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[自宅レビュー!]
幅13cmに凝縮された球体音場と大迫力重低音

英国最新デザインと技術満載の"コンパクトBlade"な「LS60 Wireless」



●製品のポイント
・KEF60周年のノウハウを詰め込んだフロア型アクティブスピーカー
・有線/無線のソース/フォーマットを網羅した拡張性
・13cm幅のシンプル&スリムなマイケル・ヤング監修の優れたデザイン

●使ってみたら凄かった
・オーディオメーカー製とは思えない隙のないデザイン
・50周年記念のフラッグシップBledeを彷彿させる究極の点音源
・この内容でこの価格を納得させる“全部入り”

●こんな人には別モデルの方がいいかも
・メリハリの効いた、輪郭の強い音が好き
・もっとコンパクトなモデルがいい
・オーディ製品らしい無骨なデザインが好き



点音源を徹底したら、ウーファーもトゥイーターまわりに4発!

LS60 Wirelessは、50周年記念モデルLS50(2012年)をアクティブ化したLS50Wiress(2016)の第2世代LS50Wiress II(2020)をフロア型にしたモデル。こう書いたのは、50周年モデルには、新たにフラグシップとしてBlade(ブレード、2011年)もあったことを書きたかったから。LS60の本性は“ミニ”Bladeのアクティブ仕様「コンパクトBlade」なのです。

50周年に開発されたフラッグシップ「Blade」は、人の耳の高さに高域と中域を司る同軸2ウェイユニットUni-Qを置き、低域ユニットもそれを取り囲むように高い位置に配置することで、点音源(ポイントソース)思想を、低域まで徹底しようとした革新的モデルでした。
「Blade」と一回り小さい「Blade2」


究極の点音源を目指した設計思想

低域用のウーファーは、水平対向で4個配置されています。これも機会があれば書きたいのですが、低音は大きなウーファーユニットで構成するNS-1000等を代表とする「フロア型」でなければ出ないと思われがちですが、最近のトレンドはご承知の通り16cm程度のユニットを数多く配置する「トールボーイ型」です。そもそも音は空気の波ですから、さほど大きいユニットでなくてもまとまった数で強烈なピストン運動を稼げるのであれば、大口径ユニット同様な音の波を空間に放出できるのです。これには、大出力クラスDアンプの登場による小型化・効率的が実現したことも背景にあります。

次に、このウーファーが横向き配置なのだけど大丈夫?という疑問がわきます。人間は先に耳に届いた音の波に敏感だという特性があり、ちょっとでも高域が先に耳に届くと、高音が強調して聞こえてしまうのです。

これを補正するためには、低音を司るウーファーは、高域を司るトゥイーターよりもぐんと前に置かなければならなくなる。しかしそれは不可能。そこで、パッシブ(アンプを内蔵しない)スピーカーでは、内部ネットワークなどで発音タイミングを調整することで妥協しています。

さらに「Blade」に至っては、点音源(ポイントソース)の理想を貫徹しようとする余り、ウーファーはUni-Qの両脇、しかもそれより後ろに付いてしまっている。球体の独特の音場は魅力でしたが、いかんせん低音が遅れるという問題は残され、日本ではその奇抜なデザインとともに機能面でもほとんど評価されませんでした。

ところが、DSPを内蔵して発音タイミングを自由に制御できるアクティブスピーカーなら、位相(発音タイミング)の制御は容易です。かくして、「LS60 Wireless」で、当初「Blade」で考えられていた完全な点音源と位相制御は実現したといえるのです。

「Blade」発売当時も、「これをデジタルアクティブで鳴らしたら、さぞいい音になるだろうな」というのは容易に想像されました。「LS50Wiress」登場前から、LINNのEXAKTシステムと組み合わせたり、内部ネットワークをバイパスして独自のデジタルネットワーク&アンプを組み込むツワモノが現れたり、といった状況が見られました。それらを体験すると、自然な発音と定位感はまことに素晴らしいものでした。知る人ぞ知るという存在だったのです。

かつて「LS50Wiress」とサブウーファーと組み合わせて「ミニBlade」を実現できないか試したことがありました。ただ、アナログ接続のサブウーファーと組み合わせるのは、アプリでいろいろ調整を試みたものの実に難しい。やはりシステム全体をDSPで位相制御をする必要があるのだなと実感するとともに、KEFはいずれ実現してくれるだろうと期待しました。

※連載 初心者向けコラム アクティブスピーカーを挿入
低域4発のウーファー用に500Wアンプ“内蔵”

説明が長くなりましたが、この「LS60 Wireless」は、50周年モデル「Blade」の点音源(ポイントソース)思想を貫徹するために、KEFの伝統的な60年に亘る音響の歴史を受け継ぎ、かつデジタルにも造詣が深い比較的若いエンジニアが仕立てたに違いないのです。

ユニット構成は、19mmアルミニウムドーム型トゥイーターを囲むように中域を担う100mmアルミニウムコーン型ミッドレンジが花びらのように広がる2ウェイユニット「Uni-Q」と、それをサンドイッチするように135mmウーファー4発が水平対向で取り付けられた、3ウェイです。

駆動するアンプは、トゥイーターが100W(クラスAB)、ミッドレンジが100W(クラスD)、ウーファーはなんと500W!まるでユニット4個のサブウーファーが載るっていると言うわけです(だから実に重い!)。トゥイーターだけAB級なのは、「やはり“声”の音色はアナログの方がいいから」。エンジニアのコダワリですね!

