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これぞ「正しい音」!“放送局基準”の誇り、ふんだんに。
国産技術の粋を集めた万能型レコードプレーヤー
「DP-3000NE」


覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も一般消費者目線で忖度なしに「白黒」判定すべく自宅でリポートします。

芸術の秋、到来!というわけで、今回から4回続けてアナログ特集をお届け。ターンテーブルとカートリッジの旬を紹介するととともに、そもそもの「アナログレコードの仕組み」について、技術的蘊蓄をなるべくナシに、でも製品選びのポイントもコラムでわかりやすく説明します。


[特徴]

●製品のポイント
・放送局基準「デンオン」時代からのエッセンスを継承
・素早いスタート/ストップ、安定した回転数のダイレクトドライブ
・使いやすく安定したS字ユニバーサルアーム

●実際使ってみたら凄かった!
・ダイレクトドライブながら抜群のSN
・カートリッジやヘッドシェルの違いを明確に描き分ける
・わかりやすく使いやすい操作系
・ビタッと安定した削り出しシャーシ
・「DL-A110」とコンビネーション抜群


デザイン そこはかと香る「デンオン」臭と存在感

予想以上の大きな梱包で到着。重さは18.5kgで、幅50cm、奥行きが40cm近くあり、リンのLP12よりも一回り大きく、所有欲を満たしてくれるのは間違いありません。高さはダストカバーを入れても20cm弱なので圧迫感は少なく、台にビタッと貼り付くようなインシュレーターの立派さが目立ちます。


右がリンLP12。DP-3000NEが一回り大きいのがよく分かります


大きいフット




センタースピンドルに刺すレコードを載せて回転させる部分(プラッター)の裏側には様々な工夫が凝らされている

「デンオン」往年の単体ターンテーブルDP−5000や3000は、キャビネットやトーンアームをユーザーが任意で組み合わせるように各種ボタンがターンテーブルの側面に配置されていました。「DP-3000NE」の操作ボタンはキャビネットにあり業務用っぽさは薄れていますが、山の麓のように盛り上がった形に面影が残っているのが堪りません。

セットアップ 初めてでも簡単

セットアップは簡単。ターンテーブルの回転部分(プラッター)とトーンアームのオモリ(針圧調整リング)以外は組み上がっています。


黒檀仕上げのキャビネットは、よくある木枠ではなく、MDFの塊から切削加工して機械部分だけくりぬいた構造になっています

電源ケーブル接続=本体電源ON(操作停止より20秒で自動スタンバイに)なので、設置時は電源ケーブルを接続せずに行いましょう。

センタースピンドルにアルミダイカストのプラッターを載せると、磁石に吸い込まれるようにピタッと着地。その上にゴムのプラッターマットを載せます。ダイレクトドライブなので、ターンテーブル周りのセットアップはコレで完了。

つづいてトーンアーム。後ろから針圧調整リングを差し込みます。オルトフォンSPUなど25g以上(ヘッドシェル、リード線など含む)の重いカートリッジの場合に備えたサブウェイトも付属。トーンアームが水平になる位置で「針圧調整リング」=0にしてから、カートリッジの適正針圧にすればOK。

針圧調整リング

針圧調整リングとサブウェイト


オーバーハングの調整は、付属するアクリルの「オーバーハングゲージ」で50mmのメモリに針先が合うように取り付けます。ターンテーブル上で調整するより便利で安全なのはユニバーサルアームの利点のひとつですね


向かって右の細いバーがアーム高さ調整つまみ、真ん中の大きめのダイヤルがアンチスケーティング調整つまみ、その左の細長いものがリフターレバー。アンチスケーティング調整つまみを適正針圧と同じ数値にすればOK。なお、このアンチスケーティング機能は非接触マグネット式


針圧やアンチスケーティング調整は結構精確なので信頼していいのですが、水平は安物でいいので水準器を使って調整しておきましょう

最初に書いたとおり、電源ケーブル接続=電源ON。なので、電源ボタンはなく、START/STOPボタンと、33/45の回転数ボタンがあるのみです。なお、回転数ボタンを押しながらSTART/STOPボタンを押すと78回転にもできます。



