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製品インプレッション プロジェクター
JVC-V9R

 ビクター初のネイティブ4KプロジェクターDLA-Z1を愛用している私が刮目したのが、DLA-V9Rのe-shift・8Kによる圧倒的に微細な精細感とグラテーション表現だ。ここまで映像を正しく、豊かなディテール感と濃密な階調感で再現するプロジェクターが作れるものかと、約30年に亘るホームシアター嚆矢の時代から識っている私からすると感嘆を禁じ得ない。技術の中味を詳説する前に、チェック用の定番ディスク4K/60pの「宮古島」(ビコム)のインプレッションを書こう。

 チャプター5の「長間浜」。これほど透明な海水はこれまで見たことがない。寄せる波と引く波が交差し水しぶきが生まれるダイナミズムが織りなす透明な輝きが、たいへん精密かつブリリアントに再現されている。珊瑚の欠片でできたカラフルな砂の一粒一粒に生命力が宿り、個々の粒子に微細な立体感が与えられた。これぞまさに、e-shift・8Kの威力。実はこのアップコンバート動作にて、ビクターならではの価値ある絵づくりが与えられているからこその成果だ。

 このe-shift・8Kだが、実現は時間の問題であった。2年前にDLA-Z1が開発された時点でネイティブ4K画素のデバイスが搭載されたのだから、それを斜めに0.5画素分ずらして4分の1サイズの仮想画素を生成し、そこに4倍画素数にアップコンバートした精細映像を与える動作は、ビクターの技術力を持ってすれば十分可能であった。

 ポイントはその御利益。DLA-V9Rは8K入力には対応しない。HDMI2.1(8K用)でなく現行の2.0。4K×HDMI4本入力もない。つまり、12月から始まるNHKの8K放送に対応した8Kプロジェクターではなく、あくまでも2K/4K現行メディア環境下での、e-shift・8Kアップコンバートによるスペシャルなクォリティを目指したものなのだ。


 テクノロジーについて少々触れよう。デバイスはもちろんネイティブ4K(4096×2160画素)。サイズは、DLA-Z1で搭載されたときと同じ0.69インチだが、中味は完全にリニューアルしており、製造メーカーも素材も代えている。液晶面を平坦化し、プロセスと材料を一新したのだ。これにより、光散乱や回折などの光ノイズを大幅に抑制。デバイス単体のネイティブコントラストは、DLA-Z1搭載版では約2万:1だったが、新型ではその倍の4万:1を達成。ワイヤーグリッドが加わった光学系トータルのネイティブ・コントラスト比は10万:1だ。

 同時に駆動ICも新開発。最先端の広帯域メモリーHBM(High Bandwidth Memory)+高速基板インタポーザ実装により、さらに高速なドライブを実現。出画時間は従来の2倍にアップした。フレームレート変換や各種デバイス補正機能も本駆動ICも集約している。レンズはDLA-Z1とまったく同じ大口径100mmの16群18枚オールガラス・オールアルミ鏡筒型となっている。

 インプレッションを続けよう。前述した「宮古島」の印象記を読むと、鮮明さを極めた精細感がDLA-V9Rの映像の特徴かと思われるかもしれない。

 ところが実は、人工的・人為的な強調はまったくといっていいほどない。むしろ、映画「マリアンヌ」では、まるでそこに生身の俳優がいるような、あらゆるものを超越したナチュラルさを見た。4Kコンテンツのみならず2Kコンテンツでもひじょうにヒューマンで、細やかなグラテーションを堪能できるのだ。

 そんな絵づくりの秘密が、e-shiftに必須のMultiple Pixel Control(MPC、画素単位で周波数の低域、中域、高域を個別制御)にある。8Kに変換する際により微細な、そして信号に最適な周波数特性を与えることで、刮目のナチュラルさと上質な臨場感を実現したのだ。それこそ、ビクターならではの、他の追随をまったく許さない水準の職人技が成しえた境地といえよう。

YAMAHA RXA-3060
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