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製品インプレッション AVプリアンプ
かつてないほどピュア&クリアーなサラウンドプリ 心、踊る。 オーディオ・ビジュアル評論家 潮 春男氏
モデル名だけを捉えると前作からわずか+100番のリファイン。今作は当初よりチタンを販売するものの外観は同じなので、ドルビーアトモスやDTS:Xへの対応以外のフィーチャーは期待薄と思われるかもしれないが、これがとんでもない間違いだった。
一年越しの待ちに待った
後継モデル

昨年のAVアンプの一大テーマは、ドルビーアトモスへの対応だった。ヤマハもRX-A3040を初め、一体型のモデルをリリースしてこれに応えたが、残念なことに最上位に位置するAVプリアンプ、CX-A5000の後継モデルの発売は見送られてしまった。ユーザーからすると、一刻も早い対応モデルの登場を待ち望んだわけだが、その願いが、一年のブランクを経てついに叶った。

このCX-A5100は、信号処理回路を一新し、アナログ部のオーディオ回路に専用の電源を与えて基本性能の底上げを施し、7:2:4のスピーカーで構成されるドルビーアトモス再生を可能にした。その後に登場した新しい規格DTS:Xにも来年1~3月にダウンロードによるファームウェアのバージョンアップを確約している。

アトモス×シネマDSP HD3動作時も高い空間表現と静寂感

それだけでなくこのモデルは、個人的にも希望だったサブウーファー・チャンネルも含む全チャンネルバランスアウトの装備はお約束としても、昨年の一体型AVアンプですでに実践済みだったジッター対策が徹底されたため、かってないほどにピュアで、かつ低域まで明瞭度の高いサラウンドサウンドを再生する。

メニューを開けると「ウルトラロージッターPLL」という項目が出てくるが、この中から『レベル3』を選択すると、可聴帯域外までリダクションをおこなうという、とんでもない動作をするのである。

信号のデコードにESS社の9016を2基用いている点は前作同様だが、このモデルではその前段に専用のLSIを加え、ジッターのコントロールだけに使っているところに大きな特徴がある。昨年の一体型モデルでは、ESS社のDACに内蔵された回路を使ってジッターを低減していたが、専用チップを用いることで一段とその能力が強化されているのだ。

また、ヤマハのAVセンターのレゾンデートルともいえるシネマDSP HD3とドルビーアトモスの組み合わせ再生においても、64bitで動作するヤマハのYPAO 3D High Precision EQを加えることで演算誤差を徹底して抑制。SNを大幅に改善することで、3次元的な空間の描写力にますます磨きをかけている。その結果、自動音場補正をONにしても音の静寂感がきわめて高いことも特筆すべきポイントだ。

映像回路はHDCP2.2に対応し4k60p/4:4:4の信号を受け付けるほか、HDR(High Dynamic Range)にもファームウェアのバージョンアップで応えるため、Ultra HD Blu-rayの4kソフトの再生も瑕疵なくおこなえる。

透明度が高く解像感あるCD明晰な軌跡とセリフのBD

MX-A5000と組み合わせて、まずアナログ入力でCDを聴くと、透明感の高いヴォーカルと低音域まで解像感に富んだサウンド、基本性能の高さをうかがわせる。

BDソフトの再生では、滑舌のしっかりとしたダイアローグ、そしてサラウンド音声の明晰な軌跡の描き出しに感心させられた。

ただし調子に乗って「ウルトラロージッターPLL」を『レベル3』に設定していると、ソフトによっては外れたり、やや低域が締まり過ぎる場合もある。この辺りは使いこなしが必要になるが、逆に言えば、こうして作り込まれたAVプリアンプは他にないのだから、ぜひともこの機能を積極的に楽しんでほしい。

CX-A5000ユーザーは何をおいても買い替え!?

型番は前モデルのわずか100番違いだが、そのサウンドは紛れもなく1000番、いやそれ以上のグレードアップを果たしている。AVプリアンプの導入によるグレードアップを考えている人はもちろんだが、CX-A5000のユーザーは、何をおいても買い替えることをオススメする。

5年間という長きに渡るメーカー保証も、自信と自負心の現れだ。高い信頼性に支えられたCX-A5100が奏でる、ピュアで躍動感に富んだサウンドを、ぜひとも味わっていただきたい。

進化ポイント
Key Device1
新採用DSP chip
DSPチップは昨年より1枚増やして合計3枚(いずれもテキサスインスツルメンツ製で、うち2枚は新採用)。 ドルビーアトモスやDTS:Xと、33種類にも及ぶシネマDSP HD3との掛け合わせ演算が可能となった。
新採用DSP chip
Key Device2
64bit演算のYPAO
ヤマハ独自の視聴環境最適化システム「YPAO」(Yamaha Parametric Room Acoustic Organizer)が64bitハイプレジションEQを採用。全帯域を64bitで演算誤差をゼロにして得た結果を32bit化してDACに伝送することで、DACの性能を極限まで引き出そうとする試みだ。
64bit演算のYPAO
Key Device3
新型ネットワークモジュール
高精度のロージッタークロックを内蔵した独自のネットワークモジュールを搭載。ハイレゾ音源のネットワーク、USB、Bluetooth再生において、ヴォーカルやストリングスといった可聴帯域でノイズを低減した。
新型ネットワークモジュール
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