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[自宅レビュー!]
システム全体を激変させる支配力

HDMI付きネットワークプレーヤー&DAC デノン「DNP-2000NE」
ここのところトレンドとなっているHDMI(ARC)付きネットワークプレーヤー&アンプを、これまで2モデルレビューしてきました。今回は、アンプを内蔵せず、既存の2chオーディオシステムを生かしたまま「テレビもいい音で聴きたい」というニーズに対応できる、ネットワークプレーヤー&DACを紹介します。アンプ一体型のマランツ40n、ヤマハR-N2000Aとの違いも踏まえると、いまの各メーカーの音作りへの姿勢も垣間見え、今後のデジタルオーディオの未来が見えてきました。

●製品のポイント
・HDMI ARC対応ネットワークプレーヤー&DAC
・あらゆるフォーマットのデジタル音源に対応
・「VARIABLE」出力付きでプリアンプとしても使える


●実際使ってみたら凄かった!
・デジタルソース全般を一変させる絵画的ゴージャスサウンド
・手前に飛び出すキラキラした高域&芳醇な中低域
・DSD本格対応などあらゆるフォーマットに対応するハイエンドクラスのネットワークプレーヤー&USB DAC


●こんな人には別モデルの方がいいかも
・映画などマルチチャンネルAVコンテンツを中心に楽しみたい
 →同価格帯以上のマルチchAVアンプを
デザイン 美しいグレーのグラデーションパネルと大型ディスプレイ

本体フロントパネルは上面が波打つDENONおなじみのデザインですが、今回お借りできたのは珍しいグラファイトシルバー色。まるで、ピュアオーディオのゴールドと、AVアンプのブラックの合いの子、というコンセプトさながらの特別感があって魅力的です。
大型フロントパネルディスプレイもとても便利。アプリを使わなくても、この画面とリモコン操作でNAS内のファイルを容易に選択できます。




ネットワークプレーヤーだから特に重量物など必要ないはずなのに、実際持ってみると、9.7kgの公称重量以上に重さを感じます。2基のトランスを軸に中身がぎっちり詰まっています。

リモコンはデノンの汎用。もっとも、本機はプレーヤーとして使えるのみならず、「VARIABLE(可変)」出力を使えばプリアンプとして使えシンプルなAVシステムを組めるので、このリモコンの重要性は大きいです(後述)。
ネットワーク再生 華やかな高域と、たっぷり厚い中低域

アナログ出力「FIXED(固定)」を自宅のプリメインアンプAccustic Arts Power-1MK2に接続し、ネットワークプレーヤーとしての性能を試します。スピーカーはKEF Reference5。どちらも色づけが少なくエッジの取れた素直なサウンドで、繋ぐ機器の特徴を素直に出してくれていると考えています。


まず、宅内有線LANに接続し、有線ネットワーク再生をします。「HEOS」アプリを使うことでスマートフォンで選曲などができますが、それを使わなくても、大きなフロントパネルディスプレイを見ながらリモコン操作することで目的のファイル再生がじゅうぶん可能ですから、スマホが苦手な方でも直感的に使えます。WAVやFALC、ALAC、5.6MHzまでのDSDなどほとんどのフォーマットに対応しています。



さっそく印象的なのは、マランツMODEL 40nといわば真逆ともとれるような、えも言われぬ華やかな高域&充実した中低音。ボイシングは若干高域寄りにアクセントを感じ、重低音がローエンドまでぐーんと伸びている感じではないのですがベースやドラムが生々しく鳴るチューニングで、往年の大口径ウーファー使いの方々が好みそうなサウンドです。

富樫雅彦・鈴木勲の「陽光」(FLAC192/24)。富樫の叩く鼓をバックに鈴木のウッドベースの弦がヴォーンと生々しく響き、こんどは富樫のシンバルが鳴り響いたかとおもうと、ガーンという強烈なピアノと共に感動的な夜明けを迎える…大胆でこってりした油絵的な描写とでもいいますか、かつ音が前に出てきます。これまで余り聴いたことのない華やかな艶色のイメージです。

本体が温まってくるとかなり収まってくるのですが、中高域はレスポンスがいいため、サシスセソが若干堅く感じるところも。これを上手くコントロールすれば、ものすごくリアルです。たとえば中森明菜の「不思議」(FLAC96/24)は魔界に潜り込んだかのような世界観そのものにクラクラ酔います。中島みゆきの「地上の星」や、SOMI「Four African Woman」は、ヴォーカルが手前に出て、タイトなドラムが大壮に鳴り響き、壮大なワンマンショーです。

