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製品インプレッション プロジェクター
四半世紀の思想がこの一台に結実原画探求
ついにJVCのD-ILAプロジェクターがネイティブ4K化を果たした。このことは、JVCプロジェクターファンのみならず、全プロジェクター愛好家、ひいては4Kシーン全体に与えるインパクトは大きい。なぜなら「あの超絶の絵づくり力を持つビクターによるネイティブ4K」だからだ。
4K D-ILA×レーザー
×大口径レンズ。
待望のフルスペック4K

D-ILAプロジェクターには熱烈なファンが付いている。「ビクターじゃなきゃ」の特別な映像を持つからだ。ネイティブコントラストの高さ、階調表現の素晴らしさ、色のエモーショナルさ……という美質故の人気だ。

しかし画竜点睛を欠いていたのが、表示デバイスだった。JVCは2K素子を斜めにずらして実質的に4Kに近い情報量を得るというe-shiftテクノロジーを追究してきたが、やはり4K画素で制作されたコンテンツはピクセル・ トゥ・ピクセルの4K画素で再生されてこその本物の4K。これまでも再生される映像はそれなりに素晴らしいのだが、フラストレーションが募った。ソニーはとうに4K画素デバイスを実現していたからなおさらであった。JVCが業務用プロジェクターに搭載していた4Kデバイスは1.27インチだが、新開発デバイスは0.69インチ(4096×2160ピクセル)。画素間のギャップは従来の0.25ミクロンに対し新D-ILAは0.18ミクロンと、より精細だ。

光源はレーザー。青のレーザー光を黄色の蛍光体を通過させて「赤」「緑」を生成、青はそのままだ。他社は有機素材によるホイール回転型蛍光体フィルターを使うが、本機は静止型フィルター。無機型なので強い光にも耐久性が高く、騒音も少ない。8個のレーザーを組み込んだ光源ブロックを6つ搭載し、総数48個で最大輝度3000ルーメンを得る。DLA-X750Rが1800ルーメンだからご利益は大きい。寿命も20000時間で従来の超高圧水銀灯の5倍近い。レーザーは色帯域が広いイメージがあるが、RとGを蛍光体で発色しているので極端には広くない。色域はDCI・P3が100%、BT.2020が80%だ。画質的なメリットは、光源の段階で輝度出力を自在にコントロールできることにある。従来の機械式絞り(アイリス)に比べ、信号の状態に応じて即時に輝度変化が可能。HDRでは特に強みを発揮する。話題のハイ・ダイナミックレンジはHDR10とハイブリッド・ログ・ガンマに対応。このレーザー光源システムは「BLU-Escent」とネーミングされている。

レンズの偉容さも印象的だ。従来モデルは直径65mmだっだが、Z1は100mm。16群18枚のオールガラスレンズ・オールアルミ鏡筒構成だ。うち高性能のEDレンズが5枚(R/G/Bの屈折率の違いを加味)だ。これほど口径を大きくしたのは、精細再現の実現のほか、垂直100%・水平43%のレンズシフトを得るためでもある。

自然ゆえの凄み。
解像力と諧調表現に味わい

実際の映像だが、まず色のクリアーな厚みと安定さが強烈。ハワイを撮影したHDR映像では、朝日の赤の眩しさ、海の青の深さと透明感が印象に残った。UHD BD「ルーシー」では、肌のリアルな凹凸感、油性分の妖しい輝きなど、官能的でエモーショナルな再現だ。e-shiftには細部再現にMPCで強引にひっぱりあげるような強調感があったが、ネイティブ4Kは実にナチュラル。自然ゆえの凄みが滲み出る。100mm直径レンズの効用はひじょうに大きく、隅々まで収差や滲みがたいへん少なく全画面で均一な解像力が保たれている。

パナソニックVARICAM35撮影による「4K夜景」と、ソニーCineAlta F65撮影の「宮古島 癒しのビーチ」。異なる4Kカメラの個性をDLA-Z1は実に明確に描き分ける。VARICAM35は絵が少し甘いが夜景の色や階調再現に独特の味わいがある。一方、F65は強靱な画調で透徹力が高い。DLA-Z1はコンテンツの方向性・作品の持つ世界感に沿って巧みに再現する。素直にしてここまで強烈に魅せるのが、ネイティブ4Kの凄さではないか。

HDR対応力も高い。「レヴェナント」のチャプター1、遠景の隕石落下シーン。従来のSDRでは赤が白く飛んでしまうところ、隕石が燃えている様子まで色で表現する。焚火の炎やハイライトの中における色の階調感も巧みに表出していた。もともとDLA-X750RのHDR再現も評価が高かったが、やはり本質的な違いがある。DLAの進化系として、すべてのホームシアターファンに体験をお勧めしたい。

JVC DLA-Z1

JVC DLA-Z1

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