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KEF
サブウーファー「Kube 8MIE」「Kube 15MIE」
縁の下の力持ちにだって音質がある!
覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく、自宅リポートします。

担当K氏からいつものように軽快なトーンの電話が。「ラビットさん、次回はサブウーファーなんていかがでしょう?でね、2個どうかなと思いまして」。
おー、前から企画で出してるサブウーファー使いこなし講座ね。「大きいの1個」vs「小さいの2個使い」じゃ、どっちがいいかってやつ。

「察しがいいですね〜、さすがラビットさん。おっきい方は結構でかいですけど大丈夫ですか?でも意外と軽いんで。大丈夫ですよね!?」
前から書きたかったテーマなので、二つ返事でOK。かくしてやってきた運送会社は、西濃運輸。え、やな予感・・・ピンポーン。

「え〜、ちょっと手伝ってもらえますかね・・・」

こうしてKEFサブウーファーとの死闘が始まる訳です。

[特徴]
●製品のポイント
・300WクラスDアンプ内蔵
・LFE入力対応。カットオフ周波数は40Hz〜140Hzで24dB/oct.
・設置位置に合わせて設定する3種類のEQ

●こんな人にオススメ
・コストパフォーマンスいいものが欲しい
・豊富なサイズから選びたい
・置き場所のすぐ後ろに壁などがあるので前面一発がいい
・自然でメインスピーカーを邪魔しないものがいい

■8インチから15インチまで豊富なラインナップ

ど〜ん!


届いたのは、KEFのサブウーファー「Kube 8 MIE」(定価88,000円)と、「Kube 15 MIE」(定価198,000円)。数字はウーファーの口径を表し、それぞれ8インチ(約20cm)と15インチ(約38cm)を表します。Kubeというとおりサイコロ状で、それぞれ約30センチ四方、50センチ四方をぐるりとサランネットで包帯巻きにしてあります。ちなみに重量は、それぞれ9.4kg、27.5kg。運びましたよ、階段をひとりで。

「MIE」はMusic Integrity EngineというKEF特有のDSP処理のようなもので、製品毎に最適化されたアルゴリズムで処理をする技術です。「Kube MIE」には、8、10、12、15の4種類がラインナップされていますが、おそらく、サイズ毎に異なる「MIEアルゴリズム」が適用されている、だから同じ300Wアンプでいい、ということなのでしょう。リーズナブルに作る技ですよね。

その為メインとなるアンプ部、コントロール部は全くと言っていいほど同じ。サブウーファーも近年はDクラスアンプが当たり前になり、アンプのパワーに心配が要らなくなりました。
サブウーファーというジャンルのスピーカーもしっかり進化している訳です。

15インチ=38センチといえば、一昔前に流行った大型フロア型スピーカーのウーファー口径です。かつて我が家にもJBLの4430やサブウーファーHB1500がありました。ユニットもエンクロージャーも、とにかく重かった・・・。
ちなみにKEFのサブウーファーには、この「Kube MIE」シリーズのほかに、水平対向に2つのユニットを配置した「KC62」(定価242,000円)と「KC92」(定価352,000円)、トップエンドの「Reference 8b」(定価825,000円)、ベッド下にも置ける薄型「T2」(定価99,000円)と豊富なラインナップがあります。

「Kube 8 MIE」は、以前からある「Kube 8b」の後継で、トールボーイ型のアクティブスピーカーLS60Wirelessが登場する以前、ブックシェルフ型アクティブスピーカーLS50Wirelessと組み合わせると小気味良いサウンドが魅力的でした。これにも「Kube b」にも10、12インチバージョンがありました(15インチはナシ)。

これらが登場する前の同社「R400b」というモデルにはLEF入力がなく、すべての信号がいわゆる「ローパスフィルタ」を通ってしまうため、細かいことをいうとメインスピーカーに対して“時間軸での遅れ”が生じてしまうという問題がありました。Kubeシリーズは、そういったストレスを解消してくれた製品群でした(この話の詳細は次回改めて)。今回の「Kube 8 MIE」から「Kube 15 MIE」にも、クロスオーバーのダイヤルの終点に「LFE」ポジションがあります。これだけで好印象です。

もっとも、設置場所に合わせて背面ディップスイッチで設定するEQはあります。ふつうにフロントに置くような場合は「In room」、反射の度合いの合わせて、ラックに入れたり壁際に置く場合の「Wall/Cabinet」、部屋の隅に置く場合の「Corner」が選べます。
電源はオン/オフのほか、信号入力を感知すると音が出る「Auto Wake Up」があります。20分信号がないと自動で電源オフになりますが、感知してからオンになるまで数秒ほど。電源スイッチが背面にあるので、ふだんからよほど小音量でない限りは「Auto Wake Up」でいいと思います。

■メインスピーカーを邪魔しない。これって大事
サブウーファーで“音質”を語るのは難しいのですが、わたしは結構あるよね、と感じています。
映画なら、量感はあって「わっ!」て脅かしてくるタイプと、足元で突風が来るだけでなんだかゾクゾク気配がするタイプ。音楽ライブなら、ロックがガンガンノリノリなタイプですね。次にキレがあってメインスピーカーの邪魔をせずオーケストラを聴いても自然で空気感のような柔らかい表現も感じ取らせてくれるタイプ。
今回のモデルは、いずれも、後者のタイプです。
私見ですが、後者が好きな方は、基本的にサブウーファーがなくてもいいタイプ、もっというと出来ればサブウーファーなんか使いたくない方でしょう。でも、映画には「LFE」信号がある。だから仕方なくそのときだけサブウーファーを使おう、と。

実は私もそのひとり。でも、AVアンプのスピーカー設定で、サブウーファーを「ナシ」に設定してしまうと、LFE信号がメインchに混ぜられてしまう。それって気持ち悪いから、仕方なく用意しようと。
そういう意味で、今回のサブウーファー2台はいずれも、量感もスピード感もバランス良く、コストパフォーマンス大。上手く料理してあるなあと感心する、好ましいものでした。

本コラムはアバックユーザー向けですので、以下、ステレオ再生においてサブウーファーを追加して強化したいという方というよりも、ホームシアターのマルチch再生における「LFE」ch再生ツールとしてのサブウーファーという観点でレビューします。

■サイズによる違いは?

