がかつてないわかりやすさ。テストトーンによる接続チェックだけでなく、使用する各ソースの音出しまで実際に出力するところまで面倒みてくれるのも「STEREO 70s」と同じです。
■デノンのHDMI付きプレーヤー「DNP-2000NE」とは別方向
さっそくKEFのトールボーイスピーカーReference5とつなぎます。Uni-Q同軸と4ウーファーを組み合わせた3ウェイで、大型ながら8Ωで比較的鳴らしやすく、繋ぐ機器の個性をきちんと表現できるモデルです。
宅内有線LANに接続し、有線ネットワーク再生をしてみます。
「STEREO 70s」同様、「HEOS」アプリを使うことで、宅内NASからストリーミング、ネットワークラジオまで全く問題なく快適に操作できると思います。また、AirPlay2対応によりAppleMusicもすぐ楽しめます。
このモデルでも十分なウォームアップが大切とばかりに、一晩鳴かせてから翌日試聴に入ります。
以前試聴したデノンのHDMI入力付きネットワークプレーヤー「DNP-2000NE」が、中低域を前に押し出してくる個性的なサウンドでした。この「DRA-900H」にもその方向性があると予想していましたが、全く違いました。「DRA-900H」も、「STEREO 70s」と同様、超高域や超低音に亘るワイドレンジを欲張るよりも、中高域の美味しいところを重点的に手当てしている印象。しかし、「STEREO 70s」よりも、基本的にはフラット志向なのを強く意識させます。10万円台とは思えぬほどSNもとてもよく、静かです。
※関連記事リンク DNP-2000NE
https://www.avac.co.jp/buy/38455/vol.13
また「DRA-900H」は、「STEREO 70s」ほどヴォーカルやベースラインが前に押し出す感じではありません。そつなくこなす優等生的な印象は同じながら、「DRA-900H」のほうが、少しおっとりした印象です。解像度も欲張りすぎずほどよい塩梅で、あくまで気品と雰囲気を重視。ディスクリート回路を重視した成果だと思うのですが、余韻をできる限り正確に出そう=位相に対する意識が、豊かな倍音の響きに表れています。
■あくまでフラット&ハイファイ志向。アコースティックサウンドに魅力
ですので、得意なのは圧倒的にクラシック。旋律が繰り返されるバレエ曲『BOLERO』(シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団)では、楽器の余韻が神経質になることなく豊かに響き、しかし繊細な描写力があるので各楽器の位置関係がよく見渡せます。超低域までズーンと伸びていくイメージではありませんが、安定した中低域が全体を支えます。
「HEOS」アプリによるNAS再生と、Apple Musicによるストリーミングを中心に楽しみました
POPSやロックも、ベースラインやバスドラを無難にこなす駆動力を感じさせます。もっとも、「STEREO 70s」ほどの張り出し感は控え、フラットに鳴ります。
Duffy『My Boy』のようなジャズヴォーカルも、「STEREO 70s」ほどマッシブで前のめりな鳴り方ではなく、あくまでフラット。中低域も引き締まる方向です。ディスクリート(LRの分離)感を「STEREO 70s」よりも感じます。シンバルなど高域は、BABYMETALのようなアタック強めの曲では時折耳に付くことも。
一方、Duke Elington&John Coltraneでは、コルトレーンのサックスが立つ一方で、エリントンのピアノも対等な関係というイメージになります。DSD2.8大貫妙子「Tema Purissima」もひたすらに上品で、ゆったりおおらかに包み込もうとする母性をも感じさせます。
総じて、ソースの得手不得手がなく、持てる資源で最大限ハイファイ&忠実再生に捧げた、といった印象です。
