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老舗なのに超進化。STAX最新ヘッドホン一気レビュー!
アバック「ヘッドホン横浜店」道場破り
[Part1]

覆面レビュワー「ラビットBW」です。今回も消費者目線で忖度なしに「白黒」判定します。

アバックも真剣にヘッドホンやり始めたんだって。時代の流れを感じますねぇ…でも、ホームシアターでいい音を探求するアバックユーザーなら、パーソナルなサブシステムにもこだわりのヘッドホンシステムを揃えたいところ。そこでラビットBWも、10月にオープンしたばかりの予約制のハイエンド「ヘッドホン横浜店」を道場破り!気になる製品を聴き倒しました。


[アバックヘッドホン横浜店]
(ヘッドホン横浜店写真 H)
場所:神奈川県横浜市中区長者町3−8−13TK関内プラザB1(アバック横浜店地下)
営業時間:火・水定休、11~19時(完全予約制)
https://corp.avac.co.jp/contents/shop/headphone


「本格ハイエンド系のヘッドホンをガッツリ聴こう」がコンセプト。完全防音室内に4つの個室が。軽量ながら中低域まで広く吸音・遮音する「CALMOFOAM(カルモフォーム)」で囲まれ、開放型でも周囲の環境に左右されない素の音が聞けます。



備え付けのヘッドホンアンプ、DACは、FiiO「R7」とTEAC「UD-505-X」の2種類からお好みを選べます。プレイヤー機能を備えた「R7」でUSBメモリからの再生に対応。アンバランスのほかバランス出力も備え、入力もUSB-BやUSB-Cに対応するので、予約の上ソースをご持参ください。
■創業85年!STAX現行モデルを一気聴き

本稿では、知ってるようで知らなかった“老舗メーカーの今を聴く”と題して、埼玉の工房でいまも手作りしているという、日本が世界に誇る「STAX(スタックス)」の現行製品を一挙聴き比べます。

STAXのヘッドホン(同社では『イヤースピーカー』と呼ぶ)は、専用のヘッドホンアンプ(『ドライバー・ユニット』と呼ぶ)で駆動します。これにも多様な製品があり、出力のみならず、同じ価格帯にも真空管とトランジスターが並立するなど選ぶのに迷いますよね。基本は、ヘッドホン自体と同様の価格帯から選べばバランスが良さそうです。

入力はいずれもアナログのみ。ここではFiio「R7」のプリ出力をもらい、バランス入力に接続して試聴します。

まずは、ヘッドホンアンプに「SRM-500T」を選び、低価格からハイエンドまでのヘッドホンを聞き比べてみましょう。私邸では以前「SRM-006tS」を使っていたので、それに最も近いのではないかとの推察からリファレンスに選びました。
■そう、コレコレ!伝統的な静電型サウンドの中級機「SR-L500MK2」


定価88,000円(税込)

スタックスの定番「アドバンスド・ラムダシリーズ」の中核モデルです。聴いた印象も、イメージ通り“昭和のスタックス“を思い起こさせる懐かしさを残しつつ、リケーブルと装着感などリファインが重ねられています。


高域がストレスなく伸びるワイドレンジ、まろやかなでマイルドな音場感が、静電型特有の味わいです。シャンパンのようにパヴェ状に音の粒に包まれるので、聴き疲れしません。

ダイアナ・クラールのヴォーカルのハスキー加減、アコースティック楽器のすこし緩い感じが、ゆったりウォームな雰囲気を醸し出し、古くからのアナログサウンドのように、今こそ見直されるばきサウンドです。ハットやシンバルをブラシでこするシャーシャーといった音が、繊細かつ細かく長く綺麗に再現されます。ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」でも同様。高域が繊細に再現されていながら、神経質すぎない、まさにスタックスの静電型サウンドです。ヴァイオリンの音色も綺麗で、よく眠れそう。

一方の低音は、ゴリッとした重低音というより、ワイドレンジで綺麗にすーっと伸びていく感じ。この低音こそ、ダイレクト型ヘッドホンに対する弱点と言われてきたところですが、個人的には、それも含めて静電型を選ぶ意義があると考えていました。

静電型のもうひとつの良さは、ヴォーカル。案外ダイレクト感があるので、声フェチにもアピールするのです。のっけから唯一無二のスタックスの世界観をいきなり見せてくれました。私もかつてスタックスユーザーでしたので、「懐かしいな〜、コレだよコレ!」と感慨深い試聴でした。

