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製品インプレッション プロジェクター
感動を深める暗部の色と諧調、そして超解像 DLA-X750R 麻倉 怜士 氏
JVCがプロジェクターシーンに帰ってきた。毎秋リリースがあった革新的なe-shift・4Kが昨年はナシ。 しかし、1年の無沙汰を経て登場した2016年モデルは、ビクタープロジェクターを長年親しく見てきた 私をしても、「そう来たか!」と膝を打ちたくなるほどの衝撃的な画質を纏って登場したのである。
HDRに対応するための輝度アップと特別なガンマ

JVCの今回の新型は2モデルで4Kフリートを組む(偶然にもソニーも2モデル)。DLA-X750RとDLA-X550Rだ。ここでは高級モデルのDLA-X750Rを採り上げよう。

ポイントは3つ。第1が輝度向上だ。1,800lm(ルーメン)の高輝度を獲得したのである(これまたソニーVPL-VW515とまったく同じ数値だ)。この高輝度は、前作のDLA-X700R/X500Rの1,300lmを遙かに凌駕する。ビクターの初の一体型D-ILAホームプロジェクターDLA-HD1が700lmだったことを考えると、8年で2.5倍に向上したことになる。技術的にはランプ出力を230Wから265Wへ上げたことが大きく貢献している。ランプ出力を上げると黒浮きが発生してコントラストの面で不利となる点は、光学系で克服。DLA-X700Rとまったく同じネイティブ・コントラスト12万:1を確保した。

なぜに輝度を大幅に上げたかが第2のポイント。言うまでもなく、HDR(High Dynamic Range)対応のためだ。Ultra HD Blu-rayやNetflix、アマゾンのプライム・ビデオなどのOTT(配信)がHDRに進軍し、ダイナミックレンジ拡大による画質向上を謳っている以上、テレビ以上に鑑賞画質にこだわりたいプロジェクターユーザーのためには、ぜひとも対応しなければならない。

本機が対応するHDRは、Ultra HD Blu-ray(と一部のOTT)の標準仕様であるHDR10(ピーク輝度1万ニッツ/10bit)。ただ、液晶テレビのように直下型LEDバックライト+ローカルディミンングのような処理を行うわけにはいかないので、HDRグレーディング時に準拠されたPQカーブ(Perceptual Quantizer Curve/人の視覚特性に合致した特別なガンマカーブの一種)に沿った信号処理とネイティブコントラストの高さで対応する。

HDR対応であるからにはHDMIのバージョンはもちろん2.0a。だが実は、HDMIまわりの問題によって登場が延びてしまったというエピソードが、第3のポイントに繋がる。前モデルDLA-X700RのHDMIはバージョン1.4。つまり低速の4K信号しか受け付けないので、60pの4K放送はご無体だった。そこでHDMI2.0a対応を図ったものの、送信用のICと受信用のICの間の通信問題を解決するのに想定外の時間が掛かり、昨年は商品化を見送らざるをえなかったというのが真相だ。

本モデルはホームプロジェクター初となる「4k/60p 4:4:4 18Gbps」に対応し、HDMI2.0α&HDCP2.2による次世代映像インターフェイスを構築したのである。

従来と比較にならない豊穣な精細感を導くMPC

では、インプレッションに入ろう。「次回はフル4K画素で」という願いは叶わなかったが、実は、従来のE-shiftとは比較にならないほど、実効的な解像感が向上しているのである。

まず、ひじょうに精密で、グラテーションが細かく、さらにコントラストに優れる――が、DLA-X750Rの強力な長所とみた。もともと、JVCの4Kプロジェクターは、ハイコントラストと階調再現のバランシングが抜群であったが、今回はそれに豊穣な精細感という美質が加わった。フル4Kパネルではないものの意外なほどの精細感は、MPCの改良の効果だ。

MPCとは「Multiple Pixel Control」。2Kソースの解像感に基づき、アップコンバートと超解像を調整する機能だが、このたびアルゴリズムを改良して、これまで手つかずだった斜め方向の解像感を大幅に向上させたのである。その霊験は実に顕かで、E-shiftにもかかわらず従来より遙かに細部のヴィヴットさの表現が上手くなったことに感心する。このMPCは、高域・中域・低域を別々にコントロールすることで、よりソースのオリジナリティに沿ったアップコンバートと超解像を仕込むことができる、ワン&オンリーの美機能だ。

ソースが持つ周波数分布を示すモニター画面表示も健在。 階調の再現性は、特に暗部で素晴らしい。ここまで色と階調を的確に再現できる点は、今シーズンのJVCプロジェクターの大いなる美質である。コントラストの表現力に加えて、感動を深めたのであった。新しい画質価値を備えたDLA-X750Rに、私は大いに刮目している。

進化ポイント
Key Device1
新搭載の高出力ランプ
HDR対応のキーデバイスは、前モデルDLA-X700Rに比べ138%の輝度を達成した新搭載のランプ、PKーL2615U。このキーデバイスと120,000:1のネイティブコントラストを生かして、かつてない煌めきや暗部表現力を獲得。HDRのフラグを感知すると自動的にPQカーブに切り替わる。
新搭載の高出力ランプ
Key Device2
新開発カラーフィルター
独自のReal Color Imaging Technologyを採用。正確な色再現性を求めてカラーフィルターを新開発し、DCI色域に対応した。
新開発カラーフィルター
Key Device3
12ポイントマニュアルガンマ調整機能
使用環境や使用時間の経過による色変化を補正する好評のオートキャリブレーションに加え、12ポイントマニュアルガンマ調整機能を新搭載。マニアックな要望に応えた。
新開発カラーフィルター
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