また、本モデルにも「STEREO 70s」同様、本体表示をオフにする「PureDirect」モードがあります。全体的に重心が下がり、中低域にもモリモリ力が出ます。後に記すように、ブックシェルフスピーカーとの組み合わせでこそ、これが生きます。「エコモード」「オフ」で若干力強さが増すのも「STEREO 70s」同様、効果があるのでぜひお試しを。
■映画もイイぞ!SF映画では、バリバリという落雷後の静けさがコワい
ソニーのUHD BDプレーヤー「UBP-X800M2」を繋ぎ、HDMIの音を聴いてみます。6系統あるHDMI入力の3=Blu-rayに入れ、「DRA-900H」のHDMI出力からプロジェクターに送り、120インチで鑑賞します。プレーヤー側の音声設定は「リニアPCM」「2ch」にします。
4K UHDブルーレイ『宇宙戦争』(2005)では、デノンのAVアンプ、AVRシリーズと似たニュアンスの、ハイファイかつフラットな鳴り方です。極端な解像感やスピード感を演出するよりも、雰囲気や余韻を安定的に丁寧に描く印象。襲撃してくる“ヤツら”の機械音や破壊音は、量感よりも余韻で迫り、これはこれでコワい。トム・クルーズやダコタ・ファニングらのセリフもこれ見よがしに前へ張り出すことなく、高音域から低音域まで生真面目なほどフラットです。デノンAVR同様、方向感も正確で、ここでもはやりディスクリート再生を重視していることが確認できます。
「DRA-900H」が元来持つ余韻を残した表現は、SFやアクション映画などでは、高域のキレや鋭さで驚かせるというよりも、低音の地響きや雷の後の静けさで、大いに恐怖を感じさせます。
■ブックシェルフで映画再生には、サブウーファーの追加も検討を
また、スピーカーを6.5インチウーファーとUni-Q同軸を組み合わせたブックシェルフスピーカーKEF「R3」に繋いでも、作品の印象は余り変わりません。ただ、「DRA-900H」は生真面目なほどフラットな仕上がりなので、SF映画など重低音の効果を重視する作品では、低音域のニュアンスをもう少し欲しくなる場面もあります。SFやアクション映画中心で、繋ぐのがブックシェルフスピーカーなら、サブウーファー出力を活用したシステムもアリです。
■余韻と音場感も重視した、フラットなハイファイサウンド
「DRA-900H」は、同社AVRをシンプルに2ch化したようなサウンド。カリカリの高解像&スピード志向ではなく、位相を重視し、余韻と音場感も大切した、得手不得手がないフラットなサウンドです。
前述したように、もう少しデノンらしい味付けがあるかと予想していましたが、「DNP-2000NE」のような中低音が張り出すチューニングはなく、フラットでウェルバランスな万能選手です。チャンネルセパレーションと位相管理に極力意を払った“ディスクリート再生至上主義”のステレオアンプといった印象です。
したがってスピーカーも、ソースも選びません。もし映画重視で、ブックシェルフに繋いで使うなら、サブウーファーの追加を考えた方が楽しめるかも。
「DRA-900H」のリアパネル。同軸、光(マランツ「STEREO 70s」が1系統なのに対し、こちらは2系統)、HDMI、LANのほか、アナログレコードなど従来のステレオソースも。USBはAのみ。Bがないのは「STEREO 70s」と同じだが、端子はフロントに装備

リモコンキーの基本的な配置は「STEREO 70s」と同様。ただしライトは点灯しない

■「STEREO 70s」と「DRA-900H」白黒つけよう!
両者は発売日もほとんど変わらず、定価は「STEREO 70s」が2万円ほど上ですが、こちらもほとんど変わりません。
筐体サイズも、幅がほぼ同じ約44cmのフルコンポサイズ。「STEREO 70s」が、高さ109mmで「DRA-900H」(215mm)の半分近くスリムなほかは意外と一緒で、「DRA-900H」は奥行きも339mmと「STEREO 70s」(386.5mm)より5cm弱短いだけ。もっとも、色は「STEREO 70s」ならブラックも選べます。
「STEREO 70s」の上に「DRA-900H」を重ねてみたがそれほど専有面積は変わらない

■肝心の音質についてはどうでしょう?