なお装着感は、最近の他社モデルと比べると「装着している」感があり側圧も強めですが、以前のようなグニャリと撚れ(よれ)ることなく、装着がしやすくなりました。耳自体はすっぽり覆われているので、耳介が潰れて痛くなることはありません。


■弱点と言われた低音補強モデル。ロックもイケる「SR-L700MK2」


(製品写真)定価165,000円(税込)

次にアドバンスド・ラムダシリーズの上位モデル「SR-L700MK2」に換えると、「SR-L500MK2」よりもディスクリート(LRの分離)感が高まるとともに、低音が濃密になります。

ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」では、ピアノやベースラインがハッキリとして、音像もピラミッド型にどっしりしてきます。見た目そっくりな「L500MK2」より良くなったというよりも、ベクトルがまったく異なり、好みが分かれそうです。

ダイアナ・クラールになると、その点がより明確になります。ヴォーカルもベースラインも「L500MK2」よりクッキリするので、ぱっと聴きは「L700MK2」がいいという人が多いかも知れません。でも、従来の静電型っぽいイメージどおりなのはあきらかに「L500MK2」です。

静電型の長所を残しながらも、ダイレクト型ヘッドホンのような力強さを持たせた、ハイブリッドな音色と言えるでしょう。その意味で、Michel Jacksonのようなロックは、イメージ通り中低音がカッチリ鳴ってくれます。

装着感は「L500MK2」と同じです。今となってはちょっとレトロな印象は拭えませんが、装着感は確実に従来より向上しています。


■立体感・臨場感を高めたフラッグシップモデル「SR-X9000」


定価693,000円(税込)

ここで価格がぐっと上がります。フラッグシップモデル「SR-X9000」です。

さすがにサウンドの方も、「SR-L500MK2」や「SR-L700MK2」とは完全に“次元が異なります。

ハットのチッチッチという叩音や金管楽器など高域の倍音が美しく響くとともに、「SR-L700MK2」同様、マイケル・ジャクソンのようなロックを軽々と鳴らす中低音のキレも持ち合わせています。そしてもうひとつの静電型の持ち味であるヴォーカルも、ナチュラルかつ美しい。

一言で言うと「SR-X9000」は、「SR-L700MK2」の方向性をさらにブラッシュアップした万能選手。ヒラリー・ハーンのようなクラシックでは静電型ならではの広がりある音場感があり、ロックでも不思議と立体感際立つ描き方です。ヘッドホンならではのディスクリート再生がジャンルを問わず最大限楽しめます。

装着感は、大きな円形のちょっとゴツい見た目より軽量で、両側面から挟むというより、頭頂に載せるイメージ。すっぽりと耳を覆い、極めて軽快です。


■古き良きスタックスのベクトルで頂点を目指したベストモデル「SR-009S」


定価506,000円(税込)

最後に「SR-009S」を聴きます。これも面白いことに、「SR-X9000」とは異なり、いかにも静電型っぽい“THEスタックス”の延長線上で頂点を目指したモデルと感じました。今回聴いた中では「SR-L500MK2」の音作り路線のまま究極を目指したブラッシュアップモデルという印象です。

ヒラリー・ハーンのようなクラシックヴァイオリンでは、濃密で甘いねっとりした旋律を聴かせます。一方で、マイケル・ジャクソンのようなロックは非常にタイト。柔軟の切り替えに優れ、どちらも美しいんです。

ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」では、シンバルの強弱がまるでシャンパンの泡が沸いては消えるように倍音豊かに響き渡り、情緒的で、奥深い。「SR-X9000」も頂点を目指したようなサウンドですが、この「SR-009S」が目指したのは又違う山だった気がします。

このような再現は、ディスクリート再生に意を払ったことに起因すると思います。ヴェートーベンのような重厚なオーケストラでは、個々の弦楽器の倍音の美しさが際立つ一方で、全体がフォルテになるときは楽団全体がひとかたまりの波動となって押し寄せてくる…そんな指揮者の描こうとするニュアンスが、これまで聴いたモデルでもっとも出ているように思いました。

装着感も、「SR-X9000」に劣らず、最上級です。
■アンプもバリエーション豊か。相性はあるのか?