これを一般的な(パッシブ)スピーカーでやろうとすると、たとえばのウーファーコーンの有効面積だけで言っても、定価88万円のLS60 Wirelessが135mm径×4。これは定価約65万円のR7の165mm径×2のそれを上回ります。これにピッタリの500WのクラスDアンプを宛がって、ほかにUni-Q用にも200WのAB級アンプを用意してバイアンプ&バイワイヤリングして、しかもHDMI入力付きネットワークプレーヤーを用意して…と考えたら、どれほどコストパフォーマンスに優れているか容易に想像が付くでしょう。

少しはKEFのLS60 Wirelessに興味がわきましたか?


同軸2ウェイ「Uni-Q」を囲む4発のウーファー


低域用ダクトは本体の背面にも見当たらず。スピーカーベースにある隙間はアンプ冷却用の吸気口で、端子上から排気


入力端子側「Primary」スピーカーのLRはワンタッチで変更可

入力端子は、ネットワーク(384kHz/24ビット対応)のほか、光デジタル(96kHz/24ビット対応)、同軸デジタル(192kHz/24ビット)、さらにHDMI “e”ARCも装備。USBーBやCの入力はありません(確かにネットワークがあればスピーカー裏までUSBで繋ぐ人は居ませんよね)。フォーマットは、WAV、FLAC、AAC、ALAC、PCMなどのほか、DSDに対応していると説明書にはあります。

左右のスピーカーはワイヤレスでもペアリングできますが(96kHz/24ビットまで)、付属のLANケーブル(8m)で結んだほうが断然フォーカスも良くクリアです(192kHz/24ビット対応)。また、先にレビューした「LSX II」と同様、スマートフォンやタブレットのアプリ「KEF Connect」で、入力端子がある「Primary」を左右どちらにするかもワンタッチで決定できます。

表示は、「LSX II」と同様、「Primary」側のインジケーターによる色と点滅しかないので、リモコンの十字キーで入力をトグルで切替え、音量調整する以外の細かい調整は、このスマートフォンやタブレットのアプリ「KEF Connect」に委ねられます。これはネットワークを介して行うため、宅内LANとWi-Fi環境は必須です。


本体は、操作系が集まっている「Primary Speaker」(写真)とそこから信号をもらってもう1chを鳴らす「Secondary Speaker」で構成


「プライマリースピーカー」は初期設定ではRchですが、お宅の接続の便宜に合わせて「KEF Connect」アプリからワンタッチで変更可能。拙宅でもすぐ「L/Rスピーカー反転モード」ONにして、機器類がある左をプライマリースピーカーにしました


リモコンはシンプル。入力切り替えとボリュウム調整には便利
ネットワークオーディオ:球体の音場感に包まれる!本人が目の前に居るようで鳥肌

続いて、「KEF Connect」アプリでストリーミング再生を楽しみます。サウンドの特徴は、高域から低域まで、特定の音域が強調されることなく滑らかでスムーズ。いわゆる“オーディオ的快感”を求める作り込みが施された方向性とは真逆です。

電源投入当初は、LSX IIのようにちょっと高域にアクセントがあるように聞こえるのですが、2時間ほど経ってシステム全体が暖まり部屋にも馴染んでくると、クセや淀みは一切感じなくなります。

TIDALでK-POPやJ-POPを聴くと、もうこれは「Blade2」のアクティブヴァージョンといってもいいサウンド。「Blade2」や「Reference5」と遜色ない世界観を、13cm幅のスリムボディでさりげなく実現しているといえるでしょう。洋楽のTravis Scottの怪物アルバム「Utopia」は、どの曲も強烈なメッセージとともに変幻自在なアレンジが重低音とともに飛び込んできて、大げさではなく鳥肌が立ちます。POPSをバカにしちゃイケません、外出先でスマホやヘッドフォンで聴くのはもったいない世界観ですよ。

思わずジャンルを超えてザッピング。Shania Twainのちょっと懐かしいカントリー「Come On Over」では、ベースのズーンと伸びた押し出し感が自然で、ギンギンのギターやヴァイオリン、時折きれいに重なるコーラスに囲まれながらご機嫌にハスキーボイスで歌うシャナイア…というライブステージが浮かぶよに重畳的、立体的な音場感です。

最近ベストが出たばかりのAerosmith「Walk This Way」は、冒頭のドラムビートからギターリフ、そこにラップが畳みかけます。KEFはこれまでどちらかというとこの手のハードな曲は苦手とされてきたのですが、むしろこのバンドのツインギター(オーバーダビング)にタイラーのハスキーボイスが乗っかるそれぞれの質感の違いや背後の鈴まで、すべてが立体的に見えて楽しい!しかもどんなにボリュウムを上げてもうるさくないのがKEFの特徴で、常に音楽のエッセンスが詳らかに聴けます。