調子に乗って、AirPlay2でいまどきのK-POP、J-POPなどを聴いてみます。と、ややもすると高域と中低域が強調されたドンシャリっぽく聞こえてしまいます。もともとの音作りがスマホやBluetoothスピーカーで聞き取りやすいようにマスタリングされているからではありますが、逆に言うと、なるべくハイエンドなオーディオシステムでないと、本機の支配力に負けてしまうだろうという奥深さをこの時点で予感させました。

SNや定位もよいので、背景と主旋律の立体感も際立ちます。したがって、ジャズやクラシックも立体的に鳴ります。たとえば、ユジャ・ワンのピアノの響きとキレが会場の響きと相まって素晴らしく、ベレゾフスキーが弾くラフマニノフ「ピアノコンチェルトNo2」のダイナミズムには、浅田真央のソチオリンピックでの感動的な演技が目に浮かびます。

クラシックの長い楽曲名も分かりやすく表示されます。




常時ラウドネスがかかっているかのような前のめりの分厚いサウンドですので、小音量でも迫力ある音楽をきちんと聴けるということでもありますね。

ちなみに、本機にはマランツのように味付けを変えるような「デジタルフィルター」切り替え機能は持っていません。システムに一旦組み込むと、現代DENONのアグレッシブなサウンドがしっかりと主張してきます。

特にこだわりがなければ「HUOS」アプリを使うことで、宅内NASからストリーミング、ネットワークラジオまで快適に操作できます。また、AirPlay2対応によりAppleMusicアプリでもすぐ楽しめます。
DACとしてのポテンシャルを検証
同軸デジタルは本格的アナログレコードを始めて聴いたときのような生々しさ


次に、ソニーのUHD BDプレーヤーUBP-X800M2の同軸デジタルを受けて、本機をDACとして使い、CDを再生します。

こちらも特徴はネットワーク再生と同じです。生々しさはとくにヴォーカルのリップノイズを強調します。ジャズヴォーカルのユン・スン・ナー「SAME GIRL」では、口元が大きくフェティッシュに口の動きが手前に出て、カリンバの響きも芳醇。元ちとせの「ノマド・ソウル」は、バックも神々しく華やかすぎるほど。

もっとも、ただフェチっぽいだけではなく、背景に対する立体的な表現も巧みです。ロンドンのシンガーソングライター、ジェイムズ・ブレイク「Radio Silence」では万華鏡のような世界観を宇宙的に再現、どこか遠いところに連れて行かれそう。ミュージカル「キャッツ」の『メモリー』は、スポットライトがあたり志村幸美が独唱する神々しいあの場面が目に浮かびます。

80年代ロックのビリー・ジョエル「Allen Town」では、鉄工所を思わせる効果音、労働者を想像させる力強いピアノとドラム、YES「Roundabout」太いベースラインのヌルヌルドロドロした冒頭の生々しさったらありません。誤解を恐れずに言えば、まるではじめて本格的なアナログレコードで聴いたときのような感動が蘇ります。何度もリマスターされて発売されたCDがことごとく「デジタルっぽい」と嫌煙されてきた理由は、どことなく味気なく薄っぺらい印象にありました。それが本機で聴くCDサウンドは、濃厚で分厚い滑らかないい意味の“アナログ臭さ”を持ったサウンド。音場が360度拡がるかわりにすべての音との距離が遠くなる最近の空間オーディオとはいわば逆の、音が前に出てくるファントム(2本のスピーカーの間に立体的に浮かぶセンター定位)音像が際立つサウンドです。

USB DAC ホール感をバックに、リアルなヴォーカルが浮かぶ

次に、MacBook Air(M2)でAudirvanaアプリを使い、ファイル再生を行います。

USB DACの方が少し対応フォーマットが広く、386/32ビットまでのリニアPCM、11.2MHzまでのDSDにも対応しています。

こちらもサウンドの傾向は同様です。元TOKYO JAZZのプロデューサー、八島敦子が立ち上げたレーベルから発売されたトリビュートアルバム、スティーヴ・ガッド&ミカ・ストルツマンの「Spirit of Chick Corea」では、ヴォーカルの生々しい唇の動きと、滑らかで艶やかな各楽器のハーモニーがほどよい距離感で描かれます。DSD64大貫妙子「PURISSIMA」でもDSDらしいふわりとした雰囲気の中心に立つ大貫の姿を際立たせました。自作自演のピアニストによる映画音楽っぽいAlbert Guinovart「Piano Concerto No1」は、ホールトーン豊かに立体的に描かれ、映画音楽でもいい味を出してくれそうな予感を抱かせました。