SNはどちらもこの価格帯にして上位機に遜色ないほどひじょうに優秀。そして2台の個性も、マランツのHDMI入力付きプリメインの上位モデル「40n」とデノンのHDMI付きネットワークプレーヤー「DNP-2000」ほどの、極端な違いは感じませんでした。
※MODEL 40nレビュー
https://www.avac.co.jp/buy/11345/vol.10
あえて違いを指摘するとすれば、「STEREO 70s」は若干シャッキリ目、中域厚め、POPS・ロック寄り。ブックシェルフスピーカーだけでも豊かに鳴らしてくれます。一方、「DRA-900H」は、あくまでフラット志向、余韻重視で、クラシックなどアコースティック系の表現が上手い。

中でも指摘しておきたいのは、マランツ「STEREO 70s」のほうが小型スピーカーを前提に、想定させるユーザー層に向けてわかりやすく造られている気がします。対してデノン「DRA-900H」は、同社上位モデルやAVRと同様のテイストを堅持していると感じました。
いずれを選んでも「Bass/Treble」を積極的に活用して乗り切ることが可能ではあります。しかしサウンドモードを「Stereo」ではなく、「Direct」や「Pure Direct」を選ぶとこれらの回路をパスしてしまいますので、やはり基本的な音質の違いで選びたいですね。
近いタイミングで発売された「DRA-900H」、「STEREO 70s」の2機種ですが、サイズ、デザイン、音色としっかりとキャラクター分けがされており、ある意味でのユーザーフレンドリーになっているなと感じられます。
本記事は「DRA-900H」の記事ですので、本機をプッシュするのであれば大きさならではの『ゆったり余裕感』です。
筐体の大きさを活かして配線もしやすく、本体液晶画面含め操作性も上々。音にもそれが表れており、DENONならではの量感のしっかりした肩肘張らない&特定の帯域を誇張する事のない余裕のある聴き心地よさ。
万人受けする本格デジタルプリメインを是非ご検討下さい。
アバックの隠れ覆面レビュワー「ラビットBW」です。もしもネットでポチったらどうなるか?を一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします!
選りすぐりのアバック販売商品、レビュー一覧はこちらから!

https://www.avac.co.jp/buy/user_data/hometheaterreview
ソニーのUHD BDプレーヤー「UBP-X800M2」を繋ぎ、HDMIの音を聴いてみます。6系統あるHDMI入力の3=Blu-rayに入れ、「DRA-900H」のHDMI出力からプロジェクターに送り、120インチで鑑賞します。プレーヤー側の音声設定は「リニアPCM」「2ch」にします。
4K UHDブルーレイ『宇宙戦争』(2005)では、デノンのAVアンプ、AVRシリーズと似たニュアンスの、ハイファイかつフラットな鳴り方です。極端な解像感やスピード感を演出するよりも、雰囲気や余韻を安定的に丁寧に描く印象。襲撃してくる“ヤツら”の機械音や破壊音は、量感よりも余韻で迫り、これはこれでコワい。トム・クルーズやダコタ・ファニングらのセリフもこれ見よがしに前へ張り出すことなく、高音域から低音域まで生真面目なほどフラットです。デノンAVR同様、方向感も正確で、ここでもはやりディスクリート再生を重視していることが確認できます。
「DRA-900H」が元来持つ余韻を残した表現は、SFやアクション映画などでは、高域のキレや鋭さで驚かせるというよりも、低音の地響きや雷の後の静けさで、大いに恐怖を感じさせます。
■ブックシェルフで映画再生には、サブウーファーの追加も検討を
また、スピーカーを6.5インチウーファーとUni-Q同軸を組み合わせたブックシェルフスピーカーKEF「R3」に繋いでも、作品の印象は余り変わりません。ただ、「DRA-900H」は生真面目なほどフラットな仕上がりなので、SF映画など重低音の効果を重視する作品では、低音域のニュアンスをもう少し欲しくなる場面もあります。SFやアクション映画中心で、繋ぐのがブックシェルフスピーカーなら、サブウーファー出力を活用したシステムもアリです。
■余韻と音場感も重視した、フラットなハイファイサウンド
「DRA-900H」は、同社AVRをシンプルに2ch化したようなサウンド。カリカリの高解像&スピード志向ではなく、位相を重視し、余韻と音場感も大切した、得手不得手がないフラットなサウンドです。
前述したように、もう少しデノンらしい味付けがあるかと予想していましたが、「DNP-2000NE」のような中低音が張り出すチューニングはなく、フラットでウェルバランスな万能選手です。チャンネルセパレーションと位相管理に極力意を払った“ディスクリート再生至上主義”のステレオアンプといった印象です。
したがってスピーカーも、ソースも選びません。もし映画重視で、ブックシェルフに繋いで使うなら、サブウーファーの追加を考えた方が楽しめるかも。
「DRA-900H」のリアパネル。同軸、光(マランツ「STEREO 70s」が1系統なのに対し、こちらは2系統)、HDMI、LANのほか、アナログレコードなど従来のステレオソースも。USBはAのみ。Bがないのは「STEREO 70s」と同じだが、端子はフロントに装備
リモコンキーの基本的な配置は「STEREO 70s」と同様。ただしライトは点灯しない
■「STEREO 70s」と「DRA-900H」白黒つけよう!
