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製品インプレッション AVアンプ
チャンネルマッチ思想をマルチchにも貫徹 原理原則の哲学
全ch駆動時の突き抜けた高音質とMCACC Proの精密な音場補正能力でAVファンに圧倒的な支持を集めてきたパイオニアのAVレシーバー。この秋のトップエンド機SC-LX901は、クラスD増幅はそのままに11ch構成となり、ドルビーアトモスやDTS:Xといったオブジェクトオーディオ再生の可能性をいっそう広げる魅力機として登場した。
チャンネル数が増えたことで
密度間と緻密さがさらに際立つ

昨年のトップエンド機SC-LX89と同サイズの筐体に11ch分のパワーアンプを搭載することは、たいへんな困難を伴うことだったに違いない。しかし、ボンネットをはずしてみると、美しく仕上げられた各基板や電源回路がLX89以上に合理的にまとめられていることがわかり、おおいに感心させられた。「内部コンストラクションの美しいアンプは音もよい」という経験則通り、実際に聴いたその音は、力感と繊細さを高次元で両立させた素晴らしいものだった。

11ch構成になったということは、本機1台でサラウンドバックスピーカー1ペアとオーバーヘッドスピーカーを2ペア用いる7.1.4 再生が可能ということになる。実際にそのチャンネル構成で「トランセンデンス」や「ザ・ウォール/ロジャー・ウォーターズ」などのドルビーアトモス収録ブルーレイ作品を観てみたが、再生空間をみっちりと満たす音場の密度感は、他社製品に比べて圧倒的な魅力を持っていると確信させられた。全ch駆動時のドライヴァビリティの高さこそが、デジタル増幅の「ダイレクトエナジーHDアンプ」の真骨頂なのだろう。

また、チャンネル数が増えれば増えるほど、パイオニア独自の音場補正機能「MCACC Pro」の精密さがいっそう際立つことも付言しておきたい。とくに全チャンネルのスピーカーの位相をピタリと合せてくれる「フルバンド・フェイズ・コントロール」の霊験はあらたかで、音場がぴしりとまとまり、しかるべき音がしかるべきところから発せられる面白さに誰もが夢中になることだろう。

また、オーバーヘッドスピーカーは、トップミドル1ペアよりも、トップフロント/ トップリアの2ペア4本使用のほうが断然すばらしいイマーシヴ(没入できる)効果が得られることも改めて実感できた。2ペア4本使用によって、リスナーの頭上に「面の音場」をしっかりと描き出すことができるからだろう。

5.1chバイアンプや2chハイレゾ再生も高級アンプとしての実力満点

いっぽうで、ベッドチャンネルは5.1ch で十分、というかそれ以上スピーカーを置けないというケースも当然あるはず。その場合は(使用するスピーカーがバイワイアリング接続可能なモデルに限定されるが)、フロント・バイアンプ駆動をお勧めしたい。パイオニア製トップエンド・スピーカーS-1EXを用いて、シングルアンプ駆動とバイアンプ駆動を比較試聴してみたが、音像の安定感や響きの精密さなどでバイアンプ駆動のメリットが十分に実感できたのである。

そのほか、ネットワークオーディオ再生時に11.2MHz DSD ファイルに対応するほか、ストリーミング音源再生時のジッター低減を図ったPQFA(プレシジョン・クォーツ・フォー・ファイル・オーディオ)を搭載するなど、ハイレゾファイル再生の可能性の追求と高音質再生への取組みにも瞠目すべきものがある。2チャンネル再生においても、同価格帯のプリメインアンプと十分伍して戦える実力を持った高級AVアンプと断言したい。

Pioneer SC-LX901

Pioneer SC-LX901

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