スペックを見てみると、「Kube 8 MIE」「Kube 15 MIE」はどちらも内蔵アンプは「300WクラスD」とあります。また、背面のパネルを見ても同様なので、違いはエンクロージャーとウーファーの口径とみて良さそうです。

これは、先に説明した「MIE」という、モデル毎に違うDSPアルゴリズムを宛がうという仕組みを活用することで、シリーズ全体でアンプが共用できる、したがってコストパフォーマンスがいい、ということだと思います。
では、拙宅のAVプリアンプ、ヤマハ「CX-A5200」のサブウーファープリアウト「LFE」に接続し、4.1.2で再生してみましょう。スピーカーはKEF Reference5。

4K Blu-ray音楽ライブ『STOP MAKING SENSE』(ATMOSミックス)では、「Kube 8 MIE」でも、非力で力感が無い印象はなく、様々な打楽器をタイトかつリズミカルにこなしていきます。
一方「Kube 15 MIE」は、正直これ見よがしなパワー感・切れ味は控えめですが、メインスピーカーのウーファーを邪魔せず、ホールの暗騒音のニュアンスだけを足している感じでだぶついた印象がありません。
大型かつ同じアンプ駆動となればもっとダルい低音になるかと心配しましたが、意外に好印象でした。

次に、SACDのマルチchを再生。エリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップオーケストラの『1812(2001)』を再生します。
大砲の実射音が話題の作品ですが、再発のマルチchで聴くと、大砲=即サブウーファーという収録に実はなっておらず、ティンパニーでも低い響きの部分が載ってくる程度。むしろ実射音はリアなどにも容赦なく「スパーン」と割り当てられていることが「WARNING!(危険)」な一枚です。

「Kube 15 MIE」では、3曲目イタリア奇想曲(Capriccio Italian,Op.45)のティンパニーが淀みなく響いてほんとうに自然。「ウーファーで鳴っている感」がなく凄くいいんです。
「Kube 8 MIE」は、フロントのReference5のパワーアンプを切り、拙宅ではリアに使っている「R3」(ウーファー6.5インチ=16.5cm)とだけ鳴らしてみると、相性がいいのがよく分かりました。おそらく、フロントにブックシェルフスピーカーを使うホームシアターシステムとなら、十分すぎる音量とパフォーマンスを発揮してくれそうです。

最後に気になる映画を。4K Blu-ray『トップガン マーヴェリック』(ATMOS)を再生します。
冒頭、マーヴェリックがジュエット機Darkstarを操縦してマッハ10越えを記録したあと調子に乗ってポシャり、ヘリで帰ってくるシーンまでを視聴。かなりのシーンでサブウーファーが効果的に鳴り響きます。
「Kube 15 MIE」では、15インチウーファーが内蔵アンプ300Wには荷が重いかと思っていましたが、意外に余裕がある鳴り方。クラウン乗るなら3リッターのロイヤルサルーンじゃなきゃダメかと思ったら、意外と2リッターでもイケた、という感じ。もっとも、かつてモンキーパンチさんが使っていた災害級の爆音を放つKEF Model209(18インチ、1000W)には遠く及びませんが、普通に家で使うには十二分でしょう。妙な箱鳴りもせず制動も効いている印象で、個人的にはこのまま家に置いておきたくなりました。
もっとも、ここまでバカスカ鳴らすと、本体付属のゴム脚ではいささかもの足りない印象。スパイクに履き替えるか、厚めのオーディオボードを奢りたくなります。
「Kube 8 MIE」も、若干過入力かというギリギリまでこのサイズでよく粘っています。音質的には「Kube 15 MIE」と同様無味無臭で、非力感は少なく上ずった感じもありません。やはりブックシェルフスピーカー「R3」を核とする組み合わせにちょうどいいイメージです。
もっとも、小口径をがんばって動かしている分、「Kube 15 MIE」と比べてちょっと方向感が分かり易いので、LRスピーカーから等距離のセンターに置くのがよさそう。この価格なら、左右2個使いが面白そうだなと思いました。

■総評 バランス感とコスパが魅力のサブウーファー

総じてコストパフォーマンスがよく、フラットな音質、過不足ないパワー感、シンプルで上品な意匠から、万人にお勧めできます。サイズで音色は違わないので、部屋の置き場所に合わせ置ける範囲でサイズの大きいモノを選んだ方が余裕があって良さそうです。
以前は国内メーカーも含めれば数多くのサブウーファーが出ていましたが、昨今は選べるモデルも減り、メーカーによってはウーファーはラインナップが無い場合も。
そんな中にあってスピーカーのメーカー問わず合わせやすい2機種の音色はまさしく救世主となりえるモデルと言えるでしょう。

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通常価格:¥198,000 税込
¥178,200 税込
商品コード: KUBE15MIE
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