両者は発売日もほとんど変わらず、定価は「STEREO 70s」が2万円ほど上ですが、こちらもほとんど変わりません。
筐体サイズも、幅がほぼ同じ約44cmのフルコンポサイズ。「STEREO 70s」が、高さ109mmで「DRA-900H」(215mm)の半分近くスリムなほかは意外と一緒で、「DRA-900H」は奥行きも339mmと「STEREO 70s」(386.5mm)より5cm弱短いだけ。もっとも、色は「STEREO 70s」ならブラックも選べます。
「STEREO 70s」の上に「DRA-900H」を重ねてみたがそれほど専有面積は変わらない
■肝心の音質についてはどうでしょう?
SNはどちらもこの価格帯にして上位機に遜色ないほどひじょうに優秀。そして2台の個性も、マランツのHDMI入力付きプリメインの上位モデル「40n」とデノンのHDMI付きネットワークプレーヤー「DNP-2000」ほどの、極端な違いは感じませんでした。
※MODEL 40nレビュー
https://www.avac.co.jp/buy/11345/vol.10
あえて違いを指摘するとすれば、「STEREO 70s」は若干シャッキリ目、中域厚め、POPS・ロック寄り。ブックシェルフスピーカーだけでも豊かに鳴らしてくれます。一方、「DRA-900H」は、あくまでフラット志向、余韻重視で、クラシックなどアコースティック系の表現が上手い。
中でも指摘しておきたいのは、マランツ「STEREO 70s」のほうが小型スピーカーを前提に、想定させるユーザー層に向けてわかりやすく造られている気がします。対してデノン「DRA-900H」は、同社上位モデルやAVRと同様のテイストを堅持していると感じました。
いずれを選んでも「Bass/Treble」を積極的に活用して乗り切ることが可能ではあります。しかしサウンドモードを「Stereo」ではなく、「Direct」や「Pure Direct」を選ぶとこれらの回路をパスしてしまいますので、やはり基本的な音質の違いで選びたいですね。
近いタイミングで発売された「DRA-900H」、「STEREO 70s」の2機種ですが、サイズ、デザイン、音色としっかりとキャラクター分けがされており、ある意味でのユーザーフレンドリーになっているなと感じられます。
本記事は「DRA-900H」の記事ですので、本機をプッシュするのであれば大きさならではの『ゆったり余裕感』です。
筐体の大きさを活かして配線もしやすく、本体液晶画面含め操作性も上々。音にもそれが表れており、DENONならではの量感のしっかりした肩肘張らない&特定の帯域を誇張する事のない余裕のある聴き心地よさ。
万人受けする本格デジタルプリメインを是非ご検討下さい。
アバックの隠れ覆面レビュワー「ラビットBW」です。もしもネットでポチったらどうなるか?を一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅リポートします!
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https://www.avac.co.jp/buy/user_data/hometheaterreview
DRA-900H DENON [デノン] 8K 対応 HDMI セレクター搭載 HI-FI ネットワークステレオレシーバー 下取り査定額20%アップ実施中!
¥69,300
税込
商品コード: DRA900H