ここまでは、同じアンプ(ドライバー・ユニット)の真空管ミドルクラス「SRM-500T」(定価165,000円・税込)で通して、ヘッドホン(イヤースピーカー)を聴いてきました。

もっとも、ここ「ヘッドホン横浜店」には、アンプも複数揃っています。そこで、今度はヘッドホンを「SR-009S」に固定して、展示してある全てのアンプ試聴機を聞き比べてみます。

■カラッとした真空管サウンド。淡麗辛口の「SRM-700T」

「SRM-700T」は、「SRM-500T」よりハイクラスの真空管アンプ。

定価330,000円(税込)

一聴して分かるのは、「SRM-500T」と同じ真空管式ながら、総じてスケール感が増したようなイメージ。マイケル・ジャクソンでも中低域に厚みが乗り、SN感も向上。もっとも、音の濃密度は若干控えめに感じるほど音の隙間がすっきりする印象で、たとえばノラ・ジョーンズのヴォーカルもややドライでカラッとしています。

ヘッドホンを「SR-X9000」にしても「SR-009S」にしても、ノイズ感は少なくカラッとした音調は同じ。より真空管らしさが増していると言えばその通りで、マイケル・ジャクソンのロックも、ヒラリー・ハーンのヴァイオリンも、耳に付くようなキツさはないものの高域がキリリとして淡麗辛口といった聴き心地でした。

■濃厚で味わい深い「SRM-700S」

「SRM-700S」は「SRM-700T」同価格のトランジスターバージョン。

定価330,000円(税込)

総じて中低音がしっかりしており、低音はどっしり落ち着いて揺るぎなく鳴ります。個人的には、得手不得手がない「SRM-700S」のほうが「SRM-700T」より好ましく感じました。もっとも、以前私用していたのは冒頭に述べたとおり、真空管を載せたアンプでしたが…。

たとえば、マイケル・ジャクソンのようなロックも、タイトながら耳に付く付帯音がなく、適度な湿り気&温度が好ましい。ヒラリー・ハーンもヴァイオリンの倍音が綺麗に出ながら中低音がしっかりしており、その上に乗るメロディも明確です。ダイアナ・クラールのバックで響くウッドベースはちょっと誇張気味に思えますが、濃厚なピュアモルトといった印象で深い味わいです。

■妙に生々しい。スタックスの到達点「SRM-T8000」

「SRM-T8000」は、真空管とトランジスターのハイブリット構成のF-LAGSフラッグシップモデル。果たしていいとこ取りになっているでしょうか?

定価660,000円(税込)

このドライバーに繋ぐと、従来のスタックスのイメージが覆されます。ハイエンドらしく、唇の動きまでが生々しい。

たとえば、ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」では、ハットやシンバルのブラシなど、金属音の響きはそのままに、従来弱点と言われてきた中低音がしっかり伸びています。クラシックでは、ピアニシモの静けさが抜群でSNの良さを窺わせます。ヒラリー・ハーンでは、ヴァイオリンの弓の往復に応じてボディが唸るような響き、重層的な弦の震えが、まるで視覚的に眼前に迫ってくるかのように鮮やかです。

静電型を知り尽くしたスタックスならではの弱点を消した、ケチの付けようがない完成されたアンプです。

ちなみに、「SRM-T8000」だけは、明らかに「SR-X9000」とのマッチングが最良でした。逆に言うと、それまでのアンプが「SR-X9000」を鳴らし切れていなかったのだと妙に納得。

逆に「SR-009S」は、このアンプではカッチリとして華やかすぎる印象でしたので、「SRM-700T」など下位のアンプでも十分鳴らせそうです。

■結論 ラビットBWが選ぶベストコンビ

1位 自分が買うなら…「SR-009S」+「SRM-700T」
2位 静電型の特徴を知るなら…「SR-L500MK2」+「SRM-500T」
3位 現在ヘッドホンの到達点…「SR-X9000」+「SRM-T8000」


■この試聴ルームならすべてが分かる、、、!!
今回オープン型のアバックヘッドホン横浜店にてSTAX一気試聴を行いましたが、私も過去聞いた事がない”ヘッドホン専用の試聴室”のおかげでそれぞれのヘッドホン、ドライバーの個性を恐ろしい程聞き取る事が出来ました。
STAXはオープン型という事もあり、そのポテンシャルのすべてを試聴しようとすると外界の雑音が気になります。
それが”一切ない”と言いたくなるほどの静寂の中、試聴に集中出来る事の魅力を強く感じました。
皆様も是非1度足を運んでは如何でしょうか。

予約は下記のサイトから行う事が出来ます。
ご来店予約フォーム(ヘッドホン横浜店) – 株式会社アバック (avac.co.jp)

次回以降もヘッドホン集中レビューを行います。こうご期待!!

SRX9000 STAX [スタックス] ヘッドホン

¥623,700 税込
商品コード: SRX9000
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