向かって左にSTART/STOPボタン、右に33/45回転数歩タン。ブラシレスDCモーター駆動でSVーPWM制御、クォーツロックで、ワウフタッターは0.06%以下。1秒以内に規定回転に達します(33回転時)。
試聴1 放送局仕様を再現した「DL-A110」

「DP-3000NE」を自宅のプリメインアンプ、ドイツAccustic Arts Power-1MK3(フォノモジュール内蔵)に接続します。スピーカーはKEF Reference5。どちらも色づけが少なくエッジの取れた素直なサウンドで、繋ぐ機器の特徴を素直に出してくれていると考えています。


拙宅のPower-1MK3のフォノモジュールにはインピーダンスの調整ディップスイッチがあり、MC用の100Ωに設定

最初に装着したのは、デノンの110周年モデル「DL-A110」。本稿は「DL-A110」のレビューが主眼ではないので簡単に紹介すると、NHKに納品するために開発された発売50周年を超えるMCカートリッジの超定番モデル「DL-103」に、開発当時の専用ヘッドシェルを復刻させて製品化したモデルです。専用のレザーケースに入っています。


とにかくヘッドシェル付きの重量が軽い!持ってみるとすぐにわかります。カートリッジは「DL-103」そのままに、実際に放送局で使われていた(いる)プラスチック製専用ヘッドシェルを取り付けたものだからです。リード線が“直結か?”というぐらいに短く折りたたまれるほど、シェルと本体が一体化しています。


ちなみに、「DP-3000NE」に付属するアルミニウムのヘッドシェルは11g。対して「DL-A110」のヘッドシェルはわずか6g(全体で18.5g)。オーバーハングが50mmなので、そのまま装着してOKです。


「DL-A110」。DL-103は、1970年発売。適正針圧は2.5g(±0.3g)。出力電圧は0.3mV、インピーダンスは40Ω、16.5ミクロンの針で、自重は8.5g。いまなお福島の白川工場で手作りによる生産が行われています


一聴して感じるSNの良さ。非常に静かで祈りにも似たアルバムも見事に描く

中学時代からまず一発目に聴くことにしているビリー・ジョエルのロックアルバム「ナイロン・カーテン」(82)を爆音で再生します。

START/STOPボタンを押すと直ちに起動。ほんとうに1秒ほどで安定した回転数に達します。一瞬なのですが、すっと高速起動したのち、ちょっと速くなりすぎたところで速度を落として調整し適正速度に至るイメージです。


「DP-3000NE」には便利なリフターが付いていますが、「DL-103」本体に白のラインが引いてあり上からでも針の位置がわかりやすくシェルの指掛けも大きいので、指で直接掛けた方が楽な人も居るでしょう

一聴して感じるのは、まずSNの良さ。スペック上のSNは70dBとありますが、やはり昔のアナログレコードプレーヤーを中古で買うよりも精度がよくてその分静か、ということでしょう。

音質については「DL-103」のフラットなところが前面に出て、クセのない素直な音。割りとあっさりだなと思っていると、「アレンタウン」ではホイッスルと鉄工所をイメージさせるカン!カン!という鍛金とともに、バスドラのアタックなどが来ると中低域がグンと張り出す、懐かしのピラミッド型の「デンオン」サウンドがシャープに現れます。『グッドナイトサイゴン』のイントロとアウトロでは、ジャングルの静かな夜の森を思わせる虫の声がよく聞こえ、景色が目に浮かぶようです。暖かいとか分厚いといった妙なアナログらしい味付けはなく、むしろ全体的にドライで端正。しかし生楽器の聴かせるべきところをジーンと聴かせてくれ、やっぱりハイレゾとはどこか味わいは違います。

女性ジャズボーカルEva Cassidy「Song Bird」(98)では、しっかりと声が中央に定位し、アコースティック&エレキギターの響きがそれを囲む波紋のように放射状に広がっていくさまは、ライブ感、アナログ感を強く醸し出します。

チック・コリアのトリビュートアルバム「Spirit of Chick Corea」(22)は、元Tokyo Jazzのプロデューサー八島敦子さんが立ち上げたレーベルEight Islands Records第3弾。Apple Musicなどのファイル再生より明らかにスティーヴ・ガッドのドラムスの中低域がたっぷりとし、ミカ・ストルツマンのマリンバの響きも芳醇で、アナログで聴くべき作品です。2曲目『Crystal Silence』では、チックの妻ゲイル・モラン・コリアによる永遠の愛を込めたボーカルとリチャード・ストルツマンのクラリネットがまさに渾然一体となり、崇高な祈りを捧げて上空に舞い上がっていきます。

