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製品インプレッション AVアンプ
ディスクリートオーディオの伝統を徹底 原点回帰
AVアンプはこの秋もドルビーアトモスを初めとするオブジェクト対応真っ盛り。スピーカーを何本ドライブできるのかも大きなテーマとなる。AVR-X6300Hは、このクラスで初めて11chパワーアンプを内蔵し、これからオブジェクトオーディオ再生にトライしたいユーザーの期待に応える注目の製品である。
11chパワーアンプを
中級機の筐体にビルトイン!

ドルビーアトモスがホームシアターで活躍するようになって早くも2年の歳月が流れる。作品数も増え、これまで様子見だったAVファンもそろそろ本腰を入れるべき時がやってきたといえるのではないだろうか。とは言っても、オブジェクトベースの音場を再現するためには、高さ方向に2から4基のスピーカーを配置しなくてはならないし、そのためのデコーダーとパワーアンプをビルトインしたAVアンプが必要になる。ハードルは決して低くないが、そんなファンの気持ちを代弁するかのような製品がデノンから登場した。

ここで紹介するAVR-X6300Hは、上位モデルAVR-X7200WAで培ったノウハウとパフォーマンスを、なんと中堅機AVR-X4200Wのシャーシに収めてしまったのである。しかも同社初、バイポーラのパワーデバイスを用いた11ch同一アナログパワーアンプを内蔵し、7.2.4のスピーカー構成までカヴァー。信号処理回路にはアナログデバイセズ製のSHARKを4基採用し、上位機同様ドルビーアトモスに加えてDTS:Xに対応する。外部アンプを使えば7.2.4に発展できるモデルは多いが、一台でそれを可能にするAVアンプは少ない。DACには旭化成製の32ビット仕様のチップを投入し、新たなるデノンサウンドを支えている

自動音場補正機能は「Audyssey MultEQ XT32」を採用。計測時間はAVアンプの中では平均的だが、スピーカーのサイズは見た目より「スモール」と判定されることもあるので、このような場合には手動で「ラージ」に変更するといいだろう。その他の測定項目は極めて正確なので信頼して大丈夫だ。映像信号処理回路は4K UHD、HDCP2.2に対応しているので安心して使えるし、4K映像のパススルー回路も備えて使い勝手を高めている。

緻密な設計の成果。
密度間豊かで感情を引き出す。

CDを用いたステレオ再生では、クリアネスの高いしっかりとしたサウンドを聴かせる。中低域にかけての厚みはもう少し盛り上げていい気もするが、ヴォーカルに張りがある明るいキャラクターにはむしろ好感が持てる。ピアノ曲も響きが綺麗で楽曲の持つイメージをよく引き出す印象だ。

ドルビーアトモス音声を収録したBD「ターミネーター:新起動/ジェニシス」からジョンが秘密基地に乗り込んでくるシーンでは、カイルとサラの感情のこもったダイアローグを描き出すし、緊張感張りつめるジョンとのやり取りもよく伝え、その後に起こる銃撃音と爆発音を見事に室内空間へ解き放った。

デノンのAVアンプのサウンドは、どちらかといえば豪放磊落というイメージが強かったが、このモデルはいい意味でバランスの取れた密度感の豊かなサウンドへと変貌を遂げている。11chのパワーアンプを内蔵するために、電源回路を強化しシャーシ内のレイアウトに凝らした緻密な設計も功を奏しているのだろう。価格からすれば中堅ゾーンのAVアンプだが、その内容はまさにワンランク以上の上のモデルに迫る機能と性能。この秋の注目株である。

DENON AVR-6300H

DENON AVR-6300H

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