そしてKEFは、やはりピアノの響きとオーケストラのホール感が抜群。Yuja Wangのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(DUDAMEL指揮LAフィル)では、やり過ぎかというぐらい音の雨粒が降り注ぎます。

最後にヴォーカルを。Whitney Houstonの「I GO TO THE ROCK」はゴスペル曲中心のベストアルバム。スーパーボウルで国歌を斉唱した絶頂期(「This Day」)以外の、若い頃(「Testimony」)から晩年(「I Look To You」)までの声の違いとともに、音質的なばらつきもよく分かります。聖歌隊のコーラスとともに歌うホイットニーは、LS60 Wirelessの独特の球体の音場感と相まって、本人が目の前に立っているようで涙が出ます。

HDMI eARC:ステージを見上げるような独特の音場感&サブウーファーいらずの重低音

では「TV」に切り替え、TV代わりのプロジェクターLG「UH85LS」のHDMI eARC経由で、ソニーのUHD BDプレーヤー「UBP-X800M2」出力作品を再生します。「LSX II」のHDMIがARCなのに対し「LS60 Wireless」はHDMI “e”ARC対応ですので、ソース側の音声設定をリニアPCMにするなど気にすることなく再生できます。

TV放送では、アナウンサーの声が明瞭に120インチスクリーンの中央に定位。男声も女声も得手不得手なく、スリムな筐体とは裏腹に余裕を持って鳴らします。

また、低音は一般的なオーディオでは床を伝わって響いてくるイメージなのですが、「Blade」の流れを汲むこの「LS60 Wireless」ではちょっと違います。ウーファーユニットが中高域を司るUni-Qと同じ耳の高さから”降ってくる”印象なのです。ライブでコンサートを見に行った場面に例えれば、地つづきの高さのストリート演奏を眺めるというよりも、ステージ下から見上げているような音像イメージでしょうか。イマーシヴオーディオをやられている方なら分かると思うのですが、TOPスピーカーがあることでフロント全体の音像がステージ中央にふわり持ち上がるような感じなのです。

これは、テレビやスクリーンなど映像を囲むように音像を構成したいシアターファンにはもってこい。KEFがホームシアター&サラウンドにうってつけなのは、こんなところにも理由があります。

次にUHD BDを観ていきます。「LEON」(Dolby Atmos)では、不気味にズーンと伸びる重低音を背景にカチャカチャと小気味いい銃の装填音と分厚い連射音、それとは対照的なマチルダ(ナタリー・ポートマン)と憩いのシーンで流れるエリック・セラの牧歌的・情緒的なトラックが、レオン(ジャン・レノ)の孤独と優しさを余すところなく表現します。セリフも定位感も明瞭、低音も十分パワフル。スクリーンを囲む球体の音場感も随一。マルチchをやらないなら、十分なサウンドです。

「宇宙戦争」(Dolby Atmos)では、逆位相っぽく不穏なアンビエントとともに入ってくる野太いナレーションからゾッとします。ウクライナや日本などで異常気象があったとのニュースのあと、いよいよ、子どもたちの成長にも無関心で呑気に暮らしていたひとりよがりのレイ(トム・クルーズ)にも“磁気嵐”が迫ります。“煩わしい”はずだった子どもたちを託され男の子みたいにはしゃいでいたトムが、次第に父親らしくなっていく──ディザスター映画に名を借りたファミリードラマなのですが、激しい衝撃音と静寂が交互に繰り返されるサウンドが、レイの心理を描写しています。もともとトップスピーカーもポイントポイントでしか使われていない作品なのですが、eARCのまま送ると時折逆位相っぽくミックスダウンされてしまう印象。アンビエントが意外と控えめに聞こえるのは2chならではの悩みで、方向感ではマルチchでの再生にもちろん及びませんが、画面を囲む音場感、静寂の怖さ、とくに低音の迫力はサブウーファーなしでも十分です。




まとめ リビング&2ch、でもマルチchに負けない迫力のシネマサウンド

点音源(ポイントソース)のよさは、最初から位相が揃って一点から発せられているため、部屋のどこで聞いても自然であり、リスニングポイントに制約がないことがひとつです。もちろん、2本のスピーカーとリスニングポイントが正三角形ないし2等辺3角形に結べれば、どんなスピーカーでもビシッとしたセンター定位が得られますが、広いLDKのオフセットしたキッチンだったりダイニングだったりで流し聴きしていても心地よい音楽が部屋に満たされます。両サイドにウーファーがあるので、部屋の両脇に壁に沿ってピタリ設置するのは避けた方が良いですが、インテリアの都合で比較的自由にレイアウトできるのではないでしょうか。

スピーカーがたくさん必要なマルチchはNOで、リビングになじむスリムデザインで、でもしっかりした迫力の低音で映画や音楽を楽しみたいという向きにはもってこい。
小構成のシステムで広々としたステレオシネマサウンドを目指すなら是非LS60 Wirelessご検討下さい!

 

 

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