USBDACではDSD含め幅広い対応フォーマットに対応

HDMI接続 切れや鋭さよりも、厚みやスケール感で勝負

いよいよHDMI接続して聴いてみます。HDMIは端子は1系統で、ARC機能を持つTV等のARC対応端子と接続。ここではTV代わりのプロジェクター(LG HU85LS)を繋ぎます。対応する信号は、192/24ビットまでのリニアPCM2chのみですので、TV側の音声出力設定は必ず「リニアPCM」にします。そうでないと、テレビ音声のAACなどをそのまま入力すると、ザーッと盛大なノイズが出ますのでご注意を。


HU85LS内蔵アプリでAmazon Prime Videoを視聴。ドキュメンタリー『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』では、男性アナウンサーのスピーチが際立ち、試合シーンの立体感もこれまでとほぼ同じ印象です。

続いて、TV側(UH85LS)の空いているもうひとつのHDMI(ARCでない)にUHD BDプレーヤーUBP-X800M2を接続し、UHD BDを再生してみます。

やはり中低域は厚めで、スピーチがリップノイズ含めて生々しく、口元はやや大きめ。マランツのようなキレや鋭さよりも、厚みやスケール感で勝負する印象です。
UHD BD『グラディエーター』冒頭、風が吹き抜け、鳥が下手(しもて)に飛び立つことで決戦が幕を開けると、騎兵隊の蹄で地響きが。2chなので重低音や効果音はやや省略される印象ですが、マルチchの音場感に引けを取らない音の配置と立体感、重厚感です。ラッセルクロウのかけ声とともに無数の火矢が早朝の空を突き抜け、白兵戦で刀が交わる音、人を切る音は、マランツMODEL 40nの方が怖さでは上回りますが、地響きの迫力は十分すぎるほどです。

ケイト・ブランシェットがカリスマ指揮者となるも破滅していく映画『ター/TAR』でも、オーケストラの演奏自体のスケール感もありますが、静寂のもと節々に挿入される細かい環境音など観る者じしんがケイトになって幻聴を体験しているかのように没入できます。

「VARIABLE」設定でDAC内蔵プリアンプにも
本機には、一般的なプレーヤーのように固定出力(FIXED)のほか、「VARIABLE」出力があります。アナログRCAケーブルを本機の「VARIABLE」からパワーアンプに直接接続してボリュウムをコントロールできれば、DACプリ+パワーアンプや、DACプリ+アクティブスピーカーのシンプルシステムを構築できます。

リモコンで音量を上下させるには、リモコンで設定が必要(ネットワークプレーヤーモード)。数字2キー+ENTERキーを5秒押しで、リモコンの「音量上/下」と「ミュート」がイキになります。なお「HEOS」アプリでもスライダーで音量調整が可能ですが、リモコンのほうが確実です。

ちなみに、フロントパネル左側に「VOLUME」ノブがありますが、これはヘッドフォン用で、プリアンプのボリュウムとしては働きませんのでご注意を。

ここでは、「VARIABLE」出力をプリメインアンプAccustic Arts Power-1の「SSP入力(プリアンプバイパス)」に接続。肝心の音質ですが、「FIXED」でプリメインアンプAccustic Arts Power-1を繋いで聴いてきたここまでのサウンドから、音調やサウンドバランス等に大きな変化はありませんが、だいぶあっさりしたのも事実。「そういえば、これ2000番台だったな」と我に返る瞬間でした。

本機は多機能でユーザーフレンドリーの高いモデルですので1点1点システムを組んでいく方にはこのプリアンプ機能は便利なオプション。
いずれは単体プリアンプが欲しくなるかもしれません。DENONからの発売も期待したいところです。

本機のポテンシャルを最大限発揮さるのならば「FIXED」にして、できれば上位クラスのプリメインアンプ(デノンならできればPMA-SX11)でこのモデルの奥深さを引き出してあげないともったいないかも知れないと思いました。

思わず全ソフトを聴き直したくなる世界観

すでにまとめっぽいものを先に書いてしまいましたが、2000番台という型番を超えた練り込みが相当施されていると感じさせる「総合デジタルプレーヤー」です。
ネットワーク、同軸、USB DAC、HDMIと一通りのデジタルメディア、386/32ビットまでのリニアPCM、11.2MHzまでのDSD(USB DAC時)と幅広い対応フォーマットにも対応。
そしてそのサウンドは、うまくハンドリングしないと過剰に聞こえそうなほどフェティッシュなヴォイシングと、ローエンドまで重低音が伸ばそうというより美味しい音域を重視した分厚い中低域が特徴。あらゆるデジタルソースが、まるでアナログレコードでも聴いているかのような濃密なサウンドに一変します。

本機の支配力が強すぎて、受けるシステム全体の実力も問われそう。いままで聞き慣れた曲まで違うアレンジに聞こえてしまうといっても過言でないほどで、この沼にハマると、思わずおもわず全てのソフトを聴き直したくなってしまうでしょう。


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