坂本龍一「async」(17)も非常に静かな、祈りにも似たアルバム。環境音を複合的に混ぜたような実験的要素が多く、バロック調の教会を揶揄するかのような旋律に多様な不協和音が不規則に重なり合っていきます。こういうアンビエント的なサウンドはデジタルの方が良いように思っていたのですが、最近になって発売されたこの4枚のLPで聴くと、ミックスが違うのではないかと思うほどCDとは違って聞こえます。人生の無常をも感じさせるような、重層的で重厚な響き。スクラッチノイズまでもが、本来“反復”の再生芸術であるオーディオの再生にある意味“即興的”な要素として取り込んでしまうかのような不思議な感覚に襲われ、ずっと聴いていても飽きることがありません。この「DP-3000NE」は正確無比な工業製品でありながら、情緒的な表現もきちんと再現してくれます

J-POP大貫妙子「シニフィエ」(83)は、「DL-103」と「DP-3000NE」のマッシブかつエッジの効いた部分が顕著に出ているように思います。『幻想』では、ヴォーカルやピアノはいくぶん霞がかったようにフワリとしたサウンドで収録されているのですが、坂本龍一がアレンジしたバックを構成する楽器がかなりクッキリしており、ハッとさせられるのです。アナログ録音の成熟期をうかがわせる、中低域に厚みがあってカッチリとしていながら、高域などが耳に付くところがない…この組み合わせは、そんな豊かなアナログサウンドをきっちり眼前に配置してくれ、まるでスタジオで聴いているかのように明確に音作りに浸ることができます。


「DL-A110」は「DP-3000NE」にとても良く合います。そして、国産初の放送局基準カートリッジとしてロングセラーを続ける「DL-103」のほんとうの実力を引き出してくれている印象です。フラットな万能選手で「へえ、ほんとうはこういう音だったんだ」と感激すること請け合いです。

DL-A110商品ページはこちら
試聴2 カートリッジやヘッドシェルの違いを明確に表現

次に、カートリッジをデノン「DL-103R」にしてみましょう。「DP-3000NE」付属のヘッドシェルに取り付けます。アームのバランスを取ってウェイトを加え、アンチスケーティング調整をするという一連の設定はとてもスムーズで、いちど経験すれば難なく数分でできるでしょう。



「DL-103R」は、「DL-103」のアレンジver.として後に発売された14に及ぶ企画モデルのうちでも、1994年発売の最新バージョン。発電コイルに6N高純度銅0.02mm極細線を使い低歪みを狙うとともに、ケース自体を堅牢にして共振を抑えています。出力電圧は0.25mV、インピーダンスは14Ωで、16.5ミクロンの丸針、針圧は2.5g(±0.3g)、自重は8.5g。

ヘッドシェルの影響も大きいと思うのですが、こちらのほうが、かつて友人宅で聴いて脳裏に残っているトリオのダイレクトドライブ「KP-880D」と「DL-103」のイメージに近いサウンドです。「デンオン」らしい中低域が膨よかな「ピラミッド型」の音像に、キラリ透明感がある高域が、オリジナルの「DL-103」よりちょっと高級な印象を与えているという印象です。もっとも、定位や分離感は「DL-A110」の方がかっちりしていてあるべき場所に音が配置されているのが見え、ソースに忠実です。

DL-103R商品ページはこちら

ほぼ同じハズの2つのカートリッジを付け替えただけでもこの違い。それらを明確に描き分ける性能を「DP-3000NE」はシステムとして持っていることがよくわかりました。

せっかくのユニバーサルアームなので、いろいろなカートリッジやヘッドシェルを取り替えて楽しみたいところですが、「DP-3000NE」を買ったなら、絶対、セットで「DL-A110」も“基準”として持っておきたいと強く思いました。ぜひセットでお求めください!

次回は、別の注目カートリッジを味わってみたいと思います。



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通常価格:¥385,000 税込
¥315,810 税込
商品コード: DP3000NE
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